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3話・対創壊魔特別機動班


路地裏での事件があった次の日。


いつもどうり教室の自分の机で1人スマホをいじる生活を送っていた創だが、少しだけ変わった事がある。


「よぉ〜、なぁにしてんだ?」


後ろから美月が絡んで来た。


「おい、余り教室で話しかけてくんなよ……」


「なぁんだよ、周りの目が気になるのかよ?別に気にすんなって!」


そう言い美月は片手で創の頭を掻き回した。


周りの人が驚いた表情で2人に目を向けている。


(この目線はいやでも気になるって……)


ーーーーーーーーーー


その日の昼休み中。


昼ご飯を買いに街の中を探索中だったが


「………」


隣には当たり前かのように美月が着いて来ていた。


「お前、別に着いてこなくていいって。昨日の女の子に絡んでこいよ」


「今日、私のツレが2人とも居ないんだよぉ」


美月が不貞腐れながら言うと、切り替えるように辺りを見回し始めた。


「で、どこで飯食うの?コンビニ?それか、レストラン?私は〜……」


隣で騒ぐ美月にため息が零れる。


(うるせぇ奴に目付けられたな……)


なんて考えて歩いていると


「君たちちょっといいかな?」


突然後ろから声を掛けられた。


「ん?」


振り向くとそこには黒髪の女が立っていた。


「誰?」


美月が顔を顰めて創を見る。


「いや、俺も知らないって」


「じゃあ怪しい奴か?」


そう言い美月が黒髪の女性に目線を送った瞬間。


「昨日、路地裏にいた蜘蛛の創壊魔の事についてなんだけど、少し話を良いかな?」


「「……えっ?」」


その言葉を聞いた瞬間2人の背筋が凍る。


黒髪の女性は少し笑いながら足を1歩前に出す。


「ココで話すのもアレだし場所変えよっか」


ーーーーーーーーーーーー


言われるがまま、黒髪の女性の後をついて行く2人。


創が、申し訳なさそうに口を開いた。


「あの、俺達そろそろ学校に戻らないと行けないんすけど……」


黒髪の女性は、後ろを向かずに冷静な声で創達に返した。


「それなら大丈夫だよ。学校にはさっき僕から連絡しといたから学校の事は一旦忘れていいからね」


「えぇ……」


(こ、この人何者……?)


創は警戒をしつつも、前方を歩く黒髪の女性へ再び問い掛けた。


「お姉さん?どこに向かってるんっすか?」


「雫だよ、葛木 雫。」


黒髪の女性が落ち着いた声で名乗った。


そんな中、美月が恐る恐る黒髪の女性、"雫"へ顔を上げた。


「このまま警察に引き渡すとかしないよな……?」


「そんな事はしないよ」


そう言う雫だったが、いきなり立ち止まると、創達へ振り向いた。


「ん〜、だけど、君達の答え次第では引き渡しちゃうかもね?」


創と美月は引きつった表情を見合わせる。


ーーーーーーーーーーーーー


少し歩くと、雫は大き施設の前で立ち止まった。


「ココが"佐賀本部対創壊魔特別機動班"の本拠地だよ」


雫はそう言うと、施設の出入口へ向かって足を進めた。


流れるように創達も大きな施設の中へ入っていく。


エントランス内を移動中に周りの人達から見られる。


「新しく入る部隊の人?」


「あの子達まだ子供じゃない?」


周りがザワザワする中、創達は雫の後を追い掛けるように施設の奥へと足を運んだ。


ーーーーーーー


雫へ会議室へと案内される二人。


「ごめんね。今ここの部屋しか空いてないんだ」


雫は2人を会議室内の席へ座らせた。


「そういえば、まだ名前聞いてなかったよね?名前、教えて欲しいな」


雫が微笑みながらコチラを見てくる。


「えっと、浜田 創です」


「か、掛田 美月」


2人の名前を聞いた雫は話を続ける。


「それじゃあ、話を本題に戻すね。2人とも昨日の路地裏の事知ってる?」


2人は顔を見合わせた。


「言え、全く。」


「記憶にございません」


とぼけ合う2人に雫は語る。


「……それならいいんだけど、一を話しとくね?」


雫は、創達の前に立つと表情を変えずに続けた。


「昨日、誰かが路地裏で創壊魔を倒してね。その遺体が置き去りにされてたんだ」


雫は椅子に座る2人をジッと見ながら続けた。


「世間のルールとして、一般市民が創壊魔を勝手に倒す事は基本禁止されてるんだ。罰は懲役5ヶ月、または

罰金10万ちょっとだったかな?」


雫は少し2人を見た後直ぐにまた続ける。


「後、"部隊の人も"そうなんだけど、創壊魔を倒す時に無駄に周りの物、建物、その他諸々を壊すとたまに持ち主からクレームが来て壊した分、お金を返さないと行けないんだ」


少し間を開け、一言。


「僕の言ってる事分かる?」


椅子に座っている2人は全身冷や汗状態で生きてる心地がしない様子だった。


「今ココで[路地裏の事を認めるのと、次言う事。この2つを飲み込む]ならさっき言った事は僕の方で何とかするけど、どう?」


創は震える体を抑えながら、口を開いた。


「その創壊魔を倒したのは俺達……です」


「その創壊魔を殺ったのはコイツです」


美月は創へ指を指す。


「てめこの野郎!?ふざけ、おい!?こっち見ろ!!!」


美月は目を泳がせ、顔を背ける。


そんな事をお構い無しに雫は、話を続けた。


「じゃあ認めたって事で良いよね」


「いや、バケモン殺ったの俺じゃなーーー」


「続けるね」


創が話し切る前に雫が話し出す。


「次、二個目の頼み事なんだけど、君達、部隊に入ってくれる?」


「部隊に!?!?」


隣で盛大に驚く美月に創は眉を顰めた。


「ぶ、部隊……?」


「そう。つまり対創壊魔特別機動班の一員になってって事」


少し間を置いた後に創が手を上げた。


「あの、入るとしても俺達まだ学生なんすけども、そこは大丈夫なんっすか?」


「確かに、基本二十歳を超えるまで部隊に入る事は許されてないんだけど、私たちの方からスカウトしたりして入る時は、何歳でもいい見たい」


雫は顔をゆっくりと上げた。


「……特に創壊魔、または創壊魔の力を持ってる物なら」


緊張が走る創達は、唾を飲み込んだ。


「どう?ココでの仕事は、大変だと思うけどパトロールだけでも高い給料は出るし、創壊魔を倒して本部に持って帰れば給料もその分上がるけど、いい話じゃない?」


(……給料)


給料と言う言葉に引っかかる創。


「その給料ってどのぐらい貰えたりします?」


創が真面目な顔で聞く。


「創壊魔は討伐した種類で違うから分からないけど……基本パトロール3時で1万、最近街に出てくるようになったスライムの群れの討伐に参加したら1人につき1万追加で入るよ」


「入ります」


即答だった。


その横で美月が慌てるように創の肩を掴んだ。


「待って待って!?こう言うのは一旦親に聞いてみたりーー」


「今の状態で親に聞いたら色々面倒だろぉ?」


「そ、そう言う事なのかよ……?」


「と、言う事なので、入らせてもらいますので親には内緒にしてもらっても良いっすか?」


創が雫に問いかける。


「それはいいけど学校の方には連絡するよ。そうしないと学校がうるさいしね?」


雫が話終えた瞬間。


ーーーーコンコン。


扉をノックする音がした。


「おっと来たね」


「誰がです?」


創が首を傾げる。


「コレから君達と組むチームメンバーだよ」


雫はドアへ顔を向けると声を掛けた。


「入って来て良いよ」


言葉と同時に部屋のドアが開いた。


ーーーーガチャ。


部屋に入って来たのは身長が美月より少し高く髪が全身赤黒い色をしている男性だった。


「コッチの2人は左から浜田 創くん、掛田 美月ちゃんだよ」


雫が代わりに紹介した後、赤黒い髪の男性が口を開く。


「"鷹宮 航也"です。よろしくお願いします」


「本当はもう一人いるはずなんだけど……後で連れて来てもらうね」


雫は少し困った顔をしながら答える中、航也は創達をジッと見詰めていると思い出したかのように口を開いた。


「あれ?君達って同じクラスの……?」


「そうだよ。創くん達は航也くんと同じ学校に行ってる学生さんだよ」


雫が説明する中、航也が創の隣へ腰を下ろした。


「えっと……よろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします」


創の挨拶に航也も2人に挨拶をする。


「ん〜、よろしく」


美月もぶっきらぼうに航也に返す。


3人が挨拶をし終わった後、雫が仕切るように手を叩いた。


「それじゃ、次、自己紹介してもらおうか。とりあえず自分が使える創壊魔の力を詳しく教えてね」


「自己紹介……?」


ーーーーーーー


それからは、航也が創達の前に立ち自己紹介が始まった。


「改めまして、私の名前は、鷹宮 航也です」


礼儀良く頭を下げると、自己紹介を続けた。


「次に使える創壊魔の力についてです」


そう言うと航也は片手を下に向けると、片手に黒い霧が纏い始め、やがて霧は1つに纏まり大剣へと形を変えた。


「大剣を使い敵を倒す事は出来ますが、どちらかと言うと攻撃を耐える方が慣れてます」


そう言うと手に持っていた大剣を霧へと戻し消した。


「なので皆さんと戦う時は指示がない限り、自然と守りの動きになると思います。以上です」


そうして頭を下げると、航也は席へと戻って来た。


それを横に創が軽く頷いていた。


「なるほど、こんな感じの流れで良いのか」


次に目線を美月に向ける。


「よし次、行ってこい」


「は!?私!?お前が行ってこいよぉ!?」


「いいからほら早くしろって。」


美月へ圧を掛け見ていると、圧に負けたのか美月は

嫌そうに席から立ち上がった。


「お、覚えとけよ……」


ブツブツ言いながらも前に立つと口を開いた。


「美月です。使える力は手や足の力を強くする事です」


沈黙が流れた。


「それだけ?」


創が苦笑いで言う。


再び沈黙が流れた。


「な、何だよ!!自己紹介なんて慣れてないから嫌なんだよ!!」


美月がその場で駄々をこね出してしまった。


創は呆れたように席から立ち上がると美月へ近付きしゃがみ込んだ。


「ほら、最後俺だから、どいてくれ」


だが、美月は頬を膨らませながら動こうとしなかった。


「……航也さ〜ん?すいませんけど、コイツ席に戻してくれませんか?」


「俺?わ、分かった」


そう言い航也は席を立ち、美月の両腕を引っ張りながら席へ戻った。


切り替えるように創は咳払いをすると、前へ顔を上げた。


「えっと、浜田 創造です。使える力は弓とタガー型に変えれる武器を出して戦います」


そう言うと黒い霧が現れ、手に霧を集め弓を作り出した。


「俺は、基本後ろから弓でサポートする形で戦いたいです。一を接近戦は出来るんですけど、あんまり好みでは無くて……」


苦笑いを浮かべながら、手に持っていた弓を霧に変え消した。


「後は……他にも力はあると思いますが分かってないです」


すると、先程まで静かだった雫が表情を変えずに口を開いた。


「分かってないって?」


「え?え〜と、創壊魔が力くれる時に説明せずに消えたから詳しく聞けてないんですよ」


「……そうなんだね」


雫が静かに呟くその瞬間。


ーーーープルルルルルルルッ。


雫のポケットから音が鳴り響きだした。


「もしもし?……分かった。報告ありがとう」


そう言うと直ぐに電話を切り、創達に顔を向ける。


「今町内に"スライムの群れ"が湧いたって」


「スライムの群れ?」


航也が首を傾げる。


「丁度良いし、僕達も行ってみようか」


そう言い雫は、部屋のドアを開けると先に出て行ってしまった。


雫に招かれるように航也と美月も会議室から出ていく。


「えっあの、俺の自己紹介……」


1人取り残された創も不満を抱きながら、雫達を

追い掛けるように会議室を後にした。

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