第13話 レガシー
わたくしのための新型機が、わたくしの目の前で建造されています。最高ですわ……。
コア部分はあのハロウェル家の研究所で朽ち果てていた機体を使用しています。ピュアマギコークスクリスタルが2本の第4世代機です。
第4世代機は第1世代よりは魔力の変換効率が良いらしく、ピュアクリスタル2本でも変換効率が11倍となかなかの数値です。ちなみに一般的な量産機が大体3倍程度で、うちのグローシアちゃんが20倍ですわよ。
パイロットは魔力電池。そしてその魔力をクリスタルで変換して、モーター(ジェネレーター)を回していると考えて頂くとわかりやすいかもしれません。わたくしは詳しくないので、翠蘭の受け売りですけれども。
夜月の格納庫に設置された、エクソシア家から持ってきたソファー。わたくしはそこに座って、とてもとてもいい気分でお茶をしていました。
「なぁ、こいつの名前は決めたのか?」
「名前ですの? ……うーん……グローシア2とかどうでしょう?」
わたくしの向かい側のソファーには、なぜか翠蘭が座っています。今日は正式に採用された制服、黒チャイナドレスを着ています。格納庫でチャイナドレス着て足を組んでいたら労災の原因になりませんか? わたくし、心配ですわ。
「それならいっそエクソシアにしたらどうだ?」
「オホホ……それ面白いですわね」
「……じゃあ不速之客はどうだ?」
「招かれざる客と言いたいんですの? わたくしが来てくれてあなたも嬉しいでしょう?」
「それはどうだろうな……」
「まぁ名前は追々決めるとして、何かありましたの?」
「ああ、依頼だ。材料を取ってきてくれ」
まぁ! 狩猟クエストですの!
◇────────────────◇
老竜という魔獣が居ます。スポットの砂漠地帯に生息しており、砂に擬態して獲物を狙う習性を持ちます。竜とついてはいますが、どちらかというとトカゲに近いですわね。
この老竜も前回のベヒーモスと同じく大型魔獣ですので、とっても大きいのでしょうね! 楽しみですわ~~~~~!
砂漠地帯外縁部に運搬用トレーラーを待機させ、わたくしは1人で砂の大海に飛び込みました。低空でバーニアを吹かせ、砂を巻き上げながらウロウロと蛇行しながら移動し続けます。
しばらくそれを続けていると、わたくしの感応器官に反応がありました。……別に誘い出すようなことしなくてもわかりましたわね! わたくしって万能すぎますわ……。
向こうもこちらに気が付いたようです。砂に潜りながらわたくしに近寄ると、一撃必殺とばかりに、一息にグローシアを喰らおうと噛みついて参りました。
わたくしは閉じる口に触れないように、ギリギリまで老竜を引き付けながら避けると、鼻先に拳を叩き込みます。
「シッ! ですわっ!」
鼻と口に2発拳を叩き込むと、老竜が後ろに大きくのけぞりました。そのまま横向きに倒れたことで、地面で隠れていた白い首が丸見えになります。ここが弱点です。テストに出ますわよ!
そのまま一瞬で距離を詰め、手刀と蹴りを何度も叩き込んで首を落とします。言うのは簡単なのですけど、思ったより首が太くて大変ですわね……。
何か武器が欲しいですわ! 今、手に入る武器は耐久力がなさすぎて、わたくしが振り回すとすぐに壊れちゃいますのよね……。グローシアは一般的なMAとはパ、パワーが違いすぎる……! ですから。
「あ、首落としたら運ぶの面倒ですわね……」
老竜の紫の血に塗れてしまった砂とグローシア。そして首チョンパ巨大トカゲを前にわたくしは途方に暮れてしまいました。いつもグローシアを掃除してくださっている方、ごめんなさい……。わざとじゃありませんのよ……。
とりあえず生首だけをトレーラーに運ぶことにします。空飛ぶトカゲの生首とか、世が世なら都市伝説か怪談になってそうですわよね。
そうして帰る途中に、今度は3匹の老竜が固まっている場所を見つけてしまいました。こいつらは縄張り意識が強くて群れないと夜月の方が仰ってたような気が致しますが、どうして固まっているのでしょうか。
狩りたいのですが、そうすると流石に首が邪魔ですわね。仕方ありませんので3匹の真ん中に首を投げ落とします。すると、それに釣られて老竜が動き始めました。タイミングを見計らって、先ほどと同様に避けて、殴って喉をかっ切る! を3回繰り返します。今日は大漁ですわ~~~!
無事に3体とも討伐し、ホクホク顔で運ぶ準備をしていますと、突然3匹が潜んでいたちょうど真ん中の地点に、淡く輝くコンテナが現れました。
「レレレレレレ! レガシーですわ!!!!」
スポットに現れる宝箱、レガシー! 一度取ると二度と同じ場所には現れないレア宝箱です! これは期待が高まりますわ!
「えーと……ピュアマギコークスクリスタルが欲しいですわ! あとですね、返り血で汚れない武器とかわたくしにも使えるような遠距離武器とか欲しいですわ!」
そう天に祈りを捧げたあと、わたくしははたと気が付きました。
「お待ちなさい。この感じですと《《物欲センサー》》が発動するかもしれませんわね!?」
物欲センサー。それは欲しいと思っているとまったく出なくなる不思議な現象のことです。
「ならば! 最高に返り血を浴びて汚れる近接武器をくださいな!」
ふふふ……逆に願うことで物欲センサーを無効化……いえ、利用する完璧な作戦です! わたくしの聡明な頭脳が導き出した完璧な作戦。わたくし、時々自分の明敏さが恐ろしいですわ……。
改めて祈りを捧げたあと、とても大きなコンテナの上面をグローシアで開けますと、中には……。
ああ、はい。MAが持てるサイズのチェーンソーが入っていました。おファック!
しかしピュアマギコークスクリスタルも1つ入っていましたので、わたくしはあなたを許して差し上げましょう。




