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第64話 アラフニス2

 ウィングリー王国軍が寮軍と合流したその日の夜、敵はすぐさま進軍を開始致しました。


 領都エクソシアとウィングリー寮駅の間には、畑と小さな農村しかありません。思っていたよりも早い敵のエクソシア領への侵入に慌てながらも、なんとか避難を希望する住民たちの避難も完了致しました。希望しない住民も居たようですが、彼らにも色々とあるのでしょう。無理強いすることはできません。


 迎撃部隊の隊長にはジェイムス族長が選ばれました。その下についたスキアとミューβのパイロットたちもほとんどがエクソシア騎士団に所属している者たちです。スキアにも慣れてきた頃でしょうし、頑張って欲しいものですわね。


「ジェイムス族長、性能差を生かして距離を取りつつ戦うんですわよ!」


「ボス、その族長っていうのやめてくださいよ!」

 

「あなたがボスって呼ぶのが一番おかしいでしょう!? 当主とお呼びなさい! せめてお嬢様でしょうが!!」


 ジェイムス族長とそのような遣り取りがあったりも致しましたが、わたくしは遊撃という名の好き勝手できるポジションに収まり、ジェイムス隊は前衛を、シャノンは副族長……? いえ、副隊長としてクラブ・カノン搭載型の砲撃型スキアとともに後衛を務めることになりました。


 そして最新型の機体「ピロフォリオ」も2機配備されています。この機体は戦闘にはまったく向いておりませんが、無線の傍受や妨害、発信が可能で、さらに高度な望遠カメラを装備しており遠方の監視から撮影までできるそうです。


 見た目は本当にアンテナとカメラにブースターを付けて手と脚を生やしたような戦う気がゼロの機体です。翠蘭は相変わらずデザインセンスがないですわね。


 この世界のテクノロジーのレベルは基本的には1920年頃ですが、ことMAとマギコークス関連に限っては、とんでもないオーバーテクノロジーでも許容されているのが相変わらず不思議でなりません。


 7月中旬の夜も明け切らぬ早朝。迎撃に出たわたくしたちの目の前で、刈り取られる前の小麦畑が燃えています。


 敵MAはミューαが率いるミューβ約500機。後方には例の「アラフニス2」も進軍中の様子。あのデカブツはスキアでは苦戦するでしょうから、わたくしが止めに行かねばなりません。


 それにしてもド平地での戦いでは数が正義ですわねぇ……。スキア120機ではジリジリと押されています。マンチェスターの法則ってやつですわね! ……あってますわよね?


「ではそろそろいって参りますわね。後は頼みましたわよ、シャノン」


「ここは任せて。ヴィアに神の祝福があらんことを……」


「わたくしはシャノンの祝福が欲しいですわ。帰ってきたら続きをしましょうね?」


「な、何の!?」



◇────────────────◇



 わたくしがグローシアで敵陣の後方に突っ込むと同時に、エクソシア騎士団前衛部隊も攻勢に転じました。


 早速新型機のピロフォリオが敵の通信傍受をして、敵の通信が筒抜けになったことで、わたくしの仕事が少し楽になりました。わざわざ指揮官機を探す手間が省けますからね。


 わたくしはピロフォリオ隊が指定した場所にいる指揮官機のミューαを潰していきます。こういう機体に乗っているのって、大体どこかの貴族家の次男以下なんですわよね。命乞いのほとんどが家柄のお話でしたし。もう少し面白い命乞いをして欲しいものですわよね?


 4機目のミューαのコクピットを潰したところで、指揮官を失い混乱したミューβの部隊が後退を始めました。それと入れ替わるように、以前鹵獲した「アラフニス」よりさらに巨大になった「アラフニス2」が朝焼けの空に現れます。


 ……あれ飛ぶんですわよねぇ……。脚が細くなり、30本近い数になっているのでもうクモ型とは呼べない気がしますわ。言うならば空飛ぶウニでしょうか? ああ、もうウニは食べられないのでしょうか……。わたくしあのお寿司屋さんにならいくらでも便宜を図りますわぁ……。


 うごめいている脚の先にはエネルギーブレードやエネルギー砲が備え付けられています。やはりこうして見てみましても、くるくると回りながら飛来するウニです。


 向こうからもこちらが見えたのでしょう。脚の一部をこちらに向けてエネルギー砲を発射して参りました。


 無数の細いエネルギー砲の砲火が地を薙ぎ払い、雲を切り裂きました。わたくしは回避しながら接近し続けます。ですが、できるだけ考えないようにしていた現実が、今、目の前に迫って来ているのを感じていました。


 と言いますのも、アラフニスシリーズは複座です。ですから当然複数人のパイロットが乗っています。原作でもヴィアリス(わたくしではない)以外にも乗っておりましたしね。


 でも眼鏡やその他モブ兵が乗ったところで、空を飛びながら無数のエネルギー砲を撃ちまくるだけの出力が出せるとは思えないのです。原作でもわたくしレベルの魔力を持ってして、やっとまともに動くような機体だったはずですから。


 エネルギー砲の弾幕をくぐり抜けた先には、アラフニス2の中心コアが見えます。コアと言いますかコクピットブロックですわね。ぼんやりと《《緑の光》》に覆われたその中心に蹴りを叩き込むとエネルギーの障壁が現れ、グローシアのつま先が弾かれました。


 わたくし、信じたくない! 信じたくないですわ~~~~~!!


「まさかアリシアが乗っていたりしませんわよね!?」


「ヴィアリスゥゥゥゥ!!!!」


 返事《叫び》とともに、アラフニス2のコアからピュアマギコークスクリスタルから発せられる緑色の光が溢れました。


 嗚呼……やはり呼びかけに答えたのはアリシアの声でした……。

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