リーズ・ナブルとイナナキのギルド
どうもアゲインストでございます。
レビュー効果が切れない内に投稿を続けていかなければ、などという思惑は書き溜めが足りないので毎日一話が限界でございます。
それはそれとしまして、本日のお話。
遂にイナナキの地に到着したリーズ、ギルドに向かう彼を待つこととは?
それではどうぞ。
ギルドという奴は、その土地それぞれでそれなりに変化があるものである。
それはまあ、当たり前といえば当たり前なのだが、それは外様を嫌うような性質を持つことがあるのだ。
今まで自分たちがしてきた稼ぎに余所者が介入してくるのだ、当然いい気はしないだろう。
それが何年も続けば、組織ができる。
組織ができると、気が大きくなる。
この街で一番の組織に属している、後ろ盾があるということ。
群れる群れる、その盾に群れる。
大きな盾のその影に、所狭しとぎゅうぎゅう詰めだ。
当然ぼろぼろ零れていくわな、器にも限界があるんだから。
そいつらがまとまって別の組織を作る。
そこに人が集まる。
また大きくなる。
また零れる。
それの繰り返し、歴史は繰り返す。
そうして切磋琢磨した結果、安定とは言わないまでも争いをしないようになっていく。
組織が大きくなればなるほど、保身を考えるようになるからだ。
そうした経緯をもって、冒険者たちが作る団体。
これを『クラン』というようになったわけである。
イナナキのギルドに初めて来た俺は、その大きさに驚嘆していた。
王都のものよりも格段に大きい、やはり冒険者の数が多いのが理由だろうか。
入り口、本館、併設された買取り場、解体場。
どれもが大規模のものとなっている。
大勢の冒険者に対応できるように建設されてきたこの建物の歴史に思いを馳せつつ、新たな職場での第一歩を踏み出すのだった。
「―――何者だてめぇこら!!」
と思っていたのはつい先ほどのこと。
ただいま絶賛絡まれております。
どうもリーズ・ナブル二十二歳、独身です。
「王都から来た」
「んなこと聞いてねぇんだよボケぇ!!」
なんやねんほんま。
思わず思考が鈍るほどの突然の事態。
このチンピラかと見紛う男の出現は、俺が受け付けで依頼の報告をしていた時のことであった。
新参者など珍しくないのだろう、中に入った時に集まる視線はそこまででなかった。
御者が馬車を置いてくるというので、その間に報告をすませておくつもりで受け付けに向かっていた。
その少ない視線の中でもじろじろと値踏みするような類いもあるが、まあ慣れたものだ。
「ちょいといいかい、依頼の報告をしたいんだが」
「はい! ええと…」
「王都の方から来たもんでね、ここのやり方は知らないんだが取り合えずこいつを」
そういって俺は懐から取り出した依頼書と、証拠の入った袋をカウンターの上へと取り出した。
「道中にいた魔物の討伐依頼だ。見てもらえるか?」
「は、はい! ただいま確認いたしますね!」
なんとも可愛らしい受付嬢だ。
王都の知的な方もよかったが、これはこれで。
何より、とても女性的な胸部装甲をしていらっしゃる。
あの警備隊の女とは比べ物にならないくらいだな、あれは壁とかそういう類いのものだった。可哀想に。
下世話な考えを脳内で巡らせていたら資料の確認が終わったようでこちらに顔を向けてくる。
だがどうしたことだろう、その表情がなんだか固いのだが。
「…あの~」
「何か問題があっただろうか」
「はい~…それがですね~…―――」
話を聞けば、どうにも俺が受けた依頼というのがこの街のギルドからも同じような内容で発行されていたようなのだ。
魔物の出現位置がちょうど両方の中間だったこともあり、お互いのギルドにそれぞれ依頼が来ていたようなのだ。
俺は王都からだが、この街からもまた依頼を受けた冒険者がいて先ほど出ていく準備をしているのを確認しているのだとか。
「…それはどういう扱いになるんだ?」
疑問はそこだ。
俺が二つの依頼を達成した扱いになるのか、それともまた別の裁定が下るのか。
それにここで依頼を受けた冒険者にも話を通さなければ、余計な軋轢を生んでしまう。
「ええと…! と、とりあえずその方達を呼んできますね!」
「あっ! おい!!」
何を思ったのか、こちらが引き留めるのも聞かずに奥へと走り去ってしまった。どうにも面倒な展開になるような予感しかせず、それに否が応にも巻き込まれることになってしまったことに自分の間の悪さを呪う以外にすることができなくなってしまった。
「―――何とか言ったらどうなんだぁ! ああ!!」
で、こうなるわけだ。
連れてこられたこの男、俺を見るなりこの有り様だ。まるで話をしようとしない。
それがこの男の性質故かそうでないのか、初対面の相手にこうも勢いよく出れるものだろうか。
あ、いや。
いや、これは覚えのあることだ。
そういやこういう目にはよく会ってたわ、ありすぎて記憶するのも面倒になるくらいには。
「舐めてんのかてめぇ!!」
こういう輩が強気でくる理由は一つ。
「―――俺は『青き鬣』所属の冒険者だぞ!!」
大きな大きな後ろ楯、ギルドに公認された冒険者たちの集い。
同じ志を持つ者たちの集団。
仲間とそれ以外で敵味方を分ける、過激なところもあると聞く。
「クランにも所属してねぇような奴が冒険者面してんじゃねぇぞ!!!」
クランという、虎の威を借る狐であるこの男。
どうやらそういう類いの面倒事が、ここでは多発しそうだ。
目の前の男もさることながら、これからのことに頭を悩ませることになりそうだった。
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