9話 村生活開始
破れかけているカーテンから朝日が差し込んできて俺は目が覚めた。
住環境はまだ悪いが馬車で移動してたときよりは、眠れたので昨日よりも体が幾分か軽く感じる。
元廃屋とはいえ住む家ができたのでこれからの目標は当面の間、村で生活ができるくらい金を稼ぐこと。村で必要な知識を学ぶことにする。金の稼ぎ方ももちろん必要な知識だ。
まぁまずはこのホコリっぽい家の空気を入れ換えよう。それぐらいなら今からでもできる。
そう考えたヤスマルは窓の方に近づいた。
破れかけのカーテンをこれ以上破かないよう慎重に開いてガチャリと窓を開けた。
春の朝の少し冷たい風が肌を撫で部屋に入ってくる。身が引き締まるようでなんだか気持ちがいいな。
しばし黄昏るような感覚になり
ぼーっと外を眺めていると、村の方からうっすらと良い香りが風に運ばれて届いてきた。恐らくは朝食の支度などをしているのだろう。
くぅ~~...
思わず腹が鳴った。
そういえば昨日は馬車の中で乾パンのような物と水しか貰えず・・・というか、王都からここにくる道中の3日間は毎日それだけだったオレは日本からこの世界にきてまともな飯も食えていない。
幸い今の俺には村長から貰った金がいくらかあるので腹ごしらえにありがたく使わせてもらおう。
「いくか!」
部屋の空気も入れ換わったので窓を閉め
何も盗まれる物もないが一応家の鍵も閉め俺は家を出た。