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【8月書籍化】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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似た者同士

ジルを見つめて動かないボク。

それになぜかジルのほうもボクを見つめて動かない。


そのせいでお互いに見つめ合ったまま動かないという事態になってしまった。


だってだって!ジルがカッコよすぎるのだもの!

いつもカッコいいし最高に素敵なのだけれど、ボクの色を見に纏ったジルはまた格別。

カッコいいのと嬉しいのとで脳内がお花畑。

それと同時にこんなに危ない魅力があふれ出ているジルを誰にも見せなくないって言う独占欲が沸き起こってきた。


「ジル、最高にカッコいいですっ!

濃紺の生地にストイックでタイトなシルエットがとても凛々しくて素敵です。

ただでさえ素敵なのに、裏地をキュートな水色にしたせいで、端正な美貌に甘さが加わり、なぜかさらにカッコよさが強調されておりますっ!至上の美とはこのことかと!

みんなにジルを見てもらいたい気持ちはあるのですが、でも、ジルを独り占めしたい気持ちもあって複雑です。

こんなに格好いいジルをみんなが見たら、みんなジルに恋をしてしまうに違いありません。

ライバルが増えすぎますっ!

ここまでくると、もういっそ……危険物?

とにかく、ダメですっ!やっぱりいつもの衣装にいたしましょう!」


「クリスもいつも愛くるしいが今日は一段と……その……可愛らしい。

だが、なんというか……可愛らしいのに、いつもとは違う色合いだからだろうか?少し大人っぽくもある。

そのアンバランスさがどうにも危うく、それがまた魅力的だ。

……うむ。確かに危険物。このように魅力的なクリスを皆に見せるわけにはいかぬ。

あらぬ想いを抱く輩が増えるやもしれぬ。危険だ。

よし、衣装を着替えよう。やはりいつもの……」


ボクとジルが奇跡の意見の一致をみせたところで……


「あなたたち、何を言っているの?」


地を這うような声がボクたちを止めた。

お母様だ。


見ると、座り切った目で柳眉を逆立てていた。


「そこに並びなさい!」


「「はい!!」」


反射的にビシっとお母様の前に並ぶ。


「いいですか?二人とも着替えるのは禁止です!そのままでパーティーに参加なさい。

確かに磨きすぎたかもしれないわ。クリスは可愛らしすぎるし、ジルもいつも以上に端麗よ。

でもね。二人で並んで登場するところを想像してみて?

最高のカップルでしょう?

最高に可愛いクリスと最高に格好のいいジル。

誰が二人に敵うというの?向かうところ敵なし。でしょう?

だから安心していってらっしゃいな。

それにね、会場には私もセブランもいるのよ?だから大丈夫!」



マーシャが言った。


「私、こういうお二人をなんていうか知っております!

ちまたでは『馬鹿っぷる』と言うそうですよ?」


「マーシャ、それって褒めてるの?」


聞いたボクにマーシャが腕を組んで首を振る。


「いいえ。褒めてはおりません。呆れております」


ですよねー!


「……面目ない」

「……ごめんなさい」


ボクたちは自分たちが「馬鹿っぷる」であることを認め反省し、着せられたとおりの衣装でパーティーに向かったのだった。








王城へはお母様&お父様、ジルとボクとで、2台の馬車で向かう。

これは一応「家族」ではなくそれぞれ「パートナーを伴ったペア」なのだというアピールのためだ。


今日初めてボクはジルの「弟」としてではなくジルの「婚約者」としてみんなの前に出る。

大丈夫かな?

「兄弟なのに」とか、「ジルベスター様に相応しくない」とか思われたりしない?

これはボク自身が思っていることでもある。

だってボクはジル様推し。ジルは大好きな婚約者であるとともに、ボクの最推しなんだもの。

ファンの目線から考えるとどうしたって「ボクなんて」って思ってしまう。

でも、ジルがボクを望んでくれたから。

ボクはジルの横を誰にも譲るつもりなんてないの。

ボクがジルを幸せにするって決めたんだもの。

ボク以上にジルを愛せる人なんていないと思う。それだけは自信があるから。


膝の上でギュッと拳を固めて決意する。

今日誰に反対されても、誰にどんな目で見られても、ボクは凛と背中を伸ばし前を見つめていよう。

そう、あの日のジル様のように。


するとその手にそっとジルの手が重ねられた。


「何を考えている?」


心配げに曇る瞳の星空。


ボクは大丈夫だよ、とジルにほほ笑んで見せる。


「自分の気持ちを確認していたんです。

どんなことがあっても、ボクはジルの隣を譲るつもりはありません。

だってね、ボクが一番ジルのことを大好きなんだもの!」


ふは!とジルが笑った。


「奇遇だな。私も全く同じことを考えていた。

私はクリスの隣を誰にも譲るつもりはない。どんなことがあろうとも。

私は誰よりもクリスを愛しているのだから」


「ふふふ。お揃いですね?」


「ああ。お揃いだな」


指を絡める形で手をぎゅっと握り直された。

こ、これは……恋人繋ぎ?!


「この手を離してはならぬぞ?クリス」


「ええ。決して離しません。任せてください!」












読んでくださいましてありがとうございます♡

少しでもいいねと思っていただけましたら、ぜひ☆をポチっと……|ω・)チラリ


作者のモチベーションが爆上がりして踊り狂います。



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