リーズ・ナブル、久々のお仕事
どうもアゲインストでございます。
仕事の朝だ、リーズは現実と戦う、無駄飯食らいにならないために。
今回は新キャラ出てくるよ、男だけどな。
それではどうぞ。
朝が来た。
ある程度装備を解いて眠っていたが、ここでは馬の鳴き声が目覚ましのようなものとなっているのか、彼らの動き出す時間が俺たちの起き出す時間のようだった。
外の蠢きを感じて目を覚まし、各間接を動かして体の淀みを解きほぐしていく。
今日の予定としてはマチルダと共に一日いろんな所をまわりながらそれぞれの仕事をしていくこととなっている。
彼女の実力から言えば、こういったことで街の内外に存在をアピールすることで治安を維持するのに一役かってるのだろうと理解できる。
そんな彼女に時間があるわけはなく……もうそろそろだろうか。
正直少し時間がほしいが、そうも言っていられないだろう。こちらのことばかりを考えていては物事は円滑に進まない。
昨日のベンのように、気持ちばかりが前のめりではいけない。目的から目を反らしてはいけない。そこに進む道をきちん踏みしめ確かめなければいけない。
進むということは、転ぶリスクをいつだって抱えているということなのだから。
扉を叩く音がして、俺を呼ぶマチルダの声がした。
さあ、早朝の鍛練といきましょうか。道行きをタフに進むためには強さが必要だ。それが得られるなら、なぶられるのだって糧にしよう。お仕事だって楽しいもんだ。
んじゃまあ、行きますか。
「よし! 朝はここまで!!」
と思っていた時期が俺にもありました。
もう、ダメですわ。
昨日やったせいか結構動きを読まれてしまい、避ける先を潰されて打ちのめされる展開が多すぎた。槍の速度も昨日より速く手数で圧倒されてしまった。
「飯を食べたら外へ行く門のところに来い、早くしなければたとえ食べ掛けだろうと連れていくからな」
それだけ言い残した彼女はさっさと行ってしまわれた。
「……ていうか、食堂どこだよ」
痛む体の節々を擦りながら、よろよろと動きだす。
幸いにして俺たちの鍛練を見ていた奴らがいたようで案内をして貰い、何とか朝食にありつくことができた。
パンと肉、野菜。なんとも健康的ですこと。
邪魔をされては堪らないのでさっさと腹に納めてさっさと門へと向かう。連れてきてくれた相手に会釈をして食堂から退散した。
先ほどの彼のもそうなのだが、やけに今日は人の目が多い。
注目されている、というより気に掛けてもらえているというのが正しいのだろうか。
こんな視線に晒されるのに慣れていないので、どうにも居心地が悪い。やはり同情されているんだろうか、あの筋肉女にボコられているのが効いてるんですかねそんなに。
歩く先々でそんな目線に会うもので、それから逃れるように自然と足が早くなってしまう。
思ったよりも早く門のところに着いてしまったが、マチルダは既に来ていたようで軽くストレッチなどを行っている。早朝に同じような運動量をこなしたはずだが、好きに動けた分だけ消耗が少ないのだろう。
「来ましたぜ」
「早いな。旨かったか? ここの飯は」
「まずまずってとこっすかね」
「いいだろう。腹ごなしが済んだならば早速仕事だ。まずは外壁で他から来る客の相手だ。粗相をするなよ」
「任せろよ。礼儀作法なら宮廷マナーまで網羅してるぜ」
「そこまではしなくていい」
おお、地獄の日々よ。
必要ないってさ、記憶と共にどこかにいってくれ。
自信満々な顔で言う俺を昨日みたいに呆れたような表情で返してくるマチルダに連れられて俺がこの街に来た時の外門へと来た。
「……あいつはどうした?」
「ベンなら帰った。私の方からも言い聞かせてあるからもう関わることはないだろう」
「……ならいいけど」
途中、昨日の騒ぎに巻き込んでしまった宿屋が見えた。
どうやら荒れてしまったものは何とかなったようでそれなりに繁盛しているようでこちらとしても安心した。中から出てきた店員からまるで可哀想なものを見るような顔をされたけど問題ない。ちょっと心が痛んだだけだ。
門にたどり着けば人の波、波、波。
王都のお祭りが一段落したせいだと思うが、それにしたって帰宅ラッシュは勘弁してほしい。対応が面倒過ぎる。
「む、シャハトの爺様ではないか」
「おう。帰ったぞい」
俺が人の波に飲まれている間に知己の相手が来たのか、マチルダはその人物と話を始めてしまった。
そのせいで俺の方に人が来るわ来るわ、隣にいた奴と何とか捌きに掛かる。それでも人の波が終わりを見せることはなく、気がつけば息が上がりいつの間にか波が引いていた。
「……やっと終わった」
「リーズ! 次はこっちだ、荷物を運べ!」
「わーい人使いが荒いや」
「キビキビ動けっ!」
「うぇーい」
自分は話し込んでるくせしてこれだもんなぁ、まったく先が思いやられるぜ。
呼ばれるままにそばに行けば、そこには先ほどからの話し相手であるらしい筋肉質な体つきをした白髪の爺さんが隣にいた。
「小僧、気をつけて運べよ。貴重な素材がたんまりあるんでな」
「それなら素人に任せん方がいいぜ爺さん、器用な方だが力持ちってわけじゃないんだからよ」
「軟弱な奴め、それでも男か」
「爺様みてぇにマッスルじゃないもんでね。何なの、最近のトレンドは筋肉なの?」
「いつだって筋肉は人気じゃろうが。女と違って筋肉は裏切らんぞ」
グッと力瘤を見せつけてくる爺さんの滲み出る暑苦しさに辟易し、視線を逸らせばここで一番のマッシブであるマチルダの姿が。
「つまり両方揃ってる姉御は」
「筋肉と女が合わさって最強に見える、実際最強格じゃな」
「馬鹿なことを言ってないでさっさとしろ」
「「はーい」」
ていうか。
「なあ、爺さん何者なわけ?」
「おう、自己紹介がまだじゃったな」
「儂はシャハトという、この街一番の鍛冶屋じゃよ」
読了ありがとうございました。
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