第十一話 先生たちとの再会
【ラルク視点】
食堂に運び込まれた何人かの国民をローザが暗殺すると言う事件が起きた。
まぁ、確かにケケッしか言わない怪しい人だったからね…でもまさか魔物だったなんて。
言葉を発さなければ、誰も魔物だとわからないぐらい精巧な擬態だった。
ローザに倒された擬態魔物は、カエルの姿へと戻っていき、ダンジョンの中ということもあり、吸収された。
息子だと信じて疑わなかった母親…隣にいた人が妻だと信じて疑わなかった夫…友人だと信じて連れてきた人…その誰もが目の前の光景をみて、愕然とした。
「申し訳ありません。私のギフトは『鑑定』ですので、魔物と判断された者たちをこれ以上進ませるわけには参りませんので、勝手ながらこちらで処理させていただきました。この魔物は捕食対象に姿を変える個体だと思われますので、酷な話ですがあなた方の愛する人は既にこの世にいないものと思った方が宜しいかと」
淡々と話しながら食堂の入り口付近で、人の選別をするローザ。
まぁ、僕たちの安全が第一だからね。
悪いけどローザが悪意ある者=魔物と判断したのなら受け入れてもらうしかない。
「坊ちゃま、後の方は大丈夫です」
「ローザにだけ負担を強いてごめんね」
「いえ、私よりもメアリーの方がもっと負担かと…あの怪力女は嗅覚だけで見分けるしかないので…ハァ。癪ですが帰ってきたらうんと抱きしめて褒めてあげてください。それだけでメアリーには充分な御褒美ですので」
「まぁ、それぐらいで良いなら」
「抱きついてきて、犬のようにクンクンされても決して逃げてはなりませんよ」
「う、うん」
ローザだって、僕の頭を犬のようにクンクンするけど僕逃げたことないよね?
寧ろ臭くないかなってそっちにばっかり意識が行っちゃうんだけど…。
「オーナー様!これで、生きてる者たちは全てです。亡骸はどうされますか?」
戻ってきた冒険者に言われて、僕が何かを言おうとしたのをローザが制する。
「こちらに全て運んでください。亡くなった者たちと直に対面することで、このまま行方不明として処理するよりも受け入れることで前に進める人もいるでしょうから」
「はっ!執事長様の言う通りにさせていただきます!」
うちで働いてる女冒険者たちは、メアリーのことをメイド長様と呼び、ローザのことを執事長様と呼ぶようになった。
聞くところによるとうちで働いてる女冒険者さんたちはずっとここで働きたいらしくて、メアリーやローザからメイドとしての嗜みや執事としての嗜みを学んでいるらしい…2人の上司が知ったらどうなることやら。
「おぉ、関係ないピープルをレスキューするなんてベリーグッド!星小学校でティーチャーする私もノースが高いですよビスマルク君」
この独特な喋り方は、英語のアマンダ先生だ。
無事で良かった。
「アマンダ!貴方普通に日本語話せるでしょうが!久しぶりねラルク君。他のみんなは?」
この声は美術の三間坂先生だ。
物凄く絵が上手い先生で、僕も絵を描くのが好きだったから感心して、一度近付き過ぎて驚かせてしまったことがある。
無事で良かった。
「ラルク君が無事で良かったです。他の子たちは見ていませんか?」
この透き通るような綺麗な声は、音楽教師の琴坂先生だ。
実は、2人でカラオケに行った事がある。
ドイツの讃美歌について知りたいと誘われて…。 無事で良かった。
「ラルク様、御無事で良かったです。私たち大人の方が頼りなくて、ごめんなさい」
僕のことを様呼びするのは、星小学校に臨時の家庭科教師として雇われた家事ノ宮先生。
実は、うちのメイドの1人で、学校での僕のお世話役だったりする。
まぁ、メアリーは教員免許持ってないしなぁ。
うちのメイドの中で、教員免許もあり、家事全般なんでも得意な得子が選ばれたんだよな。
で、屋敷と学校での姿が全然違うからホプキンスたちも気付かなかったんだろうな。
知ってたら真っ先に連れ出してるだろうし。
「アマンダ先生・三間坂先生・琴坂先生・家事ノ宮先生が無事で良かったです」
「それにしてもダンジョンをテリトリーにするとは、グレイトです!」
「だから、アマンダは普通に話しなさいっての。ラルク君、ここにいるのは君だけ?」
三間坂先生の問いに対して僕の後ろでクスクスと笑いながら挨拶を始める2人。
「お久しぶりです先生様方。ラルク様のメイドをしております渡会円です」
「同じく、ラルク様のメイドをしてる伝通佑だ」
「渡会さんに伝通君!?全然、分からなかったわ。でも、こんな異世界で生徒が3人無事なだけでも御の字よね」
三間坂先生がそんなことを言ったので俺は。
「円とユウだけじゃなくて、袮夢に澪に絢に萌子に早苗に綾子に読子に菜乃花に依子に純子、ボクを入れてうちのクラスは13人無事です」
「おぉ、見事なまでのウーマンばっかり、ビスマルク君はハーレムキングですね!」
いや、僕の精神年齢はおじさんだからなぁ流石に子供に対しては、恋愛感情は無いよ。
魅力的な大人の女性…先生たちなら別だけど。
「ラルク様は昔から女性を惹きつける魅力の持ち主でしたから」
得子は、うちの家が懇意にしている家事ノ宮家の末の娘ということもあり、うちで僕が2歳の頃から働いている。
「確かに私たちに対しても距離感がおかしい時がありますね…カラオケの時大人と子供なのに何故かドキドキしましたし」
いや、それは琴坂先生がラブソングをデュエットで歌おうなんて言うから。
でも、僕が素敵だなぁと思っていた先生が棚瀬先生と黛先生を入れて5人全員無事だったのは嬉しい。
得子は先生というよりはメイド色が強いから先生としてはカウントしてない。
まぁ、素敵な女性であることには変わりないけど。
双子で産まれてくるはずだった姉がお腹の中で亡くなって、得子の中に魂だけ居着いてるのを気味悪がられて、厄介払いされたんだよな事実は。
そこを俺が父に頼み込んでというか、家事ノ宮家が誰を坊ちゃんの世話役にと言ったのを得子に抱きついて、得子が良いってごねて、うちのメイドとして雇ってもらった。
というか得子以外、何というかあわよくば玉の輿を狙ってそうな目をギラギラさせていて、嫌だったんだよね。
ここまで、お読みくださりありがとうございます。
少しでも続きが気になると思っていただけましたら評価・良いねしてくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。
それでは、次回もお楽しみに〜




