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ダンジョン潜入

ダンジョンに潜った俺たちを待っていたのは金銀財宝でもなく。ボス級モンスターでもなく。ただただ広い草原だった。


「どうなってんだよ……これ」


「おかしいな、ここのダンジョンは迷宮のはずなんだが。ヤイバ、魔力の流れはどうなってる?」


「あ、あぁ……なんか気持ち悪い流れだよ」


「それだけじゃないようね。二人とも後ろを見てみなさい」


「……なっ!?」


「出口がなくなってる!?」


俺たちの後ろには入り口がないとおかしいはずなのに後ろにも草原が広がっていた。

……つまり、このダンジョンから出るにはダンジョンのボスを倒すしかないというわけか。


「なぁ、二人とも。たぶんここにいてもどうにもなんないと思うんだ。だから、先に進んでみないか?」


「そうだな。こんなとこで止まってられねーもんな」


「私はヤイバの指示に従うつもりよ? 」


「じゃあ行こうか!」


そう言って俺らはダンジョンを進み始めた。



ダンジョンに潜って早くも二時間が経っただろうか。いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。

いくら進んでも同じ景色しかなかった草原に不自然すぎるほど大きな扉が現れた。 その扉の表面には髑髏の模様が描かれておりなんとも禍々しい雰囲気を醸し出している。


「なにこの扉。持って帰りたいんですけど」


「エレン……さすがにこれを持って行くのは無理だろ」


「五月蝿いわよ、ライト。それより早く扉を開けなさいよ」


「はいよ」


ライトが開けた扉をくぐるとその先には見覚えのある鎧を着た何かが佇んでいた。


「あの鎧は……」


「ーーーー帝国のっ!」


その瞬間、俺は剣を引き抜き走っていた。

だが、その騎士のような者は動くこともなく俺の剣により斬り捨てられた。


「ヤイバ! 後ろだ!」


「っ!? くっーー」


ライトの叫び声のおかげでうしろ(・・・)にいた騎士の攻撃を避けることができた。だが、なんでいきなり後ろにーー。


「なんで、殺したはずなのに生きてるんだよぉ!」


もう一度、剣を構え斬り捨てる。だが、俺の剣は憎き帝国の騎士の固い鎧によって防がれてしまった。

そして一瞬の隙をついた騎士によって斬りつけられてしまった。


「っぐぅ!?」


「ヤイバ!? これどうなってるのよ! なんでっ近づけないのよっ!?」


「ヤイバ! 避けるんだ、追撃がくるぞ!」


二人が結界のようなものを叩きながら叫ぶ。どうやら、俺たちはトラップに嵌ってしまったようだ。


「アハッーーアハハハハハハハハハ」


「ヤイバ!?」


「ヤイバが壊れちまった!?」


二人が何かを叫んでいるがそれが気にならないくらいに俺は嬉しくてたまらなかったからだ。

なぜなら、あれほど殺したくてたまらなかったからだ帝国人を殺せるからだ。


「アハッーー本気でいくから、簡単に死ぬなよ」


今度は斬るではなく叩くように剣を振るう。

騎士は目に見えない速度で迫ってくる剣に反応できずに首が体から吹き飛んだ。


「っち……もうおしまいかよ」


そう言って剣をしまおうとしていた俺を囲むように四体の騎士が現れた。


「アハッ! いいね。最高だぁ! 『グラビトン』!」


『グラビトン』 希少属性、空間の初級魔法。

その『グラビトン』の重圧が囲んでいた騎士達を圧殺する。

グシャ、ボキ、ビチャ、バキ、と不快な音をたてて騎士達は見るも無残な姿に変わってしまった。


「…………!?」


なんだ、足が動かない⁉︎ 騎士共は全員殺ったはず……⁉︎ なんだ、あれ。 あの青い髪、あの顔。


「うそ、だろ……なんで、母さんが」


俺の前に立ち塞がったのは母、ノーアだった。


母は不敵な笑みを浮かべ持っていた杖を俺に向けた。


「ヤイバ! そいつはお前の母親じゃねぇ! そいつは、このダンジョンのボス、メイジスケルトンの見せる幻影だ!」


「幻影……? ふざけるな。あの人の、母さんの顔で笑ってんじゃねぇ!!」


怒りにまかせて放った剣は幻影のノーアに届くことはなかった。


「ーーーー。ーーー」


「っ!?」


何かくる! と感じた瞬間、俺の体は吹き飛んでいた。

何が起きたんだ……これは、水?


「おいおいおい、ふざけるなよ。 なんで幻影風情が水圧魔法を使えんだよ」


水圧魔法、創作魔法の一つ。

水を極めたノーアにしか使えない究極の魔法だ。

普通の人が使うのならば体が四方へと弾けとぶだろう。


「ーーーー。ーー」


「そうなんども喰らうかよ!」


二度目の水圧魔法を躱しヤイバは母の幻影に向かって走り込んだ。幻影は走ってくるヤイバを気にせずに三度目の詠唱を始めていた。


「ーーーー。ーーーー」


「隙ありっ! 『天空炎斬』」


ヤイバの放った剣技が幻影に炸裂し。

二人のいる場所には煙が舞い上がっていた。


つづく

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