第十一話 兎テイム
【ラルク視点】
僕とした事が先ず身を守る術となり得るギフトの確認方法を教えるべきだったのに、ここが何処かという意識にずっと支配されていた。
メアリーに言われて、皆んなもギフトを確認できたみたいで何より…。
「僕の従魔になって兎さん」
ん?
1人の少年が僕の前にやってきたかと思うとそんな事を言う。
うーん、この子のギフトはテイム系なのかな?
ここは、子供の夢を壊さないように乗るべきか?
「うーん、無理って事は、この兎さんは既に誰かにテイムされてるってことかなぁ?ざーんねん。うーん、兎さん欲しいし、外に探しに行くべきかな?うん、そうしよう」
「待てい!」
ここは現実と違って異世界で危ないということをまるで理解できてない言葉に堪らず言葉が出た。
「待たないよ。異世界の兎が僕を呼んでるから」
「はっ?」
いや、マジで意味がわからない。
「外は危ないって言われたでしょ好司君」
「元はと言えば、愛美先生が悪いんですよ。僕が再三、倉間幼稚園で兎を飼ってくださいって言ったのに、家の中で兎を飼うのは無理だって…多くの幼稚園が兎を飼って動物との触れ合いを学びに取り入れてますよね?家だから飼えないなんて通用しないと思いますけど」
あー、理詰めで自分勝手なことを言って、自分が1番正しいと思ってるタチの悪いやつかぁ。
こういうのって、この世界ではかなり危険だと思う。
多分1人にしたら一瞬で殺される。
「それはね。うん、私も悪いとは思ってるけど…自宅幼稚園は他の幼稚園と違って、そういうのは無いんだよね」
「無いなら作れば良いんです。動物との触れ合いは愛護精神を育む上で重要とされてます。そういうのを自宅を理由に放棄なされたのは愛美先生の方ですよね」
うわぁかなりめんどくさいやつだ。
更に語尾にはい論破なんて付け出したらもう絶対手に負えない。
「何言ってんだよ好司。テメェがただ兎を飼いたいだけで愛美先生を困らせてるだけだろ」
「それは違います。僕は、愛護精神に基づいて話をしています。動物を世話すること、それは優しい心を育みます。ウサギを飼えば、年長の者が下を締め付けることもなくなります。貴方のようにね」
こんなのの相手を毎日する愛美、大変だろうなぁ。
ハァ。
「兎の魔物で良いの?」
「えぇ、貴方が呼び出したものじゃなくて野生のですよ。それと…これも用意してください。用意してくださるのでしたら、外に出ずに大人しくしています」
メモ用紙?
えーっと、美結専用の可愛いバニー服?
うわぁ、好きな子にバニー服を無理やり着せようとするとかコイツマジでヤバい人間なのでは?
いっそのこと勝手に外に出して、野垂れ死に…それはダメだよなぁ。
めんどくさい人間だからって追い出すなんて良くない。
バニー服の方は西方寺さんに頼めば何とかなるだろうし、兎の魔物の方が厄介かな。
「準備するよ。だから、もうみんなを困らせないでくれるかな?この異世界では勝手な行動をした人間から死んでいくから。幼稚園児だからって勝手な振る舞いをしてたら真っ先に命を失うことになるよ」
「えぇ、兎の方は宜しくお願いします。後、それは脅しですか?団体行動ができない人間は殺すって事ですよね?これだから大人は」
自分に都合が悪いと脅しだのなんだと言う…うわぁマジで極力関わりたくないレベルの人間だ。
俺は後日、猫宮さんを呼んだ。
「ラルクくん、どうしたにゃん?」
「猫宮さんに相談があってね。スコッティちゃんとチーちゃんに頼んで、兎の魔物を生きたまま捕まえて来てもらうことってできる?」
「簡単にゃんね。スコッティちゃんもチーちゃんも暇な時に狩に出て、ホプキンスさんに新鮮な肉を届けてるにゃん。そのついでに兎の魔物を捕まえて来てもらうにゃん」
「にゃう!」
「はう!」
しっかりと返事をしてくれてるあたり、任せても良さそうかな。
それから数時間後…。
「にゃう!」
「はう!」
ファンタジー世界ではお馴染みになりつつある一本角の生えた兎と世界的に人気なネザーランドドワーフそっくりで、その大きさが人間よりも少し大きい兎が怯えた状態でそこにいた。
「これは良いのを捕まえて来ましたね。ホーンラビットの角は生え変わるので薬として重宝されてますし、ビッグラビットの毛皮はフサフサで、ベッドの素材に使われています」
キャロットが詳しく説明してくれた。
うーん、兎好きでも流石に人間ほど大きい兎は嫌だろうか?
「でも、マスター1つ忠告を、あの舐めたクソガキにこの子達を手懐けられるとお思いですか?」
「キャロットは無理だと考えてる?」
「えぇ、猫宮様と違い他人任せの時点で無理でしょう。テイムとは双方の信頼関係が1番大事ですから」
「にゃう!」
「はう!」
スコッティちゃんとチーちゃんが肯定するかのように首を振るならそうなんだろうな。
「まぁ試してみるだけ。無理だとわかったら諦めるでしょ」
と兎岳少年の目の前に連れて行ったみた。
「流石はファンタジー世界です。角が生えた兎に、人間よりも大きい兎ですか。では、僕の従魔になれ!」
反応はない。
「そうですか。僕を騙そうとしたんですね。僕のギフトは兎テイム、どんな兎の魔物だろうが従える事ができるそうです。なのに、反応がない。彼らも貴方が呼び出した魔物なのでしょう?」
うわぁ、自分に悪いところがあっても絶対に認めないタイプの人間だぁ。
そう来るのならこっちも。
「ハァ。スコッティちゃんとチーちゃん、野生でも無理だったからこの子達を楽にしてあげて肉は、ホプキンスに、毛皮は西方寺さんに届けてくれる?」
「にゃう!」
「はう!」
猫宮さんの頼れる相棒たちは瞬く間にホーンラビットとビッグラビットを調理した。
「な、なんて酷いことをするんだ!貴方には愛護精神は無いんですか?」
「なら聞くけど君は鶏肉も卵も豚肉も牛肉も魚も食べないって事で良い?」
「それとこれとは…」
「一緒だよ!愛護って言葉を履き違えているんだ!愛護っていうのは大切にすること、主に大事に家族のように可愛がってるペットに使う言葉なんだよ。それを、鯨を殺したらやれ愛護精神が無いだの。日本には、いただきますって文化があるよね?あれって、大地の恵みに感謝するって命を頂くことに感謝するって意味なんだよ。それも立派な愛護精神だと僕は思うけど。大切に命を頂くっていうね」
「…」
良し、何も反論できないぐらいに論破してやった。
暫くそうして考えたら良いよ。
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それでは、次回もお楽しみに〜




