鞭使いのネリー登場
次の日、私は満島さんの送迎で学校に行き
学校に着くと
ひのでさん、亜友さん、芽々さん、春風さん、みちるさんが
校門の前で待っており
私が車から降りると
「おはようございます
豊子世先輩」
豊子世さん」
トコちゃん先輩」
トコちゃん」
宮楽先輩」
と、挨拶して、降りてきた私を取り囲みました
そして亜友さんが、まだ開いている自動車の後部ドアから、運転席の満島さんに声をかけました
「それでは満島さん、お迎えの時間まで豊子世さんの面倒はしっかり見させてもらうので」
そう亜友さんが言ったのを聞くと
「亜友さんが見ていてくれるなら私も心強いです、御嬢様は無茶をなさらない様に、よく見ていてください、」
と、満島さんも声をかけました
私と亜友さんは幼馴染なので、満島さんともお付き合いが深いのです
「では私は退院する番田さんをお迎えに行きますので」
「はい、お気をつけて」
亜友さんが声をかけて後部ドアを閉めると、送迎車は出発していきました
「さあ、行きましょう」
亜友さんがそう言って私の前に来ると
私の右にひのでさん
左にみちるさん
右後ろに春風さん
左後ろに芽々さんが付いて
私は学校内に入っていきました
『私は輸送中の美術品か何か?』
私がそう困惑していても、5人とも私から離れずに歩いて行きます
教室まで向かう間
この異様な光景に誰もがジロジロと視線を向けて居ました
『うー、見られてて恥ずかしい…』
私がおもわず小さくなっていると
「そこっ!淑女をジロジロ見るもんじゃないわよ!」
芽々さんがジロジロ見をしていた男子生徒の1人に檄を飛ばしました
因みに私は
『芽々さん、れでーじゃなくてレディーよ…』
と、心の中で突っ込みました
気の強い芽々さんは少々江戸っ子気質な所がある故に発音間違いです
芽々さんの檄を聞いてその男子生徒も
「わ、悪かったよ…」
と、言って退散し
他の人達もジロジロ見をやめて離れていきました
『やっぱり芽々さんは迫力あるわー、さすがは本来の豊子世に、最初から食って掛かかって来ただけはある』
私はそう感心すると同時に
『だけど、こんな事してなければ、誰もジロジロ見たりしないと思うんだけどね』
と、大切な学友達の好意が少しだけ重く感じました
そして5人はとうとう3年組の私の席まで付いてきました
私がゆっくり椅子に座ると
「ねえみんな、これもしかして明日もやるの?」
私は学友達にそう尋ねました
すると
「当然・ですよ!」
です!」
よっ!」
でしょ!?」
に決まってます!」
と、それぞれから強い返事が来ました
「やっぱり、でもちょっと恥ずかし…」
「豊子世先輩が無茶するからでしょ!」
「もう一度ゆっくり聞かせてあげましょうか?」
「トコちゃん先輩は自分の価値をどれくらいだと思ってるの!?」
「トコちゃんは私達にとって大事な友達でかけがえが無いの!」
「自覚してください!」
ひのでさんも、亜友さんも
芽々さんも、春風さんも、みちるさんも
また強い返しをして来ました
「うぐー……」
こう言われては成す術がありません
すると
「皆さん、何事ですか?」
そう言って近付いてきたのは
眼鏡をかけ、首からカメラを下げて
メモとペンを持った男子生徒でした
同じクラスで新聞部副部長の彦和高大君です
「あー、おはよう彦和君」
「おはようございます宮楽さん、ずいぶんビップ待遇の登校の様ですね、よろしければ取材させてもらえませんか?
この二三日間平和なのは良いんですが、エンジェシカ関連のニュースが無くて退屈なのです」
彦和君は、エンジェシカの活躍とバレオレンスジャックの悪事を取材する自称専任記者の男子で
魔法少女エンジェシカのアニメでも、彼女達の正体にあと一歩までこぎつけていたので
エンジェシカの皆からも心なしか煙たがられて居ました
それを思い出し、ふと5人の顔を見てみると
やっぱりなんだか気まずそうです
「と、とりあえず豊子世さん、無茶はいけませんよ」
「わ、私達、教室に戻りますね、また様子を見に来ますから」
そう言って5人の学友達は散り散りになりました
やはり正体を掴まれそうになっているので
彼を警戒しているようです
私はこれに対して、少し心苦しさはありましたが、やっぱりこの状況は窮屈なので
「なんでも聞いて!」
と、彦和君に話をし、一旦彼を防波堤に使わせて貰う事にしました
私は彦和君に、全てを話しました
最近、無茶のしすぎで
5人の学友に心配をかけてしまい
暫く彼女達の見守りの中で過ごす事になった事
そして5人と私がどの様に知り合い友情を築いたかを
彦和君は一生懸命メモを取って、言いました
「うん、これは良い記事になりそうです、見出しは優しき生徒会副会長を守る姫騎士達で行きましょう」
「あら、ずいぶんと凝った記事の名前ね」
「僕は新聞記者ですから、見出しに凝る方なんですよ
所で宮楽さん、もうケガは何ともないんですか?」
「ええ、何ともないわ」
「そうですか、まあ、生徒会長の清瀧院さんを初めとする5人は過保護かもしれませんが、バイオレンスジャックの悪事に巻き込まれた事は、学校中にバッドニュースとして響いていました
くれぐれもご自愛ください、では記事になるのをお楽しみに」
彦和君はそう言って去っていきました
『私を心配してくれる人がここにも居たのね』
私は胸がポーっと温まる気がしました
そしてその余韻に程良く浸った時に
ホームルームを知らせる予鈴が鳴りました
私は授業を受ける傍ら
ノートの端っこを使い
エンジェシカ道場の開き方の作戦を練っていました
自慢じゃありませんが、私はお母様の教えや家庭教師の先生が居る事も有り
成績と授業態度は良いので、先生に目を付けられる事もないのが強味になっており、気付かれにくいというのは逆手に取りました
本来の豊子世は天才肌で
成績自体は上の中で良いものの、お高く留まり、授業態度は良いとは言えなかったので
『よし、道場の構成はこんな感じで良さそうね
次はどうやってエンジェシカを道場に誘うかよね?
うーん、あーでもないし、こーでもないし…』
私が頭を抱えていると
「宮楽!宮楽!!」
先生の声がしました!
「あっ!はい!島本先生!私の番ですか!?」
熱中しすぎて私は先生に指されている気付かなかった事に気付き、慌てて返事をしました
しかし
「そうじゃない!バイオレンスジャックがまた怪獣を送り込んだようだぞ!警報が鳴っているじゃないか!」
「えっ!?」
私が聞く耳を立て、周りを見てみると
確かにサイレンが鳴り、皆避難の準備を始めていました
「勉学に勤しむのは結構だが、命を大事にしないといけない!
とにかく君も避難しろ!」
「は、はい!」
私はノートを閉じて、教室の外に出ました
先生達の避難誘導に従い
私は校舎裏のスペース他の生徒達と一緒に逃げて来ました
ようやく落ち着いた私は
辺りを見回します
『芽々さんと、春風さんが居るわ
となると、ひのでさんと、亜友さんと、みちるさんは先に出動したのね
きっと巡り合わせが悪くて、一気に居なくなるとまずいと感じたに違い無いわ』
それが証拠に、芽々さんと春風さんは、落ち着きが見えません
どうやら早く合流しなきゃと焦っているみたいです
『しかしエンジェシカ道場の計画に夢中になって、警報を聞き逃すなんて迂闊だったわ
出遅れてなければ、なんとか出来たかもしれないけど
いや!今はそんな事言ってる場合じゃない!
早く、2人を皆の所に行かせなきゃ!』
私は頭をフルに回転させましたが
『ダメだわ、思いつかない…』
すると
周りの目を気にしながら彦和高大君が、皆の輪から抜けて行くのが目につきました
彼の忍び足は大層な物で
周りの先生や生徒も
彼に気付いて無いようです
『さすがは新聞部、って感心してる場合じゃない!』
そうツッコミを入れる中で
もう一つピンと来た事が有りました
『もしかしたら彦和君は、何処かに抜け道を作っているのかも!?』
エンジェシカの専任記者を自称する彼ならば考えられる事です
私は彦和君に気付いて居ないふりをして彼を目で追いました
すると彦和君ほ生け垣の近くに行き、また周りを確認すると
素早くそこに飛び込み、姿を消しました
その様子をしかと見た私は
生け垣に近づき
彦和君が飛び込こんだ所を探ると
細枝の壁の向こうがスカスカになっていました
中を覗いてみると
中に人一人がなんとか通れるスペースと
それを隠すように向こう側にも枝の壁が有りました
「彦和君はここを通っていたのね」
それなら早く芽々さんと春風さんをここに呼ばないと
私は考えましたが
すぐに無理だと気づきました
『さすがに皆に気づかれずに二人をここに連れてくるのは無理そうだわ
闇の魔法を使えばなんとかいけるだろうけど変身を見られたら……
えーい!こうしてる間にもひのでさんと亜友さんとみちるさんは戦っているの!
3人だけで怪獣を相手にするとなると時間が無いわ!
仕方ない!私が行こう!』
私は周りを見てから、一瞬の隙をついて生け垣に飛び込み
校外に出ました
そして適当な曲がり角に入り
エンジェルコンパクトを取り出さしました
「レインボシスエナジー!
ダークネスオブメタモルフォーゼ!!」
その呪文と共に
私はダークネリアに変身しました
「何だかこの姿になるのも久し振りだわ
って、そんな事言ってないで行かなきゃ!
シャドースキップ!」
私は闇の魔法で影から影へ飛び
エンジェシカの3人の元へ急ぎました
シャドースキップで
影から影へ移動しながら
逃げる人達の声に耳を傾けて
エンジェシカとバイオレンスジャックの怪獣が何処で戦闘になっているか情報を集めました
どうやら街外れの産業廃棄物処理センターにその怪獣は現れた様です
そこへ急行すると、確かに居ました
全長が300メートルくらいありそうな
鋼製の怪獣が口から破壊光線を出して暴れている中
ファイアリス
ウォルタニーヌ
ライトゥミーナが必死に応戦しています
かなりキツそうです
物陰に入った私は
敵の分析を始めました
「あの怪獣、見た事あるわ
ダークネリアが最初の敗北をした辺りのアニメの回で
エンジェシカが戦っていたロボ怪獣スクラップジャーだわ
って事はあの人がここに…」
私がある人物を頭に浮かべた時
「ファファファファ!!」
独特で何だか鼻につく笑い声が聞こえました
私がそちらに目をやると
ゴミ山の前に、白衣を着て三角形のサングラスをつけ
白髪頭を針のように立てた老科学者の男性が目に入りました
「エンジェシカ敗れたり!
バイオレンスジャック幹部マッドサイティーの傑作!
スクラップジャーに踏み潰されるが良い!!」
私の思った通りでした
マッドサイティー博士
バイオレンスジャックの幹部にして
バイオレンスジャックの怪人の改造手術や
兵器の開発を行う悪の大天才科学者です
そして自身も…
『って!それよりエンジェシカを助けなくちゃ!』
3人をみてみれば
ライトゥミーナはもう息がかなり切れています
ウォルタニーヌやファイアリスも、これ以上長引けばまずそうです
私は静かにステッキを構えて
闇の魔法でどう助けるか考えを巡らせました
しかし
「グガーーーー!!」
考えている間にも
スクラップジャーの破壊光線がエンジェシカに容赦なく襲い掛かりました
「ライトシールド!!」
ライトゥミーナがいそいで飛び出して、光の盾を構えましたが
ボカーン!
「「「きゃーーーー!!」」」
爆発音と共に3人の悲鳴が響きます
「しまったわ!」
考えこむあまりスクラップジャーの攻撃をみすみす許してしまうなんて
おかげでエンジェシカに大打撃を与えてしまいました
やがて爆煙が退くと
「ファイアリス、ウォルタニーヌ
ごめんなさい……」
バタン
ライトゥミーナが倒れてしまいました
いくら光の盾でも弱った身体ではダメージが来たようです
「「ライトゥミーナ!!」」
「ファッファッファッ!!
まずは1人だな!
しかも小賢しい盾を使う小娘が最初に倒れるとは好都合
お前達も次期に同じ運命にしてやる!
今居ない仲間と共にな!」
マッドサイティー博士はそう言って高笑いしました
ファイアリスもウォルタニーヌも
目は強い意志を宿していますが
もう限界なのが見て取れます
そして私も
「ダメだわ、影で支えるんじゃこれは上手く助太刀出来ない
今すぐにでも飛び出されば良いのに…」
と、悔しく思いました
すると
私は足元に、汚れて破れも有るケープが紐で括られて転がっているのに気付きました
その瞬間です
私の頭の中でビックバン並の閃き爆発が起きました
「これだわ!!」
私は、その縛られたケープを取り、近くに切れる物が無いか探しました
すると割れたビンが有りました
手を切らない様にだけ注意をして、それを拾って紐を切り、
ケープを手に取りました
ちょうど黒いケープにはフードも付いています
『おあつらえ向き!汚れているのは難だけど、下水の水を被るよりはマシだわ!』
私は急いで袖を通し
顔を隠すように、フードを被りました
「よしっ!それじゃあ!」
私はゴミ山の影から、またエンジェシカ達を見ました
幸い、ウォルタニーヌもファイアリスはまだ立っています
「よし、それじゃあウォルタニーヌ、ファイアリス、ちょっと眠っていてね」
私はステッキを構えて
「ダークネススリープ」
と、技名を言うと
ステッキをからスーーと
闇がリボン状に出てきて
周りに悟られる事なく
ウォルタニーヌとファイアリスの所に届きました
そしてそれが2人に触れた瞬間
「あれ?なんだか急に…」
「ねむ、い……」
パタン
ウォルタニーヌとファイアリスは眠ってしまいました
ダークネススリープは
相手を強制的に眠りに落とす闇の魔法で
かけた私が解かない限り
眠りから覚める事はありません
「よしっ、これで舞台は整ったわ!」
私は急いでステッキを構え直し
武器の姿になる様に心で念じました
私のステッキは、みるみるうちに鞭へと姿を変えました
「なんやかんやで、これの形にするの初めてだから少し不安だったけど、上手く行ったわ!」
するとその時
「事情は分からんが、3人とも倒れるとは好都合だ!
スクラップジャー!踏みつぶしてしまえ!」
マッドサイティー博士が、スクラップジャーに指示をし
ファイアリス、ウォルタニーヌ、ライトゥミーナを
踏み潰そうとしていました
『わー!関心してる場合じゃなかった!
3人とも後はまかせて!!』
「唸れ!!闇の鞭!!!」
私は渾身の力を込めて、スクラップジャーの足元目掛けて鞭を振るいました
ムチはみるみるうちに伸びていき
スクラップジャーの足を強く打ちました
「グガーーーー!」
それによりバランスを崩してよろけたスクラップジャーは
唸り声と共に足を引っ込めて
バランスを取り直しました
「なっ!?誰だ!?
スクラップジャーの邪魔をするのは!?」
マッドサイティー博士がこの場合のお決まりらしい悪役セリフを言った所で
私は鞭を引き戻しながら
足に力を込めてゴミ山を飛び越え
スクラップジャーとマッドサイティー博士の前に現れました
『さすがは魔法少女の力、ジャンプ力も凄いわ』
私が関心してる中で
マッドサイティー博士が、これまたお決まりの悪役セリフを言いました
「何者だ?!貴様!!」
そう言われれば名乗るのが礼儀でしょう
私はあの短時間のうちに思いついた名乗りがありました
「わた…」
『あっ、ちょっと待って!』
私はいつもの調子でその名乗りを言おうとしましたが
それは正体バレに繋がる気もしたので、一旦口を噤み気を取り直しました
コホン
「アタイは鞭使いのネリー!
エンジェシカに肩入れする者さ!!」
私はそう堂々と名乗りました
闇の魔法少女ダークネリアとして出るのはどうしても憚られるので
顔を隠して
鞭を使う戦士として、エンジェシカを助ける事にしました
ダーク【ネリ】アだから
その名は鞭使いのネリーです
「鞭使いのネリーだと!?
腕に覚えはある様だが
ワシの生み出したこのスクラップジャーに勝てると思ってるのか!?」
マッドサイティー博士の投げかけに返す返事は決まっています
「もちろんさ!
悪に敗れる正義はないのさ!!」
戦うのは初めてですが、不思議と不安はありませんでした
「生意気な小娘め!
スクラップジャー!まずはそいつから踏みつぶしてやれ!」
「ギャーーーオ!!」
スクラップジャーはそう言うと
ドーーン!と両足で地面を蹴り
そのまま私に足から降ってきました
『なるほど、さっきは片足を上げて鞭にバランスを崩されたから、そう来たのね
でもね』
「なら、こうだよ!!」
私はスクラップジャーの両足目掛けて鞭を放ち
スクラップジャーの両足をぐるぐる巻きました
そして
「悪い怪獣ちゃんにはお仕置きさ!」
ドガーーン!
スクラップジャーを地面に叩きつけました
「ぬあっ!スクラップジャーがなげられた!?」
マッドサイティー博士は動揺しているみたいです
「アタイの鞭に出来ない事はないよ!」
エンジェシカのステッキからなった武器は、エンジェシカと一心同体
念じれば無限の戦闘力を出すのを私は知っています
「ぐぬぬ!ならばこれはどうだ!?
スクラップジャー!切り裂いてやれ!!」
「グガーーーー!」
スクラップジャーは寝かされた体制のまま片手を強くあげて
私に振り下ろしました
鋼の爪が私に迫ります
「爪が伸びてて汚いね、爪切りしてあげるよ!」
私はそういって、スクラップジャーの5つの爪に向かって
鞭を3回ずつ振るいました
すると、パキーン!
と音を立てて、5つの鋼鉄の爪は弾け飛びました
そして爪を失った手が振り下ろされ切る前に
私はジャンプしてスクラップジャーから離れました
バーーーン!
爪を失ったスクラップジャーの片手が大きな音を立てて、地面に下ろされました
「そこの科学者!こんな鉄くずはアタイの敵じゃないよ!
さっさと降参しな!!」
私はマッドサイティー博士を煽りました
「おのれ!小娘!良かろう!ならば骨も肉も無くなる程にしてやるわい!
スクラップジャー!!破壊光線最大出力!!!」
『掛かった!!そう来ると思ったわ!!』
マッドサイティー博士は大天才科学者ですが
頭に血が上りやすいのを私は知っていました
自分の発明品をコケ下ろされると特にと言う事も
スクラップジャーは身を起こし
私に向けて口を開きました
その口内には破壊光線の玉が出来上がって行きます
かなりの広範囲の光線が飛びそうです
これがまともに受けたら
きっと私は木っ端微塵になるでしょう
しかし、私には勝算が有るのです
チャンスは1回、失敗は許されません
『よしよし良いわよ、スクラップジャー』
そろそろ良い頃でしょう
「撃『て!!』
マッドサイティー博士が言い切る前に、私は鞭を放ち
スクラップジャーの首に巻き付けました
そして
「あっちむいてほい!!!」
高速でそう言いながら私は
スクラップジャーの首の向きを変えさせました
その先に居るのは
マッドサイティー博士です
「な、何!?スクラップジャー待『て!!!』
言い終わる前に、スクラップジャーの最大出力の破壊光線はマッドサイティー博士に向かって飛びました
ドカーーーーン!!!
破壊光線はマッドサイティー博士を飲み込んで大爆発を起こし、爆風が私やエンジェシカの方へ飛んできました
私は急いでムチをステッキに戻し
「ブラックホールオープン!」
私はブラックホール開き
間一髪、私達の方へ来た爆風を中へ取り込みました
「くっ!やっぱり凄い!」
私も飛ばされそうでしたが
なんとか踏ん張り、爆風を全て取り込んで事なきを得ました
「ふー、全て土壇場で考えた作戦だったけど上手く行ったわ」
私はステッキをまた鞭にしました
そうしないと鞭使いとして正体を隠した意味が無いですからね
爆風が止んで
マッドサイティー博士がいた方を見てみると
ゴミ山も消えた場所の真ん中に
屈強そうな人が倒れていました
私はその人に近づいて行きます
それは人の形をしたロボットでした
『さすが、マッドサイティー博士
咄嗟にサイボーグ化して、ダメージを抑えたのね』
エンジェシカのアニメを見ている私は
マッドサイティー博士は、自身の身体にも改造を施したスーパーサイボーグだと知っていました
この改造こそがマッドサイティー博士の最高傑作であり、最後の切り札なのです
『アニメでも見たけど、生で見ると本当に凄い
あの破壊光線をうけてもまだ原形が保ててるなんて
やっぱりこの人大天才だわ
でもこれなら暫くは動けないわね』
私はまだゴミ山の残る場所へ走って行くと
その場に身を隠し、
「もう大丈夫でしょう」
と、ケープを脱ぎました
「ふー、結構暑かったなこれ
さてさて」
私は鞭をまたステッキに戻して、ゴミ山の影から顔を覗かせました
「ブラックホールオープン!」
私は、サイボーグ化したマッドサイティー博士と
命令者を失い固まっているスクラップジャーの下に
ブラックホールを開き、身柄を回収して閉じました
「あなた達にも、エンジェシカが強くなる為に協力してもらうからね、さて」
私は次にエンジェシカの方に目を向けました
「ダークネススリープ・ケンサレイション」
私は魔法で眠らせたファイアリスとウォルタニーヌに解除魔法をかけました
ステッキから放たれた影が2人の元へ行き
身体に触れると
ファイアリスとウォルタニーヌは目を覚ましました
「う、うーん、あっ!スクラップジャーとマッドサイティー博士は!?」
ファイアリスが周りを見渡しました
ウォルタニーヌもです
「影も形も無いわ」
「ウォルタニーヌ、私達勝ったの?」
「分からない、急に眠くなって気が付いたら、こうなっていたから…」
「あっ!そうだ!ライトゥミーナ!」
ファイアリスがライトゥミーナに近付きました
「しっかりして!ライトゥミーナ!」
ファイアリスが呼びかけます
ウォルタニーヌも近くに寄ります
「大丈夫、気絶してるだけだわ」
その時
「ファイアリスー!」
「ウォルタニーヌー!」
私の知る声が響きました
急いで現れたのは
ウィングレイスとフラワネットです
「ごめんね、遅くなって!」
「ケガはない?」
ウィングレイスとフラワネットが聞くと
「私達は大丈夫」
「でもライトゥミーナが…」
と、ファイアリスとウォルタニーヌが現状を説明しました
それを見たウィングレイスとフラワネットは
「アタシ達が間に合ってれば…」
「本当にごめんね…」
と、仲間達に謝りました
泣いているみたいです
「ううん、2人のせいじゃないよ」
「私達は仲間でしょ?攻め合いは無し」
と、ファイアリスとウォルタニーヌは励ましました
「とりあえず、早く戻って、この子を保健室に…」
「ファイアリスだめよ!」
ライトゥミーナを心配するあまり、ボロを出してしまったファイアリスをウォルタニーヌが止めました
「そんな話をしたら、誰かに聞かれた時にまずいわ、彼も何処かで見ているかもしれないし」
「そうだったわね、ごめんなさい」
『彼っていうのは、多分彦和君の事ね
でもさすがは亜友さ、じゃなかったウォルタニーヌ
目の付け所が違うわ』
私が関心していると
「とりあえず、ライトゥミーナの手当ての為にも、エンジェシカヒーリングでここを元に戻して、アタシ達も早く戻ろう」
と、ウィングレイスが言いました
「そうね」
「綺麗に戻しましょう」
「うーん、でもここ、ゴミ捨て場だよね?」
「関係無い!」
「冗談、じょうだん、早く戻しましょう」
そうしてファイアリス、ウォルタニーヌ、ウィングレイス、フラワネットは
ステッキを振り上げ
「エンジェシカヒーリング!!」
と言って、産業廃棄物処理センターを平和な時の状態に戻して行きました
しかし今日は4人なので
あまりスピーディーには行きません
私はその隙に、さっき着ていたケープを拾って
その場を後にしました




