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リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの馬事《まこと》騒ぎ~
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副長ハリマが経緯を語る

どうもアゲインストでございます。

今回はどういう経緯でこうなったかというお話です。

それではどうぞ。

 クラン「青き鬣」の建物内にある、談話室のような部屋。

 ギルドなどからの依頼や商人などとの交渉に使われている部屋であり、今はそこに三人の人間がいた。

 一つのクランにおいてその実力を認められたその三人は、しかし組織に属しているとは思えないほどに冷えた様子でそれぞれが好きな様にしていた。

 とは言ってもハリマとベンは机を挟んで座っている。ケインだけがそこにから離れたところに壁を背にしているので彼だけが距離を取っている形だが。

 

「で、一体どういうことなんですか? いきなり剣闘大会だなんて、そんなこと今まで一度だってなかったじゃないですか」

「…まあ、驚くのも無理はあるまい」

 

 ベンとしては自分の決意に横やりを入れられた結果となってしまっているこの大会には承服しかねるものがある。

 こんなことをしなくたって、自分がケインとの決着をつければ何も問題はないはずだ。それをどんな意図があって邪魔するのだろうか。

 

「リーズと言ったあの男の策略よ。あの男、冒険者ギルドどころか街の人達も抱え込んでこの大会を画策しおった」

「は? 嘘でしょう」

 

 それはありえない。

 あいつがそんなことできるような時間は無かったはずだ。今日はマチルダと一緒に行動をしていたはずだし、昨日来たばかりのあいつにそんなことをできるような人脈なんてないはず。

 

「それが協力者がいるのだ」

「は?」

 

 協力者だと?

 こんな荒唐無稽なことに乗るような人間がこの街にいるというのか。

 

「シャハト殿だ」

「嘘でしょう」

「本当だ、しかもそれだけではない。先程も言ったが冒険者ギルドの者達がかなりのやる気を見せている。もう夜だというのにあそこは大忙しだ」

「そんな……」

 

 一体どんな手を使ったいうのか。

 そして何より、それに巻き込まれている現状をどうするべきなのだ。

 

「別にいいじゃん」

「ケイン……」

 

 戸惑う俺に対して何でもないことのように言うのは壁際で話を聞いていたケインだ。

 不敵な笑みを顔に浮かべるケインは、まるで楽しみだというように肩を上下に揺らしてクツクツと笑う。

 

「だってそうでしょ。この街で一番を決めるんだ、それに勝つってことは当然みんなに実力を認められるってことだ。それなら誰もが僕がクランの長になることを認められるはずじゃないか」

「てめぇ、この後に及んでそんなこと!」

「なら出なきゃいい。どんな奴が相手だって僕は構わないけど、出もしないような奴のいうことを聞くつもりはないよ」

「くっ……」

 

 ケインの奴はことの他乗り気であった。

 言っていることも、そこまで間違っていることではない。力を持つ者がその権利を主張することはなにも間違っていない。

 しかし、それを認めるわけにはいかない。

 

「馬鹿馬鹿しい、そんなものに出たところで誰が認めるものかよ。お前がやってきたことが、クランの長として相応しいわけがないってことはお前が一番分かってんだろうが。それに、副長のハリマさんだっているんだぞ。お前じゃ」

「だから、やってみようっていってんのさ。言っとくけど、僕だって遊んでたわけじゃないんだ。それに、僕だって何も聞き分けがないわけじゃあない」

「なんだと?」

 

 そこまで言って、ケインは俺達の方へと近寄ってくる。

 そして取り出したのは冒険者としてのランクを証明する、鋼で出来たプレート。それをハリマさんの方へと差し出した。

 

「…何の真似だ、これは」

「もし僕がこの大会とやらで無様な結果を晒したなら、この証を返上するよ。その後の処分は副長であるあんたに一任する。でも僕が長に相応しい結果を示したなら、あんたの推薦でそれを銀ランクに変えてもらう」

 

 そう言うケインの言葉に対し、俺は言われた側であるハリマさんの反応を待った。

 いつもケインが長に着くということを否定してきたハリマさんだが、今回はいつもとは違う様子であった。

 どうにも悩んでいるようで、もしかしてと思っていると。

 

「ケインよ」

「なんだい」

「相手の中にはどうやらかなりの使い手がいるようだ。そいつはなんでもお前の父、ドイルと同等の腕を持つとか」

「はぁあ!? ありえないでしょ!!」

「そうだ、そんな奴が来たならばこちらにも情報が来ているはずだ。それなのに全く正体が分からん。そこでだ」

 

 ハリマさんは俺達二人を見据え、こう条件を出してきた。

 

「いくら動けないとはいえ、クランの長に匹敵するなどと口外されては堪ったものではない。

 ケイン、ベン。お前達はこの相手を公衆の前で打ち倒すのだ。見事それを果たしたのなら、それを成した方の望みを聞こう」

 

 どうかんがえたらそうなるのか。

 というか、何故俺がそんなことをしなければならないかと声を荒げようとすると。

 

「ベン。これはお前にとってもよい機会なのだ。見る限りそれなりの準備をしてきたようだが、だからと言って私闘を認めることはできん。だが試合という形であれば、お前たちの戦いにも正当性があるものとなろう。お前にとっても勝敗に言い訳の利かない舞台ならば調度よかろう」

「そう、言われると……そうですが」

 

 だが、いいのか?

 この大会はどう見てもおかしい。どんな思惑があのリーズ・ナブルにあるのかが分からない以上、参加するなんてことは

 

「怖いなら出なくていいよ」

「やってやらぁああこの野郎後悔すんじゃねぇぞ!!!!」

 

 

読了ありがとうございました。

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします。

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