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リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの馬事《まこと》騒ぎ~
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リーズ・ナブルと鍛冶師のシャハト

どうもアゲインストでございます。

鍛冶師のシャハト、イナナキの街で一番の鍛冶師である。

そんな彼との出会いはリーズのどう影響するのか。

それではどうぞ。

 シャハトと名乗った筋骨隆々の老人、シャハトはやりとりもそこそこに馬車に積み上げられた荷物の搬送を頼んできた。

 大小様々な木箱がそこにあり、どうやらこれを彼の仕事場である鍛冶屋の建物に届けるのが次の仕事らしい。

 

「しかし、今回はいつもより多いな」

「王都でいろいろあったみたいでな、魔物の生息域も変わったせいか普段は見ないような魔物がおってな。珍しくてつい買い込んでしまったわい」

 

 魔物の話で俺に目が当てられる気配がしたが、素知らぬ顔をして木箱の数を数えている。

 どうせ俺が王都から来たからってことだろうが、関わりないってことになってるんでこっち見ないでください。

 

「どんだけあんだこれ」

「二十はある、そんでもってこれが一番の収穫じゃ」

 

 通行人の邪魔にならないように中に入ってから荷物検分をしていたんだが、爺さんが奥から持ってきた木箱の中を開くと、そこには結構予想外なものが入っていた。

 

「どうじゃ、この純度のものがこんなに手に入るなぞ幸運としかいいようがないわい。これでまた一級に足る傑作を作れそうじゃ」

 

 木箱に入っていたもの。

 それは大量の魔鉄だ。

 しかもこの輝き、魔力を豊潤に含んだ上物だ。よくもまあこんな貴重なものをこんなに仕入れることができたもんんだ。

 俺が使っているような半端なものじゃない。拳ほどの大きさで俺が使っている鎖と同じかそれ以上の魔力を感じる。

 

「どうじゃ、よい輝きじゃろう」

「ああ、これなら魔鋼に鍛えても問題ない。鍛造の過程で魔力が散るような脆弱な屑鉄とはまるで違う」

「ほう、見えるか魔力が」

「扱ってるもんが扱ってるもんでな、敏感なんだよ」

「ふむ。面白い奴じゃ」

 

 どうやらこれの価値がわかったことが気に入ってもらえたのか、かなり好印象を与えることができたみたいだ。

 俺としてもこんなものを扱える技術者との縁ならば大歓迎だ。できればもっといろいろと話をしたいところなんだが。

 

「立ち話はそこまでにしてくれ、二人とも。シャハトの爺様も弟子たちを待たせているんだろ?」

 

 マチルダは話し込もうとする俺たちを遮って仕事を進めようとするのだ。あんたも戦士なら武器にどんな素材が使われているか興味もった方がいいぜ?

 

「かぁー! 何が弟子じゃ、あの青二才ども! 鋳造のほうがコストが削減できます、なぞと軟弱なことを言いおってからに。武器は鍛造に限るに決まっとるじゃろうが!!」

「いくら良い武器でも買う人が居なければ問題外でしょう。鉄の剣を買うのにもそれなりに金が掛かるんですから、新米の冒険者たちにはその方がいいでしょう」

「それが原因で負傷して武器のせいにされてはこっちが堪ったもんじゃないわい」

「やれやれ、爺様は相変わらず頑固だ」

「ふん。この街の雰囲気よりはマシというものじゃ」

 

 二人が話をしている間に魔鉄の見分をしていたのだが、爺さんが不機嫌そうに蓋を閉めてしまったのであえなく終了となってしまった。

 

「……話の続きは店でやる。ついてこい」

「分かりました。リーズ、行こう」

「うーす」

 

 馬の扱いに慣れたマチルダを先頭に、爺さんの仕事場である鍛冶屋の店まで同行する。

 それなりに歩き、街の中央から少し離れたところにある、こういったものを纏めたような店が軒を連ねる冒険者の区画とでも言うべき場所についた。

 彼の店はその中でも目立つ、かなりの大きさをもつ店舗であった。

 

 

「青二才ども!! 大師匠が帰ってきたぞ!! 出迎えをせんか出迎えを!!!」

 

 自分の城に帰って来たというのに大声で怒鳴るように中にいる奴らに呼び掛けている。

 俺たちは先に馬車の中から順番に木箱を外に出す作業をしている。俺が中から外で構えているマチルダへと手渡す。中には箱の大きさと重さが違うものもあったりしてかなり気を付けなければならない。

 

「これ重いっす」

「よし」

「これ軽いっす」

「うむ」

「これはゆっくり運んで、割れ物だ」

「本当にいろいろあるな」

「そんだけ爺さんの技量が高いのさ。じゃなきゃこんなにいろんな種類の素材を扱えない」

 

 おそらく液体か何かを梱包してあるのだろう木箱を外に運び出したときにやっと中から人が出てきた。

 師匠が帰って来たことにようやく気付いたというような感じで慌てて出てくる。しかも一人だけとは、何かおかしいな。

 

「師匠!? いつの間に帰って来ていたんですか!?」

「いつ帰って来ようが儂の勝手じゃろうが、なんでお前らに伺いをたてなきゃならん」

「いや……その、ですね」

 

 見れば冷や汗だらだら、といった具合でどう見たって後ろ暗いことを抱えてますよと言っていつような顔をしている。

 どうにも彼は爺さんを中に入れさせたくない、というような具合だ。

 そんな言い合いを横で聞いていると、中から何かが落ちるような物音が連続して響いた。

 全員の視線が店の中に向かう。

 どうやら、本当に何かをやらかしているようだった。

読了ありがとうございました。

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします。

評価、ブクマも御一考。

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