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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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私はパニくる人

こうやってそれなりに生きてきて、例えば人生が長い長い登山道だとする。若い頃はただただひいひい周りの景色も見えない上りの道を一心不乱に上るようなもんだ。中年になってくると、そんな上りが一旦下りになるか、或いは平坦な峰を行くような時もあるだろう。そんな峰に立って初めて、人は周りを見渡す。


長い比喩でしたが、やっと最近になってそういうちょっと落ち着いた気持ちで周りを見渡せるようになってきた。もう少し具体的にいうと、他人と自分を比較してその差異を冷静に眺められるようになってきた。


そうすると、自分にはあって他人にはない癖というか習慣がある。


本日トピックにする私の色々ある癖のうちの一部を『ポアロ癖』と名付けよう。別にこんな名前の精神症とかないから検索するなよ。命名汪海妹である。


エルキュールポアロのドラマをご覧になったことはあるだろうか?ある?それでは、よくポアロが机の上に並んでいるものを並べ直しているのをみたことは?私には総じていうとああいう癖がある。


物を整理していると落ち着くのだ。


朝から会社に来て、仕事を始める時、スケジューラーを開いていちいち自分がやることを書く。これも緩やかに大体順番が決まっている。朝は必ずメールチェックで、その次に会社の顧客レポートの進捗をチェック、それから、開かなくても覚えているのに、タスクを開いてどの仕事をやるか選んで、それをまたスケジューラーにいちいち書く。


めんどくせえ、と思ってこういうことをしない人もいるだろう。しかし、好きな人もいるのだ。


仕事してると時々矢継ぎ早に案件が飛び込んでくることもある。そうすると、自分は必ず儀式のように あわあわ する。


え、あ、どうしよう?何からやるんだったっけ?え?順番決めていたのにかえなきゃ!


ポアロ癖のある人は、朝、会社に向かいながら、今日何をしなきゃいけないんだっけ?と考えて、それから会社についてから順番を決めて仕事にかかる。整えている。それが順番を狂わされると弱い。


パニくる。


あわわあわわする。


落ち着け、自分、と思う。からの、


いろいろ案件入ってきて忙しくなっちゃってるはずなのに、とても意味のないことをします。例えば、メールボックスのメールを顧客ごとにドラッグアンドドロップする。


チーン……


世紀末的にダメだな自分と思う瞬間である。メールなんてね、手でマウスカチカチしながらフォルダに入れて整理するものではないんです。メールルールを設定しといて、自動でフォルダに入るようにしとくべきなんです。


そんなこたぁわかってる。


でも、あわわあわわ状態の自分を落ち着かせるためには、こういう意味もなく整理する 儀式 が必要なんですよ。


例えば、メールをフォルダにわざわざ手で入れたり、いらないメールを削除したり、いらない紙を二分の一の大きさに割きながら裏紙作ったり、尚且つ、例えば見積もりとか、例えば請求書とか、例えば契約書とか、例えば報告書とか、延々とメールに添付されたりしたのやフォルダ内にごちゃっと保存されたのを、ちまちまちまちまと保存し、タイトルを揃え、見目よく


整える……


パソコンの共有フォルダの中に整然と並ぶルールに基づきタイトル付けされたファイルたちを見ていると、愛しい我が子と思う、からの


沸々とエネルギー復活し、


おっしゃあああああ


リゲインを飲むよりも、一見無駄に思える 整理作業 をしていると、私はやる気を持ち直して復活する人間です。


だ、だ、大丈夫?この人、ちゃんとサラリーマンやってるの?と思ったみなさま、


ここだけの秘密にしてくださいね❤︎てへ。私がポアロ癖に侵されていることは秘密である。


ところで最近、違国物語というアニメを見ています。両親を事故で失った高校1年生の姪、姉の娘を引き取った独身女性、職業は小説家。この女性が、いわゆる発達障害なのかな?こちらの方も矢継ぎ早にあれやこれや責め立てられるとパニくる人なんです。


「ちょっと待ってください!」


このシーンが、自分的にはデジャブのようだった。私、このパニくる状態、よくわかる。


これの、プチ、私、あるなー


テミスの不確かな法廷も発達障害というマイノリティを描いている。最近はマイノリティについて取り上げた作品が増えたように思う。そんな作品を見ていると、生きるヒントを拾うこともある。


人と違くても、人と人の間で頑張っている人たち、違国物語の主人公まきおちゃん(女性)は、パニくるとその時目の前にいる人に対して、「わたしはこういう状況だとパニくる人なんです」と自分のできないことやその原因を説明している。


こういうのって大事だと思うんですよね。自分が人と違うことが自分で認められなくて、他の人と同じようにやろうと無理をすると、パニックが止まらない。人と違ってもいいと思うんですよ。他人から見たら無駄なことを自分がそれで落ち着くのならやればいいし、周りの人に対して「自分はこういう人間なんです」というマイナスアピールをしたっていいと思う。それで、パニックが収まるなら。


反面、テミスの不確かな法廷では、自分は発達障害なのだということをカミングアウトせずに生きている裁判官の話が続いています。こちらもこちらで今後どうなるのかが気になってます。


世の中いろんな人がいる。私は予定通りにいかないことが苦手で、予定通りにいく予定を立てるために、予定と実績のずれやずれた原因をメモしまくっていくポアロ癖な人。ものを整えるとホッとするので、共有フォルダにいつまでにデータをアップしといてと言われて、ウキウキと数時間で終わらせた。


そんなことに喜び、締め切りの1週間も前にデータをアップしたのは、会社の中で私だけだった。


また、メモ魔である自分は、些細なことを忘れない。頭だけで記憶してたら当然忘れるのだが、ポアロ癖のある人間のメモは裏切らない。ちなみにそのメモの順番や書き方を、整えるのが好きだ!(→つまり病気なんです)


整えるのが好きで、しかも、いっぱいになっちゃったタスクを少しずつ減らすのが好きだ!予定と実績を延々と緻密に記録した挙句、その実績からくる神予定(限りなくずれない予定)を立て、尚且つ、


「ここでこんなことが起こったら、0.5日ずれっかもしんないですけど」


と頼まれてもいないのに、事細かに予定と段取りについて熱く語り、しかも、その予定が、前倒しでずれるのが好きだ!とにかく、何より、仕事を前倒しで終わらし、タスク帳にびっしり書き込まれたTODOを消す瞬間が好きだ!


ヴィクトリーーーーー!


とたかが、一つ仕事が終わっただけで、叫んでいる。エクセル表のマス目の幅と高さをきっちり揃えるのが好きだ!(→病気なんです)きっちり揃えたからって、あたしの給料が増えるわけでもないのに、整えるのが好きだーーーー!


なんの話でしたっけ?


そう、わたしはパニくる人。パニックを収めるには、自分の儀式を持つことだ。一見無駄に思える儀式が、パニくる人にとっては意味のある大切なものであることもある。尚且つ、多面的に物事を捉えれば、自分のその直せない癖や傾向も、使い方によっては役に立つこともある。私のように延々と物を揃えて記録することに喜びを感じる人も世の中には必要なのだ。


汪海妹

2026.03.16

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