第四十四話 三人で水族館デート(?)後編
なんかこの水族館って、青春を引き寄せる効果でもあんの?度々そういうイベントに遭遇するんだが。
イルカショーを見た後は、俺の横にいる美少女たちが
「お腹空きません?」
「空いてる空いてる!!」
「まあそこそこ」
「じゃああっちにレストランあるので行きましょ」
と言った感じで昼ごはんを食べる流れとなった。
歩いてる途中にたい焼きが売ってて「水族館であれはセーフなのか?」とか思っていた所で到着した。
「いらっしゃいませ〜。三名様ですか?」
「はい」
「では2番テーブルにご案内します」
そうして案内されたテーブルに座った…ところに驚くような光景が広がっていた。水族館だからそりゃそうなのかもしれないけど、横で魚が泳いでる!ちょっと薄暗い感じが神秘的で……とにかく良い(語彙力は家に置いてきた)。あと店員が被ってたサメの被り物がかわいかった。いや、正確にはサメの被り物を被った店員が可愛かったおっと、口が滑っちまったぜ(滑ってない)。
「私決まった〜。ふわふわパンケーキと南国フロートってやつ」
「夏っぽいね。俺はお腹壊しそうだからあったかいやつにしようかな。じゃあオムライスで」
「じゃあ私もパンケーキにします」
「さっきから思ってたけど、パンケーキって昼ごはんに入るの?」
「入ります!」「入るよ!」
そこの謎の女子の団結力はなんなんだ…男からするとデザートでしか無いんだけど…まあ二人か言うならいっか。
注文をし終えて暫く待っていると———
「こちら、パンケーキと南国フロートでございます」
「わ〜!美味しそ〜!!」
目がキラキラしてる…これが女子のデザート好きか……いや、これは単に綾瀬さんがデザート好きなだけだけど。
運ばれてきた南国フロートはブルーハワイで夏っぽい。水族館にぴったりな色合いだ。青色って基本的に食欲湧かないけど、ブルーハワイだけは食欲湧くよね。
その後すぐにオムライスも届いて一緒に食べる。
………うま。卵のトロトロな感じがめっちゃ美味い。食べるのに夢中になっていると———
「みなっち、一口貰っていい?美味しそうに食べてるから気になっちゃった」
「え?あ、うん良いけど」
「ありがと!じゃ、遠慮なく…ん〜!美味しい!!デミグラスソースはやっぱり美味しいね!」
「分かる。あ、じゃあ綾瀬さんのも一口貰ってもi———」
「それなら、私のをどうぞ」
「え?あ、ありがとう、じゃあ———」
「私のじゃ…だめ?」
なんじゃこの状況。美少女二人にあーんされてる陰キャなんて見たことないぞ。てか二人が渡してくるなら二つとも食べなきゃなのか?この状況の正解がわからん…と考えていると、口の中に甘い味が広がる。って綾瀬さんが無理やり俺の方に入れてる!
「…………美味しい」
「そ、良かった!」
「じゃあ私も」
「いやもうお腹いっぱいだから、ね?」
「私のは要らない…ですか?」
「喜んでいただくよ」
上目遣いは反則なんだよなあ。思わず即答しちまったやんけ。俺以外の男子なら堕ちてるぞ。俺も堕ちかけたけど。てかもうなんか味わからなくなってきた。
当然同じメニューだし、味は変わらないんだけど…何となく二回目の方が甘く感じた。なんでだろー(棒)。てかふっつ〜に間接キスしてね?……そこには触れないでおこうそうしよう(顔に出るのが恥ずかしいだけ)。
昼ごはんを食べてレストランを出ると、近くでペンギンの餌やりという催しが開かれている。どうやら餌やりを体験できるらしい。可愛いものに目がない綾瀬さんは
「餌やりだって!やろ!!ペンギンだよ!!」
超ハイテンションでペンギンに駆け寄っていく。茨実さんと俺は後をついていく。
「餌やり体験、やりますか?」
「やります!!!ね、二人とも!」
まだ返事もしていないのに、余程やりたいのか飼育員さんの質問も二つ返事で応える。
「そうだね、折角だしやろっか」
「そうですね、またとない機会ですし」
流れで三人で餌やり体験をする事になった。予定もなかったっぽいし、これはこれでアリかもしれない。
ペンギンにアジやイワシなどの魚をあげる。食べている姿がとても可愛らしい。二人もペンギン夢中になっている、というかメロメロだな。
買った餌を全部あげ終えて、ペンギンの餌やりの時間が終わった。ペンギンなんて水族館でしか見れないから良い経験だった。やっぱり動物は生で見る方が、画面で見るより何倍も可愛いな。
「楽しかったね!」
「そうだね、ペンギンの餌やりなんて初めてやったよ」
「でもペンギンちゃんたち、可愛かったですね」
「ね〜!また来たいな〜」
「機会があれば、ですね」
その後は、電車の時間の都合で1時間弱しかいられないこととなり、ぶらぶらした後、お土産コーナーに来ている。
「ぬ、ぬいぐるみがいっぱい…!迷っちゃう!!イルカちゃんとかペンギンちゃんとか……あ、これも可愛い!!」
「そんないっぱい買ったら帰れなくなっちゃいますよ」
「はっ!じゃ、じゃあどうしよ〜。悩んじゃうよ〜!」
「これ、皆でやらない?」
「なになに」「どれですか」
俺が提案したのは、カプリウムコレクションのガチャガチャである。ちょうどいい大きさといい値段。尚且つ水族館って感じの動物たちがいて可愛い。
「いいね!じゃあ一人一回ずつ回そっか」
「いいですね。そうしましょう」
「じゃあまずは俺から……っと、ペンギンか。可愛いね、親子で一緒に歩いてる」
「じゃあ次は私が…お、オットセイが出ました。可愛いです」
「最後は私ね……っと、ん?クラゲ??そんなの書いてあったっけ?」
「あ、これシークレットじゃん」
「ついてますね」
「シークレット!ついてる!!けどまだ可愛い動物いっぱいいるからもう一回だけ引く!」
「確固たる意志が感じられる…」
「やった!私もペンギンだ!!」
そんなにペンギンがよかったのかなとか思ってると、ボソッと「みなっちとお揃いだ…へへ」と言う声が聞こえてきて無事吐血した。
こうして三人での水族館デート(?)は幕を下ろした。
余談だが、ペンギンのカプリウムコレクションは大事に勉強机に置かれている。なんかあれを見るとやる気が出る…気がする。
なんか書きたいこと多くて文字増えちった。
しかも糖分もりもりだし。
コーヒーを一リットル用意してから読むことをお勧めします。(後書きじゃ時すでに遅し)




