表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

右大臣邸にて

 結局来てしまった・・・

(どうしてこうなったの)

 断っても強引に車に乗せられ、頭中将に手を掴まれて、ぐいぐいと輿に押し込められた。美香子はそれでも抗ったが、気がついたら車は動き出していた。

「あの」

「いいですから、私の家へ行けば、何でもあります。あなたの見づくろいから、身の回りのものまで、綺麗なものを用意してさしあげましょう」

 車内の膝と膝をくっつけ合う身近さで、髪を撫でられたら、もう何も言えなくなった。

 夜が深く、辿り着いた場所はくらくて全容は見えなかったけど、大きな檜葺きの建物が見え、切妻の屋根をのせた幅広の門が待ち構え、立派な土の塀が巡り、かなり大きなお屋敷だった。がたごとと車で入っていくと、中は相当に広い。

 高級そうな女房にかしずかれて、部屋に通されると、そこは家具、しつらえとも見事に整っている。

「大したことがない我が家だが」

「十分すごいです」

「まあくつろいでくれたまえ。疲れただろう。こちらにおいで」

「あ、あの」

 拒否してもどんどん部屋の中に手を引いて通され、綺麗に整えられた畳の上まで座らされた。

「ああ、そうだ。着替えもなく連れて来てしまったのは、申し訳なかったね。おい、少将、彼女らをくつろげるようにしてくれ」

 男は近くにいた女房に命じて、美香子の着替えまで用意させた。

(みすぼらしいなりっての、気づかれた?)

 旅の衣装みたいな野良仕事着は、彼にどう思われたかは分からない。

 美香子はそこまで用意してもらうのは恥ずかしく思ったが、家に来てしまった以上は、断ることも出来ない。

「まあ、立派な家ですわね、姫様、それに、この甘酒、ほんと、美味しいですわねえ」

「ほんとね、何でもあると聞く右大臣家だけど、何でも揃っているわね。我が家となんて違うのかしら」

 着替えが済むと、美香子はきっちりと形が整った高麗縁がついた畳の上で、夕餉をおいしくいただき、その後、温かい飲み物まで出されて、ひといき落ち着いた。

 木目が見事に出た床や柱、高価そうな足がついた几帳、蒔絵がされた厨子棚は漆の色が濃くて艶光している。

(なんて良い暮らしをしているのだろう)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ