Episode 2 パワー
ガチャリ、生徒会室のドアが開く、夕日の照らされた廊下を歩く二人。
アカデミアン「確かに…君の言う通り、彼女は凄い能力を秘めてた、水を弾く力がなければ簡単に窒息死する。」
アカデミアンは歩きながら光景を思い出しながら話す。
アカデミアン「しかし、やはり遅れて行かなければあの男は怪我せずに済んだんじゃないのか?」
そう言った瞬間、理沙が立ち止まり、アカデミアンの方を向く。
理沙「でも…あなたは最高のヒーローに見えた」
理沙は微笑みを見せる。
アカデミアンは目を細めて聞く。
アカデミアン「それはヒーローか?」
理沙「ええ、結果としてあなたが救った、彼女じゃないわ………ね?」
理沙は優しい落ち着いた声でそう言った。
アカデミアン「だが…」
理沙は距離をつめて密着し。
理沙「今日も沢山してあげるから…もう私の意見が間違ってただなんて言わないで…?」
アカデミアン「あぁ…」
そんな二人が出てきた部屋、ある男が残っていた、大男は目がピンク色になり光りながらプリントをまとめたり、掃除をしたりしていた。
…
ー夜ー
鈴虫の鳴き声がする。
ガチャリ、ドアを開ける。
尾花先生「ここが、君の今日からの部屋…」
華「…あ…お邪魔します」
尾花先生は笑いながら。
尾花先生「君の部屋だって言ったろ?」
華「あ…あはは…」
尾花先生は手で部屋の隅に置いてあるキャリーバッグを指差し
尾花先生「君の荷物は届いてて…そこ、隅に置いてある。」
華「あ…は…はい…。」
華は部屋を見渡す、綺麗な部屋で新しく作られたように感じた、教室と同じく白い部屋で整頓された本棚や机、ソファー、ベット、キッチンも広い。
華「凄い部屋ですね…」
尾花先生「あぁ、食材は冷蔵庫に入ってるが…一つルールがあって、使いすぎてなくなっても補充は補充された日から一週間後ってこと…それだけ気をつけて、それじゃあ、おやすみ」
尾花先生は微笑みを華に向けて部屋の扉を閉める。
華は少し立ち尽くして、ハッとして靴を脱いで入っていく、ベットに座ってはゆっくりと…スルリと…靴下を脱いでいく。
そしてボフッとベットに倒れ込む。
ボーッとしてると思い出す…。
大男「ぐっ…ぐばばっ?」
大男は水を払おうとするも水は元に戻る、息が出来ない状態で倒れてもがきパニックになる大男。
大男「ぐっ…ぐっ?」
苦しんでいる男…さらに…
華(8歳)「やめっ…やめてっ!」
バキィッ!バキィッ!
華(8歳)「やべてっ!!くだはいっ!」
華「っ!」
ハッとし頭を抱える。
華「考えない…考えない…」
冷や汗を出しながら立ち上がる。
…
一方、豪邸…レンガの塀、綺麗な門、レンガの屋根、レンガの壁、管理された植物達…。
その豪邸の一室に光がついていた。
部屋に脱ぎ散らかった服、下着。
布団の掛け布団を身体にかけている理沙と、窓から月明かりを見ているアカデミアン。
アカデミアン「疑問がひとつある…」
理沙はそれを聞いて優しい声で聞く。
理沙「…何?」
アカデミアン「君の性格上…彼女、華の事は入学前に話す気がした、それなのに…今日の今日まで僕は知らなかった、どうして?」
アカデミアンは振り返りベットに横たわる理沙を見る。
理沙「…どーして?うーん…」
理沙は考える仕草をしながら自身の身体にかかった掛け布団をゆっくりどけていく。
理沙「それは…考える必要あるの…?」
アカデミアン「…」
…
ジュー…肉が焼ける音。
華「ふーふふーん♪」
華は先程の事をイヤホンで音楽を聴きながら料理することで忘れてリフレッシュしていた。
コンコン…。
華「ふーふふーん♪」
コンコン!!
華「ふー…ん?」
華はイヤホンを片耳外して耳を澄ます。
コンコン!ノックされている事が分かる、しかし夜の8時半…学校の先生はもういないはずであり、あり得るのは隣の部屋の誰か。
華「っ…(うるさくしちゃったかな…)」
そう考えながらドアに近付いてゆっくり開ける。
そこには青いシャツを着た…
サイトがいた、制服のジャケットを脱いでネクタイを取っていた。
華「サイトくん!え…なんで?」
サイト「あー…普通に?遊びに来たっていうか…」
華「夜の8時に?」
サイト「良いじゃん良いじゃん…」
サイトは今日会ったとは思えないほどにズカズカと部屋に入ってくる。
サイト「何作ってたの?」
華「…ステーキ」
サイトは羨ましそうにし地面に倒れては
サイト「けっ…良いなぁー…寮生活だったらそんな良いもの食えんのかよぉー、家なんて昨日の肉じゃがのあまりだったよぉ」
華はクスッと笑い。
華「それはそれで羨ましいけど…」
と呟く。
サイトは
サイト「ってか…寮生活って事は…お前両親いないのか」
と真剣な目で急に見てくる。
華「うん…一応…ね、だから数日前まで施設で…正直、能力開花してなかったらヤバかったもん」
華は肉を焼き終えて皿に乗せてテーブルに持っていく。
華「いただきます!」
ナイフを入れてカットしていく、上手く焼けていて中はしっかり赤い。
サイト「…」
サイトは無言で華を見ている。
華「…食べたい?」
…
ー次の日ー
学校の門の前。
尾花先生「はーい!おはよう!よっ!おはよう!」
尾花先生は門に入ってくる生徒に顔を合わせて挨拶している。
その時、ビュン!!空を何か通る。
丁度登校していた華とサイトは空を見上げる尾花先生に聞く。
サイト「今のなんすか?」
尾花先生「あぁ…おはよう、多分…ほら、生徒会の二人じゃないかな…理沙さんと、理沙さんを乗せた…"アカデミアン"」
ドキッ、華は心臓が跳ねる、あの時…もう一つ気がかりがあったのだ。
華「アカデミアン…」
あの時、確かにアカデミアンはヒーローだったはずだった、自分の能力で死にかける人を助けた、それに自分の能力であの大男を苦しめてしまったが…それを責めて来なかった…だが、何か恐ろしさを感じていた。
サイト「あ、空ー!って…まじかよ」
サイトの何か奇妙な光景を見たかのような光景に華はハッとして同じ方向を見る、それは確かに奇妙な光景だった。
昨日の大男と空が登校してるのだ、それも仲良さげに。
さらに奇妙なのは、大男は口は笑っているが、ずっと目は笑っていない、真顔のような目。
サイト「…空のやつ…結構カリスマ性ってのがあるのかな」
華は続けた違和感になにか疑問を持つ、晴れない疑問。
尾花先生「あー、こらー!地面を凍らせて滑るな、危ないから!」
能力を使い登校する生徒の一人を叱る尾花先生の声で再びハッとする華。
サイト「平気か?華」
華「え…うん…平気」
サイト「ほら、なら行くぞ」
華はサイトを追いかけるように小走りでいく。
ー校長室ー
男「ゼニスさん、昨日の緊急会議の件は片付いたのですか?なんだったのです?」
校長は手に持った本を見ながら話す。
校長「卒業生の不祥事です、今朝既に手は回しましたよ」
男「…また…彼が?」
校長「彼の仕事ですからね」
ー山奥ー
シュー、白い煙、焼けたような肉の断面、手がそこには落ちていた…。
ー校長室ー
男「それと…再び名の知られなくなった卒業生もいます、彼らの対処も…」
校長「トーキンスは妻とトーキンスの両方を既に埋めてありますし、橋本もまた、彼の妻と息子を宇宙に放り投げさせましたよ」
男は緊張したように震えながら組んだ脚を治す。
男「聞きたいのですが…その…えっと…彼の持つ"レシピ"を狙う理由は、やはり…効率を上げるためだからですか?」
校長「鋭いですね、立花さん」
校長は微笑みを浮かべる。
立花「…」
立花は唾を飲み込み、不気味な微笑みを浮かべる校長から目を離せないでいた。
ー生徒会室ー
茶色いソファーに脚を広げてリラックスして座っているアカデミアン。
アカデミアン「上原…犯罪報告は?」
上原「まだです…」
上原は綺麗な太ももの上にノートパソコンを広げてずっと画面を眺めている、そしてピンク色のポニーテールの垂らした前髪を指に巻いている。
アカデミアンはそんな上原を見ていて。
上原「えっと、どうしました?」
アカデミアン「なぜ緊張している?」
アカデミアンは微笑みを浮かべる。
アカデミアン「リラックスして…」
上原「すみません…まだ慣れていなくて、生徒会室は少し、私には豪華すぎて…」
上原は辺りを見渡しながら苦笑いでそう言った。
アカデミアンも同じく笑いながら。
アカデミアン「平気さ…君は平気、この部屋は、俺にすら…贅沢すぎるくらいだし」
アカデミアンは笑いながら続ける。
アカデミアン「でも君の能力は、人を救ってる。」
上原「え…でも、現場には行ったことが…」
アカデミアン「君が犯罪を見つけることによって…俺が行ける、そして…俺が救えるんだ」
アカデミアンは微笑みながら上原の手を握る。
上原「…ありがとうございます、そんな褒められるとは…思ってなくて」
上原は頬を赤くし目を逸らす。
アカデミアン「あぁ、犯罪報告があったらすぐに口に出して…耳はいつも澄ましてる」
アカデミアンは自身の指を指差して微笑んでは生徒会室から出ていく。
…
ピッ…!タイマーを止める。
男子生徒「6.8秒!」
華「はぁ…はぁっ…ふぅ…まだまだ平均以下ですか…」
華は額に垂れる汗を拭い100mコースから離れていく。
男子生徒は手に持っている表を指差しながら。
男子生徒「次…えーっと…ニバル…ニバル…これか、よーい!」
100m走の開始地点、クラウチングスタートの構えをする男。
男子生徒「ドン!!」
ニバル「ぐっ…」
クラウチングスタートからすぐさま四足歩行で走り出すニバル、まるでチーターのように走り。
ピッ!タイマーを動かしてすぐ止めたように感じた。
男子生徒「2.34秒!」
「んだよそれ…」「まじかよ…」
他の見ていた生徒は愚痴を溢す。
華「…(はっやぁ…)」
華は感心を示しながら減速してコースから離れるニバルを目で追う。
先程は注目もしていなかったニバルを良くみる、脚の筋肉はかなり発達しているが太いわけではない、体脂肪率がかなり低いように見えた、黄色い瞳に金髪のセンターパート。
華「…(…いかにも速い人って感じするなぁ)」
…キーンコーンカーンコーン…。
華「急げ急げー!」
サイト「ちょ…待てよ!速いって!」
サイトは食堂へ急ぐ華を走って追いかけていた。
その時。
華「あぅっ!」
何かにぶつかって尻餅をつく華。
相手はというとビクともせず立っていた。
華はゆっくりと視線を下から上に上げる。
華「う…ごめんなさ─…」
理沙「平気かしら?」
目の前にいたのは綺麗な瞳を持つ女性。
華「は…はい…」
華がゆっくりと立ち上がった時周りにいた生徒が言う。
「理沙さんだ!」「理沙さーん!」「相変わらず綺麗だなぁ…」
そんな肯定的な声。
理沙は微笑んで手を振りながら廊下を歩いて行ってしまう。
サイト「なんだ…?あの人、有名人か?」
サイトは腕を組みながら華に近づく。
華「…分かんない、でも…すっごい綺麗な人…。」
ー街ー
車の音が鳴り止まない街、人がいない時もない、しかしそれは場所に限定する。
人通りの少ない場所では…
男「ったく…シケてんなぁ…おい、これだけなのかよ?」
男は黒い革の財布を漁りながらそう言った。
被害者「ひっ…」
被害者は顔を紫に腫らしながら目に涙を浮かべながら何度も頷く。
男「ったく…もう俺達の敷地の前通るなよ?」
被害者「ご…ごめんなさい!」
被害者は慌てて土下座のポーズを取る。
目の前の男は唾を吐いて建物の扉から中に入っていく。
被害者の土下座で伸ばした手の傍にゆっくりと着地する何か。
被害者の男がゆっくりと顔を上げると笑顔で見下ろしている男がいた。
アカデミアン「彼はそこに?」
アカデミアンは建物の扉を指差して聞く。
被害者の男は何がなんだか分からないまま頷く。
アカデミアンはそれを見てさらに笑みを浮かべながらある紙を落とす。
アカデミアン「俺の名刺さ、覚えて欲しいからね」
そうして扉に手をかけて中に入っていく。
数秒後、バンバン!!銃声が聴こえる。
被害者「ひっ…」
男は震え、その場に尻をついて動けない。
ビー!!という音と窓から赤い輝きが何度も見える、窓に赤い血しぶきが飛んで来たりもしていた。
アカデミアン「ふぅ…」
少ししたらアカデミアンが汗を拭いながら出てくる、黒い財布を男に投げ渡し、膝を曲げてジャンプするように飛んで行ってしまう。
既にこの世界は犯罪の取り合いだった。
別の場所では。
明かりの少ない場所で立てこもり事件。
アナウンサー「た…たった今制服を着た女子高生を静止出来ず中に入ってしまいました!」
和室の一部屋。
縛られた女「んー!んー!」
男1「っ!くそ!黙れ!黙れ!」
バキッ!銃の底で殴る立てこもり犯。
男2「お…おぉい…殺すなよ!車を用意させないと!」
男1「わ…分かってんだよ!」
その時、和室のふすまがドン!!と強く開く。
理沙「降伏しなさい」
理沙が微笑みを浮かべながら入ってくる。
男1「な…なんだ!お前!」
男1はすぐさま縛った女に銃を向ける。
女「っ…!んー!!(やめて!!)」
理沙は目を淡いピンク色に光らせる。
外の警官達は外から窓を見ていた。
警官「っ…くそ…どうすりゃ…」
アナウンサー「未だに立てこもりは続いております…」
バン!!!!中から銃声が聴こえる。
アナウンサー「っ!今!今!銃声が聴こえました!!」
勿論、中で倒れてるのは縛られた女性でも理沙でもなかった。
男2「お…おい!な…なんで自分に向けて発泡なんか…」
男1は銃を持って頭に風穴を空けながら倒れていた。
理沙「こっちを見て?」
理沙は近付きながら再びピンク色に目を光らせる。
男2「っ…来るな!来るな!」
バン!バン!バン!と…ハンドガンを連発する男2…
しかし、理沙の身体はその銃弾をことごとく弾き返した。
火花が散り、潰れた弾丸がカラカラと畳の上に落ちる。
彼女の着ているクリーム色のカーディガンに穴が開くだけ。
男2「っ…!」
理沙は目を光らせるのをやめたと思えば相手の弾が尽きるまで撃たせながら進む。
男2「こ…このっ!このっ!」
カチッ…カチッ!犯人は弾の出ない銃を投げる。
銃は硬い壁に投げたかのような挙動でその場に落ちる。
理沙はそのまま間近に近付いていく。
…その後。
銃声が聴こえ中に突入する警官達。
部屋は泣いている無事な人質、そして一人は頭に風穴を空け倒れていて、もう一人は胸部に穴が空いて倒れていた。
警官「っ…これは…」
警官は泣いている女性を見ると目がピンク色に光っている、そしてその光はやがて広がり部屋の中は光でいっぱいになった。
…
テレビでは警官が目をピンク色に光らせ話していた。
インタビュアー「立てこもりの事件、そして犯罪組織…立て続けに死亡者を出しての解決ですが…これは正しい事なのでしょうか…」
警官「被害者がナンデアレ…無実の人がスクワレました…」
警官がインタビュアーに目を合わせた瞬間、インタビュアーも目をピンク色に光らせるのだった。
続く




