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【第一部完結】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜(第二部連載中)   作者: 鬼喜怪快
4章 混沌の新生命体編

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64話 何かが部屋で誰かを待っている




 役小角とアイナは、みんなに見守られながらスウェルド邸へ足を踏み入れた。



 建物の中にある気配はひとつ。

 それは2階から、はっきりと感じ取れた。


 階段を上がろうとするアイナの足取りは、どこか危うい。

 小角は、その腕を軽く押さえた。



 「落ち着いてください」


 「……分かっています」



 そう答えながらも、アイナの視線はすでに2階へ向いていた。


 先に前鬼が上がり、廊下を見渡す。

 そして突き当たりの部屋を指差した。



 「あの奥だ。待っているな」



 廊下には、無数の血痕が残されていた。

 叩きつけられ、引きずられた痕跡。

 誰の血かなど考えるまでもない。


 アイナの拳が、微かに震えた。


 途中、扉の開いた1室が目に入る。

 床一面に描かれた巨大な魔法陣を見てアイナが呟く。



 「なぜこんなところに魔法陣が?」


 「……魔法陣?」

 

 だが小角が注目したのは、形ではなかった。

 円の内側を埋め尽くす異質な文字。


 「これは呪文字だ……」


 「呪文字? この血で書かれてる暗号のことですか……?」


 アイナの言葉に、空気が凍る。


 「……魔術に、呪術を混ぜたのか?」

 

 小角はポツリと呟く。

 するとアイナが続けた。


 「これは……黒魔術の魔法陣だと思います」


 黒魔術は生贄を前提とする禁術。

 この魔法陣は呪術との融合――


 魔力と呪力が同時に感知された理由は、ここにあったのだ。


 そして――

 すべての答えは奥の部屋にある。


 前鬼が扉を蹴り飛ばした。


 薄暗い室内。

 割れた窓。

 床に残る血だまり。


 そして――


 椅子に腰掛けた、1人の男。

 その男を見て、

 掠れた声でアイナが呟く。



 「……先輩?」


 

 それは、確かにシルドの姿をしていた。

 無表情のまま、ゆっくりと立ち上がる。


 「生きていたの……?」


 一歩、踏み出そうとした瞬間。


 「アイナさん、近づかないで!」


 小角の制止と同時に、戦斧が横一線に振るわれた。


 ――鈍い衝撃。


 前鬼が間に入り、戦斧を身体で受け止めた。

 斧は歪み、折れ曲がっている。



 「……人ではないな」



 前鬼の低い声。

 拳を繰り出し、吹き飛ばす。

 シルドの姿をしたそれは、

 壁に叩きつけられても何事もなかったかのように立ち上がった。


 アイナが叫ぶ。


 「先輩に……何をするの!」


 だが前鬼は振り返り、静かに告げた。


 「あれがお前の想い人か?」


 小角も続ける。


 「呪力と魔力が混ざっています。

 ……あれは、シルドさんの身体を使って作られた別の存在」


 「……別の……存在?」



 アイナの手から、剣が滑り落ちた。

 それでも、その別の存在は無言でこちらを見つめている。


 人間のフリをして――

 大切だった人の姿をして――

 アイナを見ていた。


 小角は一歩、前へ出る。



 「正体をあばきます――

 ここから先は、任せてください」


 すべての謎を解くため、小角が戦う。






 

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