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ノア

「たっっかぁぁああああ!!!」


ショタドラゴンは急上昇した。今までいた洞窟の穴がもう小さく見える程だ。下には隊員たちが出てきて攻撃などを放っている。


しかし全くそれが届く気配はない。


「さて、どこに行こうか?」


動揺する私を置いて、余裕綽々といった感じで言った。


「ちょっと待って!いったん降ろして!」


「降りてどうすんの?もう下に行く場所なんてないんでしょ?」


全てを見透かしたように言う。どうやら見た目より精神年齢は上のようだ。そう感じさせる。


しかし全くその通りだ。もはや私に戻る場所なんてない。もう後戻りはできない。




「はぁ…最悪だ。私の人生終わった…。これからどうやって…」


今になって後悔している。自分が衝動的にしたことを。


確かに、あのままあの部隊にいてその先どうするのかは分からなかった。


しかし、ここまで衝撃的な展開にするべきだったのか。無論、今となっては、だが。



「終わった?今から始まりにしちゃえば?」


「何をのんきなことを言ってるの!?私は今すべてを失ったのよ!?…自分のせいで」


子供に何を言ってるんだ…。いつまでも混乱している自分が情けない。



少しでも冷静になろうと私は聞いてみた。


「…そういえば、あなた、名前はなんていうの?」


「へぇ~、今聞くんだ。面白いね。こんな状況なのに。」


確かに、やっぱり冷静には程遠いようだ。



「ないよ。名前なんて。あるわけがない。誰にも接してこなかったし。」


表情を変えずに言う。


「親は、いないの?」


「いないね。ずーっと1人だ。」


私も同じようなものかもしれない。だからここにこうしているのかも。そんな運命のようなものを感じた。




「…私が、つけてあげようか?名前…」


ドラゴンの表情が少し変わったような気がした。


「へぇ~、なにそれ、面白そう!言ってごらんよ」


意外と好感触だったようだ。


言ってみたものの、なにも思いついてない。どうしたものか。




「…ノア…」



私を滅びから救ってくれる名前のような気がして、そう言ってみた。




「ノア、か。いいねぇ、それ。気に入ったよ。今日からボクはノアだ」


ノアは笑って見せた。








一方、王国では


「ドラゴン討伐部隊から知らせが入りました。」


ここは魔物討伐部隊の司令部。全ての魔物討伐部隊を統率している魔物討伐の最高機関だ。


「なんでも、ドラゴン討伐に向かった隊員のうち1人がドラゴンとともに逃走を図ったと。」


「何?連れ去られたということか!?」


場がざわめく。


「いいえ。どうやらセリスという女性隊員が意図的にドラゴンと共に逃げ去ったということらしく…」


場が更にどよめく。


「一体なんてことだ!」


「そいつは何をしている!?」



「静まれ、皆のものよ」


司令部の総統が場を静める。


そしてこう言った。



「その女性隊員セリスとドラゴンを、特別討伐対象として指名手配する!」




セリスとノアに、緊急討伐令が下った。


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