テンション上がる秘匿事項
シェイルが保健室から出ていってから少し時間が経ち、俺も教室へ戻ることにした。
それにしても………広いな……と心の中で思いながら後ろを向く。
その俺が寝ていたであろう保健室は普通の学校の三倍はあるであろう広さだ。
「怪我する人が多いのかな?」と呟きながら俺はその場を後にして教室に着く。
まだ休憩時間だったようだが、入って来たばかりだからか他の教室に行くことも無くほぼ全員がいて俺には懐疑の目を向けてくる。
恐らく身体能力で俺に負けたのが信じられないのか?能力と身体能力はあんまり関係ないと思うが
「大丈夫だったか!?心配してたんだぞ!」と辰真が話しかけに来てくれた。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがと」
見る限り辰真含め他の人たちにあの罠の被害は出なかったらしい。よかった。
「俺は保健室で寝てたけど走った後は何やったの?」
「なんか能力の基礎講座?とかをやってた。先生がめっちゃ凄くて森を抜けたら辺り一体氷漬けで能力ってここまでいけるのかって思ったぜ」
その時、シェイルが一瞬こちらに近づき俺に耳打ちしてくる。
「あの罠は他の人達に喋らないように。だそうです」
分かった、と目配せを送りちょうど授業再開の鐘が鳴った。
凍夜先生が時間ぴったりに教室へと入ってくる。
「おーーお前ら席に着けーー。これから座学を始めるぞー」
周りはこの授業に半々という人気だ。こんな座学なんてやらずにずっと訓練していたいと思っている人とどちらかというと座学も大事と思う人がいる。後者は多分サポート系の能力者に多いだろう。
ちなみに俺は座学に興味はある方だ。もしかしたら能力者しか知らない裏話とか聞けるかもしれないし
「今から教科書を配る。貰ったら名前を書き無くさないようにしろよ」
その後、配られたのは高校の基礎的な部分の教科書だ。
次は何が配られるのかと考えていたら、もはや角で人を殺せそうな程の分厚さがある教科書が見えた。
「これはお前ら能力者限定の教科書だ。一般人にはあまり知らされていない情報も多々ある。くれぐれも口外しないように」
そして手元にそれが回ると俺は真っ先に開いた。秘匿事項とか一番気になるような情報じゃん。
パラパラと教科書をめくっていき、今までの日常の中でも関係しているものもあるんだなと感じる。
例えば、道路に配置されている標識には能力者学校でしか知り得ない情報が書いてあったり立入禁止区域の中では一般的な事故などだけでは無く能力の作用により人に悪い影響を与えるから閉鎖されているなどが書いてある。
「それじゃあ授業を始める。各自数学を出せ。ちなみに授業では能力の使用は可能だ もちろん他の人に迷惑をかけないのならな。授業妨害などもってのほか。そんな事をしたら凍らせる」
先生の言葉を聞いて少し顔が明るくなった人はいる。その人たちは勉強に有利になる能力を持っているのかもしれない。
数十分後に数学は終わった。時々先生が当てに来るからちゃんと授業を聞いていないと着いていけなくなる。
だが、何故か頭にはスラスラと入ってきて全て理解できた。
次は社会だ。 世界情勢や能力による気候の変化大地の変動が活発にあるのであまり地図は当てにならないらしい。だから変わらないような場所を覚えたほうがいいと先生は言う
「ここで問題だ。世界には大陸がいくつある?じゃあ…武戦!答えて!」
まさかの自分が当てられた。一瞬だけ考えて俺は答える
「七つあります」
先生はこちらを向き答える。
「残念違います。もしかして君はユーラシア大陸を二つに分けたのかな?正解は六つ。」
「ユーラシア アフリカ 北アメリカ 南アメリカ オーストラリア 南極大陸だ。」
俺はその言葉に違和感を覚える
「先生、太平洋付近に大陸ってありませんでしたっけ?」
先生は少し考えたような顔でこう返してくる
「無いよ。ちなみにその大陸の名前は言える?」
「いや、ただの勘違いでした。すいません」
これ以上ただの違和感で授業を遅れさせるのは流石に悪いのでここで一旦止める
「皆知っての通り、この大陸の名前は数百年前から変わっていない。いや、もしかしたら数千年前かもしれない。」
その時、生徒の一人が質問をする
「先生、何で大陸と同じ名前の国が無いんですか?」
「いい質問だね風音好音さん。これは確かにここでしか質問できないような事だ。」
確かにこの教科書を見て俺も不思議に思っていた。
「詳しい年代は不明だが、さっき言った通り大陸の名前は長い間変わっていない。だけど、元々は同じ国があったらしい。例えばアメリカ これは大陸の名前と同じ国であったことから昔の中でも大国であったことが分かっている。だが今日までの長い歴史の中で何かが起きてその国は崩壊し未だ大陸の名前は変わっていないということだ」
「ありがとうございます!!」と彼女はお辞儀をして席に座った。
だけどなるほどね。最近は戦争をしていないけど昔はもっと荒れていたのかもしれない。民衆の力で国は変えられるけど、大陸は色々な国が集まっているから名前が変わることはなかったのか。
その後しばらく波風なく授業は進み、二時間目が終了した。
「三時間目も座学だから頑張れよー」と一部の飽きた生徒に刺さる言葉を言ってから先生は保健室へと戻っていった。
また座学か………この学園では能力の勉強が多いと聞いていたけど流石に一時間だけでは無いか
「武戦。大陸の数を間違えるなんて流石に常識が足りていないんじゃ無いですか?」と首を傾げながらシェイルが言ってくる。
「大陸の数なんて知ってても意味無いんだからセーフセーフ」
といつも通り雑談をしていると、誰かが俺に話しかけてきた
「あの………武戦くん…ですよね?」
誰だろう?と一瞬思ったが、すぐに思い出した。
この人はさっき質問していた女子生徒の風音好音だ。
俺より前の席に座っているから見えていたが、誰よりもこの能力者専用の本を読み込んでいた人だ。
「そうだよ?」
「よかった………ねぇ武戦くん。何でさっき太平洋付近に大陸が無かったって聞いたの?」
彼女は圧が強いのかわからないが前のめりに聞いてくる
「いや………ただ何か違和感を感じただけで……」
「何で違和感を感じたの?ねえ?何で?何で?何で?」
と突然同じ言葉を何度も言い出して俺に近づいてきたので恐怖を感じた
「私の友達に何してるんですか」とシェイルが彼女を圧を出して止める。
「あぁ!すいませんすいません!!私好奇心が強くてつい………」
話を聞いてみると彼女は歴史が大好きで、子供の頃から教科書を読んでは違和感を感じていたらしく、この学園に入ってきたのも何か情報があるかも!ってことで入ったらしい。
そして何故俺に詰めかけて来たのかというと、数多い彼女が持つ違和感の中で大陸についてがあったようでその質問をした俺に話しかけようとしたらしかった。
その後何故か辰真も来て休み時間はこの四人で時間を潰すことになった。
風音好音 ランクD 成績は超優秀




