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第47話 再戦

 ……と言いましても、わたくし実は第1王子と面識がありませんのよね。恐らく今のが第1王子《《だった》》と思うのですけれど、確信がありません。ゲームのキャラの顔グラでしか彼を知りませんから、一応確認しておきましょうか。


「おい、今のは誰だったんだ?」


 ガンガンとコクピットブロックを叩いて尋ねてみます。わからないことがあったら聞けばいいのですわ!


「ぐっ……き、貴様……兄上に何をした……答えろ!!」


 兄が消滅したことに、まだ気が付いていないのでしょうか? わたくしと致しましては、MAの前に生身で出ることはおすすめしておりませんが……。昨今のロボットのつま先には対人機関銃が付いてたりしますものね。


「よかったな。王位継承権が上がったぞ?」


「貴様あああぁぁぁっ!!!」


 コクピットブロックの中で喚く第3王子は無視しておきます。そんなことをしている間に弾痕だらけになってしまった観客席には、もう誰も居なくなってしまいました。


 いつまでもこの鉄屑を叩いていても仕方ありません。さっさと仕事を終わらせて、帰ることにしましょう。我が社は残業0を目指しておりますからね。


『学園方向からMAが来ます! ピンク色のタンクタイプが1機です!』


「やはり来たか……。俺が行く。お前らは新入りのバックアップとスキアを回収しろ」


『了解!』


 早速残業の元が現れたようです。ますます急がねばなりません。ピンクのMAと言えばあの女です。正直こうなるとは思っていましたけれど……。ミシェルは「スポットの悪魔(わたくし)」にご執心のようですからね。


 ただ問題はわたくしのエフカリストでは、前回同様に彼女の機体「サベージヘイブン」には有効打が与えられないことでしょう。エフカリストの武装は基本的に雑魚狩り用ですからね。とっても強い近接武器がどこかに落ちていませんでしょうか? チェーンソー以外の。


 わたくしは第3王子の乗ったコクピットブロックを放置して、本隊に合流するべく移動を開始しました。


『なんだあの悪趣味な機体は!? しかも止まらねぇぞ!』


『無駄口叩くな! 黙って撃ち続けろ!』


 合流した本隊はかなり苦戦している様子でした。撃破こそされていませんが、押されているようです。損傷している機体も見受けられます。


 機体のアップグレードばかりしてきましたけど、そろそろ武器を強化しないといけないのかもしれません。わたくしの持つ最強の武器はスポットで拾ったおバカデカチェーンソーですけど、あれ取り回しが最悪なんですわよねぇ……。愛とエネルギーブレードだけがわたくしのお友達ですわ……。


「またお前か、レイヴン(ワン)!」


「待ってたよ! 悪魔さん!」


 わたくしは待っていませんわよ! まぁやるしかありません。まったく気が乗りませんが……。


 わたくしが声をかけるや否や両手のガトリングガンと肩のミサイルの弾幕がエフカリストに襲い掛かります。


『掩護はいい! お前たちはスキアの回収を急げ!』


『は、はい!』


「悪魔さんは余裕だね!」


 サベージヘイブンのミサイルをショットガンで叩き落とし、ガトリングの弾をエネルギーブレードで斬り払ったり、当たったりしながら、サベージヘイブンへの接近を試みます。ですがだだっ広い荒野では、見事に引き撃ちされてしまいました。


 下がりながら射撃し続けるミシェルは、心底楽しそうにわたくしを挑発します。


「張り合いがないよ、悪魔! 私をキャンキャン鳴かせるんじゃなかったの?」


「お前とのお遊びに付き合っているほど俺は暇じゃないんだ! さっさと落とされてくれよ!」


「鬼さんこーちら!」


「クソ煽りピンク頭がよォ……!」


 やっとの思いで追いついて斬りかかっても、その攻撃は盾で防がれます。流石に正面からでは、いかにエネルギーブレードと言えども盾を斬り裂くことはできません。


 盾にはなんとかってコーティングがされてるんでしたっけ? 上手いこと側面から斬らないといけませんのよね……。早く撤退準備が完了しませんでしょうか……。わたくしさっさと帰りたいですわ。


「あれ? どうして私がピンクの髪だって知ってるの? どこかで会ったことあった?」


「ぐっ!?」


 思わず口に出てしまいました……。な、なんて言って誤魔化しましょうか……。


 わたくしの動揺を察したのかはわかりませんが、その時、ミシェルは絶妙に斬れるように見える角度で盾を突き出してきました。考え事をしていたわたくしは、その盾先に誘われるがままエネルギーブレードを振るいます。


「もらったよっ!!」


 盾を斬り飛ばした先には、サベージヘイブンの大口径キャノンの銃口が眼前に現れます。ライフリングまで綺麗に見えますわねぇ……?


「んっっっ!?」


 爆発。衝撃。本当に危険な状態になった時って、声すら出せないんですわね? いってぇですわぁ……。


 バリバリとエフカリストのモニターにノイズが走り、モニターの3分の1がブラックアウトしてしまいました。やっ、やっちまいましたわ……。翠蘭に絶対怒られますわこれ!


「あはははは!! 頭がなくなっちゃったねぇ!?」


 ……落ち着くのですわたくし。自然数を数えて落ち着くのです。それにしても頭がなくなったくらいで爆発する機体じゃなくてよかったですわ。たまにロボットアニメなんかで、ヘッドショットされたロボットが爆発四散する場面があったりしますけど、あれって安全管理はどうなってますの?


『ボス! 大丈夫ですか!? こちらは撤退準備完了しました! あっ、おい! 新入り!』


『何があった? 俺に構わず順次撤退しろ!』


 体勢を立て直したエフカリストに、さらにミサイルの追撃が襲いかかります。こいつ~~~~~! いつか絶対泣かしますからね!!!!


 肩と右手のショットガンでミサイルを迎撃すると、辺りには爆炎が立ち込めます。さっさとおトンズラ致しますわよ!


「逃がさないよ!」


 爆炎を乗り越えるように、サベージヘイブンが炎の中から飛び出してきました。壊れたモニターの死角になっていて、一瞬反応が遅れたエフカリストに、鈍い金属音を立てながらサベージヘイブンが激突します。

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