第101話 手紙
松浦静子嬢の手紙を読んでから数時間後には、わたくしと翠蘭、祝融の3名で話し合いが持たれました。
松浦静子嬢の手紙を読んだ翠蘭の目が険しくなり、眉間のしわがなくならないまま手紙は祝融へと回されます。
食い入るように手紙を読む祝融。髪は紫がかった青で腰まで伸びており、顔はつり目気味のキツい顔の美人です。原作で見たのを思い出しますわ。懐かしいですわね……。
服装はチャイナボタンの上着にぴっちりとしたタイトなパンツをはいております。困りましたわ……。チャイナ服お姉さん属性の女がダブってしまいましたわ。
「彼奴ら本当に巫女様を人柱にするつもりか!? 妾が居ればこんなことには……」
祝融はクシャリと手紙を握り潰すと立ち上がって怒りをあらわにしています。意外と熱い人ですわよね、この人。
手紙の内容は二条綾子が巫女として、竜洞山の上にある社に向かうことを伝えるものでした。
祝融を落ち着かせると、彼女は1週間ほど前の向こうの状況を説明してくださります。
用心棒をしていたそうなのですが、彼女が雇われている間にも頻繁に刺客が送られ……といいますか二条綾子の拉致未遂が起きていたようです。物騒な国ですわねぇ……。
二条綾子が自らの意志で向かったのか、誰かの手によって向かわされたのか、どちらかはわかりませんが、このまま放置すれば二条綾子の命は潰えてしまうことでしょう。
そういうものから狙われないように皐月学園に送られていたという設定だったような気が致します。なぜか皐月学園のシステムが崩壊してしまったせいで実家に帰っていたようですわね。……一体誰がそんな酷いことを? そして用心棒を離れさせた悪いやつも居るみたいですわね!
「それって、あの上清とかいう方が原因といっても……」
「そして一番強いやつを連れて来いとその爺を脅した女も居るらしいの?」
「それじゃあ、あの方たちはその場で全員殺した方が世の中のためになりましたわね?」
「ぐぬぬっ!!!」
睨み合うわたくしと祝融の間に翠蘭が割って入ります。
「あの寿司屋で会った女の子だろ? それで彼女はどうなるんだ」
「そうですわねぇ……。人身御供で火口に身投げといったところでしょうか?」
「そんなことはさせぬ!!」
さらに気炎をあげる祝融と二条綾子の関係を不思議に思い、話を聞いてみると祝融が修行の旅をしていた時に野垂れ死にかけていたところを救ってもらった恩があるとか……。
その辺りが原作で語られていたのかは覚えておりませんが、わたくしの記憶によれば、祝融は二条綾子死亡ルートでないと現れないタイプの敵でした。敵討ちなんかだったのかもしれませんわね。
ちなみに倒すとむふふなシーンがあるだけで仲間にはなりませんでした。カルヴォノ・マギストリアは18禁ゲームですわ!
「それでどうするんだ? ヴィアリスが長期間抜けるのはマズいぞ。かなり消極的とはいえウィングリー軍も行動している」
「ジェニシア対策はどうなりましたの?」
「それは……」
翠蘭の歯切れの悪い言葉に続きを促してみますと、面白い情報が得られました。やはりウッコネン家はジェニシア対策を持っていたようです。なんでも20メートル四方の特殊なシートの上にジェニシアをおびき寄せてスイッチを入れて痺れさせる……つまり動きを止める罠のようで……。なんだか原始的ですわよね? 落とし穴と変わらない気すらしますわ。
「ありゃだめだな。ウッコネン家は実際に使用して失敗している。改良するにしても別にエネルギーフィールドを突破する方法を考えなければならないし、そのまま突破して倒した方が早そうだ」
「それは残念ですわね……」
「だがこれを知っている、というだけで向こうは警戒してくれるかもしれん。そうだな……あと1週間で対ジェニシア装備の試作品ができる。それまでなら出掛けていても構わんぞ」
「本当ですの!?」
「ああ、どうせ止めてもいくんだろ? ただし中継基地を用意するから毎日通信で報告すること。これが条件だ」
「まるで門限を守らない娘みたいな扱いやめてくれません?」
「まさにその通りの不良娘だろうが!」
「わたくしは騎士なのですけど?」
それではお姫様を助ける騎士として準備しないといけませんわね!




