第22話 本当の笑顔
珀多くんは、私にとってかけがえの無い存在だった――
――十数年前
央崎は、家の農作業を手伝っていた。
「はくたくん、遊ぼー」
「せきは大丈夫なの?」
「うん。けど、動き回っちゃダメって言われた」
「じゃあ、僕んちで何か見る?」
「あっ、じゃあ、あれ見たい。あのーなんだっけ…………」
「せかいオープン?」
「そう、それ!!」
「おじいちゃん、かなえがせかいオープン見たいって言ってるんだけど良い?」
「佳苗ちゃんがか、見てええぞ」
「「やったー!!」」
「もう、お父さん…………」
本当は、珀多くんと一緒にテニスをしたかった。
けど、持病で運動が出来なかった。
それでも、珀多くんは私を嫌うことは無かった。
むしろ、私にスポーツを観ることの楽しさを教えてくれた。
――十数年前
「この人は?」
「この人は、アメリカの――」
「そうなんだ!!はくたくんってものしりだね」
「そうでもないよ。僕も知らない人だらけだし、ルールも必要なこと以外は分からないし…………」
「でも、わたしに分かりやすく教えてくれるじゃん」
「それは…………かなえに少しでもスポーツを楽しんでほしいから…………」
「はくたくんはやさしいね」
「…………ありがとう」
珀多くんは、一生懸命私の為に説明してくれた。
珀多くんでも分からなかった、と言っていたことも次の日に私に分かりやすく教えてくれた。
それが本当に嬉しかった。
持病で娯楽が制限され、したいことも自由に出来ない。
農家の両親も、私か農作物に付きっきりの日々。
それが私には辛かった。私のせいで、両親の精神と体力の両方を擦り減らし、それでも私の前では笑ってくれた。
けど、それが無理していることぐらい分かっている。
この病気が無ければ、こんな私じゃなかったら――
何回も思った。
だから、そんな私を本当の笑顔で接してくれる珀多くんには救われた、救われ続けている。
そんな優しくて、私に対しても本当の笑顔で接してくれる珀多くんのことが――
――好き




