エピローグ:新天地へ
「おぉ~い。みんな、ちゃんと荷物は持ったかぃ?」
メイミが四十本ものゴーレム腕をがしゃがしゃ動かし、みんなに指示を出す。
「本っ当に、移んなきゃいけねぇのかよ。あの洞窟もみんなで環境を整え、ようやく快適になってきたところだったっつうのによ」
「まぁまぁ、そう言うなって、ナルガン。アレクが今まで間違ったこと言ったことないじゃん。大体、アレクの言った通りになって来たし。……だから今回も、ここにいたら本当にヤバいんだと思うよ」
ナルガンが悪態をつき、ポリィがたしなめる。
「エミーリヤちゃん……マクシスくん……」
「もう気にしても仕方がありませんわ。シルヴィアさんの力不足のせいじゃありませんもの。どうしようもなかったんですわ。むしろ、アレクくんを救ってくれたこと、クラスの一員として感謝いたしますわ」
「そうそう。アレクくんがいないと、ボクらは何も見えないのと一緒だからね。本当に彼がいてくれて良かったよ」
落ち込むシルヴィアをファビュラが慰め、ヒカップが相槌を打つ。
「マクシスのあれは……自業自得。でも、違った道が、あったら良かったのにね」
ミリコが呟く。マクシスの最期についてはアレクとミリコの証言から、クラスメイトに驚きを持って受け入れられていた。
「でもまぁ、アレクは今回もお手柄だったんじゃないか。〈蜂妖精〉の唾液に含まれる酵素が魔力質を消化しやすいように分解していたとはね。〈蜂妖精〉の酵素じゃ効力は薄いけど、おかげでオレたちは毎日、サンディちゃんの口噛みざ……ぎゃっ」
パルドゥスが余計なことをいい、サンディが雷を放つ。
〈神衣〉持ちのパルドゥスのことだから、驚いて悲鳴を上げただけだろうが……
サンディは毎日自分の口噛み酒をクラスメイトに振舞わなくてはいけなくなってしまった恥辱に耐え兼ね、最近ますます口数が少なくなってしまった。
いや、ゼロはいくらかけてもゼロだが。
『きゃっる~ん! パルドゥスはバカですねぇ。私の主を辱めるようなことを言うからですよぉっ!』
元気に復活した一号を横目に、アレクがツッコミを入れる。
「サンディ。喋らないのはいいけど、代わりに一号がお前の思ってることを代弁しているの、みんな気づいているからな?」
「ギギ!?」
驚いたような顔で、サンディがアレクのほうを振り向いた。
「そーか、そーか、サンディちゃんはオレのことをバカと」
「ギ……ギ……」
落ち込んで見せるパルドゥスに、サンディは焦りの色を隠せない。
アレクが畳みかける。
「もう、どうして蟲語なんだよ。普通にしゃべったらいいのに。……幼体化したばっかりのころ、幼児訛りをバカにしたことは謝るからさ。そんなんで、嫌いになったりもしないから」
「ギ……ぅ……」
「な? 俺はずっとサンディしか見てないよ」
すると、サンディは顔を真っ赤にして、アレクを叩いた。
「ギギ、ギ!」
サンディが再び声を発するようになるのは、もう少し先のことになりそうである。
◇第二章終了です。
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