表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/60

ep.21 フィオーリ全面監修! 『ここから始める恋の物語』

夏休みになり、予定が何もない満は

ふとしたことから、雲雀が演劇の大会だということを知る。


ミミルの計らいのもと、大会がある会場へ向かったが

そこで聞かされたのは強豪校である四葉高校が「銅賞」という結果だった・・・

外は、雨が降っていた。

泣きながら喜ぶ生徒、悔しいと泣いている生徒……様々な光景が見られる中、聞こえてくるのはどこも同じ話題。

あの四葉高校が、銅賞だということだった。


四葉高校の演劇部は、すごく強い。

それは一年生の僕でもわかる。

受付の時に渡されたプログラムに去年だけでなく、一昨年などの優勝校が書いてあって必ずうちの高校が入っていた。

だからきっと観客側も承知の上で、やっぱりすごいという声が多いと思っていたのに。


「ごめん、赤羽君……せっかく新勧、頑張ってくれたのに……」


やっと見つけた演劇部の人は、どの人も涙を浮かべていた。

本番には、魔物が存在する。弓道をしている恭弥君がよく言っていた。

それはきっと体験した人にしか、わからない光景だったのだろう。

気が付くと僕は、彼女の姿を探していてー……


「あれ? みっちゃんじゃん。どうしたの、こんなところまで」


みんなが集まっているところより先のところに、彼女―雲雀先輩はいた。

誰もみな、涙を流して悔しがっていたのに先輩が見せてくれたのは笑顔でー……


「もしかして応援に来てくれたの? みっちゃんって、ほんと優しいんだね」


「……先輩、最後の大会だったのに……」


「仕方ないよ。それだけ今年はレベルが高かった~ってことだし、私は満足してるよ? 今までで最高の演技が出来たんだから」


「……さっき、他の先輩に聞きました。先輩が他の人のミスをカバーしようとして、それが逆手になったって……」


銅賞の原因とも思われたのは、一人のミスがどんどん広がっていったこと。

今までしなかったようなミスばかり多発し、結果思いどおりの演技ができていなかったらしい。

なんとかしようって雲雀先輩が必死に頑張っていたって、同級生の子が泣きながら教えてくれた。

だから僕はー……


「どうして無理に笑うんですか! 悔しいなら悔しいっていえばいいだけじゃないですか!」


「今いったところで結果はかわらないんだよ!! 大会はもう終わったんだよ!? 私は自分が情けない! みんなを全国に導けなかった……部長だったのに!!」


感情をさらけ出した彼女の泣き顔は、いつにもまして新鮮で心をうたれて。

笑顔しか見たことなかった僕にとって、彼女の本音が初めて聞けた瞬間だった。


雲雀先輩は、強い。

僕がいなければ、私のせいでって一人で泣いていたのかな。

あんなに信頼されているのに……


「誰も、悪くないんです。先輩が責任を感じることなんて、ないんです。みんな頑張った……でも届かなかった。それでいいじゃないですか。人生、なんでもうまくいくわけじゃないんですから!」


「……みっちゃん……」


「一人で抱え込まないでください、雲雀先輩。もし泣きたくなったり、弱音を吐きたくなったら僕を頼ってほしい」


ん、あれ? 僕今、何を言ってるんだ……?


「好きです、雲雀先輩。僕じゃ、あなたの力になれませんか?」


!!!?!???


「み、っちゃん? 急に、どうしたの?」


そうですね、そうなるのも無理ないですよね。

当然です。だって僕自身も、意味が分かってないんですから。

先輩の力になりたいと思ってここまで来たはずだったのに、なぜか僕は言うはずのない好きの二文字を口にしてしまった。


当然、僕自身の意思ではない。現に今でも、自分の体なのに全くいうことを聞かない。

この経験は、初めてではないためすぐにわかる。

ミミルが、また僕に何かしたんだって。


確かに僕はこうやって自分の気持ちを言うのは苦手だし、操ってもらった方が助かるかもしれない。

でもさすがに今は違うんじゃないかなあ、とも思う。

演劇の大会の結果が悪くて責任を感じている先輩に向かって、さすがに好きなんて言う場面じゃ……


「勢いで仮の彼女と彼氏になっちゃいましたけど……いつの間にか僕、本当に好きになってしまったんです。先輩の笑顔は優しくて、元気をもらえて……」


あ、あれ?? おかしいな、なんでまだ続いてるの???

もしかしてミミル、勝手に話進めようとしてない??

どうしよう、そんなつもり全然ないのに!


「だから先輩、僕でよければ力になりたいんです! 彼氏になってほしいなんて、ずうずうしいことは言いません! 泣きたいときとか、言いたくても言えないときとか……頼れる後輩って認識で充分ですので!」


「……みっちゃんは、それでいいの?」


「はい!!」


つらつら言葉が出てくるのは、ミミルの影響なんだろうか。

それにしても僕が思っていたことすぎて、すごいを通り越して怖くなってくる。

ミミルは一体、僕に何をさせたいんだろう……


「分かった。でも告白には、ちゃんと答えないと失礼だから。考えておくね」


雲雀先輩は本当にやさしくていい人だ。

優し気な笑顔を見ながら、僕も笑ってみせる。

こうして僕はなんだかんだで、告白をしてしまったのですー


(つづく・・・)

まだ先ではありますが、二日後の24日は

雲雀ちゃんの誕生日だったりします。

なのでこの話を合わせてみたりしています。

ちょっとした裏話です。


好きになってからを考えると告白展開が結構早くない? 

という意見もありそうですが、

私からするとまだ、この段階なんです。

部数で言うと21話なんですよ。

数字だけみると遅っ! ・・・と思いません?

あ、そうでもない? それは失礼しました・・・


次回は26日更新予定。

夏休みはまだまだ続く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ