第四十二話 三人で水族館デート(?)前編
「ここは…」
その後茨実さんに連れられてきた所は、水族館である。久しぶりだな水族館なんて。
「なぎちゃんと来てみたかったんですよ〜」
「みなっちとじゃなくて?」
「そしたら私が湊君とデートしたいみたいになるじゃないですか!」
頬を赤らめてそんな事を言うもんだから、綾瀬さんと一緒でウブなのかもしれない。こういう時毎回可愛い反応をしてくるから、こっちも不意打ちにドキッとする訳だが。
ちなみに綾瀬さんは悪戯が成功した子供みたいにニヤニヤしていた。いや流石にこんな可愛い子が俺と水族館とか…無い無い。
入場料の1500円を払って中に入る。
「「「おお…」」」
三人とも息をそろえて目の前の光景に息を呑んだ。
薄暗い洞窟のような道の側面に、いろんな魚が優雅に泳いでいる。もう俺達はここを見ただけで「来て良かった」と思っていた。いやまあ、まだまだ楽しめる場所はいっぱいあるんだけどね。
その次に見えたのは…なんじゃあれ!でっけぇ魚の骨が飾られてる、骨格標本ってやつか…。お、解説も書いてある。……………普通に面白い。そしてこれ鯨だったのか。
その後目に飛び込んできたのはサンゴ礁。綺麗だなぁ。こういう機会にしか見ないから余計に。
東館を一通り見終わり、西館に移動する時に通る通路が…まあすごい(語彙力)。トンネルになっててその上をエイが泳いでいたり、サンゴ礁があったり。あのアングルでみるエイ可愛いな、特に顔。
「エイの顔可愛いですよね」
「分かる」
まるで茨実さんが俺の思考回路を先回りしてるのでは?と思うくらいにドンピシャな質問。とそこで綾瀬さんが———
「エイの顔と小春っちの顔、どっちの方が可愛い?」
「はいぃ!?」
いやどっちも可愛いけど…っていう答えは求めてないよねそうですよね。とそこで俺はふと思った、「ちょっとやり返してみるか」と。
いつもやられっぱなしだからな。こういう機会にカウンターしたらいい反応が見れるんじゃね?という俺の中の悪魔の囁き。
「エイも可愛いけど、茨実さんも綾瀬さんも俺には勿体無いくらい可愛いよ」
「「……………」」
いや無言にならないで!ふっつ〜にめっちゃ恥ずいわ何これ!?と、そこでようやく気づいた。どっちも赤面しつつも嬉しそうにしている。
これが正解だったのかはわからないが、いい顔を見れたのでよしとしよう。
「次はイルカショーがあるみたいだし、早めに行こっか」
二人にそう言うと、「オッケー」「分かりました」と返事してまた歩き出す。その直後に「今のはずるい…」という声が聞こえたが、それはそっちがいつもやってることだから許して。
…………なんか甘酸っぱいような雰囲気が漂ってるなぁ!!まあ周りも皆そんな感じの人が多いから感染ったのかもしれないなあ()




