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高校生活、始まりました


知恵熱を出しそうなほど猛勉強した甲斐もあり、私は無事に月瀬学園の合格通知を勝ち取った。

母さんからは奇跡が起きたと言われ、お義父さんからは花音ちゃんなら出来ると思っていたよと言われ。実の親からの方が信頼が薄いとはどういうことだ……、と思いながらも気にならないくらいには嬉しかった。

家庭教師の先生によくやったねと頭を撫でられたときには更に浮かれに浮かれた(この先生、とてつもない美人なのです。クールで笑顔が少なかったのに笑顔で頭を撫でてもらえたのです。浮かれるに決まってますよね)。

勉強以外にも上流階級のご子息ご令嬢の暗黙の了解というものやテーブルマナーなども教え込まれ、今の私は完璧とは言えないけどそれなりに、いいところのお嬢様らしい仕草が出来るはず。入学までに完璧に仕込まれるらしい。完璧にスパルタルートじゃないですかやだー。こわい。


そんな恐怖のスパルタを受け、4月、私は月瀬学園に入学しました。

正直、期待半分、不安も半分。

ゲーム通り、攻略対象の1人とクラスが同じだし、いつかボロを出しそうだし、乙女ゲームのヒロインとかいう笑えない設定もついてるし。何か補正とか付いてないといいなぁ、なんて思いながら歩いていたら、人とぶつかりました。

やってしまったと内心冷や汗ダラダラで、慌てて頭を下げれば、此方こそごめんね、顔を上げてと優しい声が。うわあああめっちゃいい人だ!!!

そろそろと顔を上げて、ぶつかってしまった人を見て固まった。こ、攻略対象じゃないですかー!

あれ、こんなイベント……あ、あったわ! 記憶曖昧すぎだけどあったわ!

悪役令嬢の義弟との出会いイベントでしたね!


「ほ、本当にすみません!

ぼーっとしていて……!」

「いやいや、こっちもフラフラ歩いてたからお互い様だよ、気にしないで」


にっこりと笑う悪役令嬢の義弟、冬木柊ふゆきしゅうは私と同じ1年生。

確か悪役令嬢は2年生で、攻略対象でありその悪役令嬢の婚約者は2年生、悪役令嬢の幼馴染みが3年生で、従兄弟が教師だったっけ。

後輩がいないことによって後輩×先輩のシチュがなかったことだけが残念だった……。とか言ってる場合じゃないわ。


「本当にすみませんでした」

「大丈夫だって。本当に気にしないで。

と、もうそろそろ入学式だね、早く行かないと」

「あ、そうですね。じゃあ私はもう行きますね」

「行く場所は同じなんだし一緒に行かない?」

「エッ」

「嫌?」

「そんな滅相も無い!」

「じゃあ行こうか」


にっこりと笑顔を崩さない冬木柊に押されて、何故か入学式会場まで一緒に行くことになった。なんでやねん。

イベントは確かここで別れて、教室であって同じクラスだったんだねみたいな会話をするはず……?

いや別に攻略したいわけじゃないんだからいいんだけどさ。

視線がめちゃくちゃ痛い。

この月瀬学園、ほぼ全員が初等部からの持ち上がり組なため、攻略対象みたいに顔が良かったり家柄が良かったりするとめちゃくちゃ注目を浴びるわけで。そして私は外部組で知られていないので、あいつ誰だよみたいな視線半端ないこわい。

講堂までの道程に何を話したか全くもって覚えてない。正直すまんかったと思うけど仕方ないと思うんですよね。


冬木柊と離れた後も視線刺さりまくっていたいんだけど、良いところの子供がこんな不躾な視線向けてくるの良くないと思います!

でも式が始まった途端に全員前を向いたのは流石だと思いました。しかも寝てる人がいないとか素晴らしいと思いました。

生徒会長の挨拶で女の子の目がギラギラしていて怖かったです。男子たちは私と同じ目をしていました。あれこれ私って男子寄りの考えってことか?

っていうか我ながら作文みたいな感想だな。とセルフツッコミをしながら、眠たくなる校長の話や来賓の話を気合いで眠気を飛ばした。全然ゆらゆらしてないから。こっくりこっくりもしてないから。全然だから。



入学式の流れを覚えていません

クラス知るのいつだったかな……

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