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第53話 公務

「よく切れますわ~~~!!!」


 久しぶりに訪れましたここは、わたくしが夜月研究所に魔獣の死体をおろすために初めて狩った大型の魔獣、ベヒーモスの巣です。カニっぽいあいつですわ。


 当時はナイフと素手で解体したのですが、今や文明の利器ことチェーンソーを使うことで、以前と比べて5倍以上の業務の効率化が果たされました。これぞ産業革命ですわね!


 ギュインギュインと気持ちのよい音を立てながら、ベヒーモスのキチン質の殻を切り裂いていきます。脚のなくなったベヒーモスがブクブクと泡を吐く姿はどこか哀愁が漂っていますわね。


 カニの体液まみれのグローシアからごきげんよう、皆様。わたくし神聖エクソシア公国終身独裁官兼エメラルドアイ保全活動家及びカラネア首領のヴィアリス=エクソシア女公爵ですわ。長い自己紹介なら任せてくださいまし。


 わたくしが女公爵になってから、なんだか知らない間に、我が家はウィングリー王国から独立してしまったようです。国名は未定なので勝手にわたくしが言っているだけなのですが……。あれ? わたくし一応トップなんですわよね?


 よくわかりませんが、翠蘭が悪い顔で計画を練っていたので心配ないでしょう。きっと! 神輿は軽い方がいい、と言われたことはとても心外ですわ!


 父は市街地にあるエクソシア城という名のオフィスで、翠蘭の計画する悪だくみに加担しているようです。母もそちらで生活することを選んだようですわ。


 壊された私邸の修理も進んでいて、現在わたくしたちはこちらに住んでいます。そしてこちらは防衛拠点化を進めるようです。


 我らが騎士団のミューβもスキアに置き換わっていっていますし、さらにジェイムス隊長のために地下に埋まったワインを救出したり、残った家財を引っ越ししたりと色んなことがありました。


 あとわたくしの肩書に「エクソシア騎士団団長」も追加されましたわよ! 女騎士団長なんて前世の方たちが喜びそうな肩書ですわね? くっ、殺す!


 そういえば一応我が国はウィングリー王国と交戦していることになっていますので、希望者はウィングリーへの退去を許可しています。なんだったら騎士団員も希望者が何人か居て抜けたようです。そんな民を甘やかしていますと立派な山賊になれませんわよ?


『ボス、そろそろトレーラーがいっぱいです』


『わたくし女公爵なんですわよ!? 口の利き方には気をつけなさい!』


『了解です、ボス!』


『こいつら……!』


 カラネアの山賊たちには妙に慕われているのは一体何なんでしょうね? オーラを見てみたら軒並み青いんですわよね、こいつら。……あまり自信はないのですけど、恐らくきっとわたくしの日頃の行いですわね?



◇────────────────◇



 狩りから帰ると、私邸の格納庫に豪華な衣装をまとったシャノンが居ました。……何かのコスプレでしょうか?


 赤と白を基調としたローブのような服です。なんと言いますか、巫女と司祭とウェディングドレスを足して3で割ったような感じで、シャノンの身長より高い金色の長い杖を持っています。言うなれば「ヒーラー」ですわね?


「急におめかしなんかしてどうしたんですの?」


「あっ、ヴィア! どうです? 似合いますか?」


「とっても似合っていますわよ。でもわたくし脱がし方が気になりますわ。少し寝室に行きましょうか」


「こら、仕事の邪魔をするな」


 そっとシャノンの手を取ったところで翠蘭に止められてしまいました。……この女……後ほどベッドの上でわからせないといけませんわね!?


「まぁ、いいですわ。それでこれは一体何の騒ぎですの?」


「……私が説明するわ」


「知っていますの、未夢!?」


 未夢が説明するには、これから行うウィングリー王国に対する嫌がらせの一環らしいのです。この世界唯一の娯楽、ラジオを使ってありがた~いシャノンの説法を流す作戦です。ウィングリーでもフォトゥネス教は信仰されていますからね。シャノンのネームバリューを活かす作戦ですが、うまくいくのでしょうか?


「そもそもラジオってそんなに普及していますの?」


「それも問題ない。ラジオは作って配ればいいんだ」


 偉く太っ腹ですわねぇ。金で民の信が買えるなら安いもの、ということでしょうか?


 この世界のラジオは鉱石ラジオと呼ばれる無電源で使えるラジオが元になっています。鉱石ラジオは感度が低かったり音が小さかったりと欠点があるのですが、それらをマギコークスを使用することで克服したものがこの世界では普及しています。うちならマギコークスの価格も気にしないで済みますしね! もうスポット内におけるマギコークス採掘の15~20歳縛りもありませんし。


「あら? ならなぜ仮装コスプレしてますの?」


「仮装って言わないで!」


「ラジオのおまけに写真をつけようと思ってな」


「……ヴィアも着替えて。女公爵様の最初の公務は無駄にいい外見を利用することよ」


「わかりました。それならわたくしとシャノンの写真を大皿に印刷して引き出物にしましょう」


「……それ貰っても処分に困るからやめなよ」

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