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incident43.紙と石と鋏

そんなこんなで対決する事になった三千院と仁見。

元は修行の為に呼んだはずだが仁見の挑発から五桜家の、三千院のプライドをかけた戦いに変わってしまった。

「…止めなくてよろしいのですか?あの様子では本気でやり…殺り合う事になりますよ。最悪の場合、仁見・四葉家の反逆と見なされる。厄介事に巻き込まれるのは御免被りたい」

バチバチの二人を遠くから見ながら師に問う伊地知。対してまたしても軽ーく答える清秋。

「まあ、大丈夫だろう。何かあれば儂が止める。伊地知は昔から心配性だな」

「…貴方が大雑把過ぎるんですよ。心配性ではなく、あの二人の面倒を見るのはもう嫌だと言っているんです」

「可愛い弟弟子達の成長を見れる良い機会ではないか」

「どこが可愛いのですか…」

今も昔も可愛くない。

「ほら、見てみろ。あんなに楽しそうにじゃれ合って…」


「ほらほら、動きが鈍いぞノロマ依人!だから良い女に逃げられるんだよ。『死鬼紙(しきがみ)水流舞流(つるまる)!」

「黙れ、せっかち野郎!お前こそすぐに別の女に手を出すから本命に振られるんだ。『伏魔拳(ふくまけん)』天の岩戸!」

仁見が紙を投げると鶴の形に変化し羽を広げると水流が押し寄せてくる。それを防ぐように三千院が地面を神力の込められた手袋を嵌めた拳で叩き付け、岩で壁を作った。水流舞流の激しい水流を食い止める。

「振られてなんかない、俺が振ったんだ。最初から大技とはね。フンッ。けどそんな攻撃ぶち抜いてやる。歌舞兎(かぶと)!」

今度は紙をばら撒くと大量の兎に変わり岩の壁を蹴る。

「はあ?振った?『結局金かよあの女』って文句言ってたのは誰だよ。振られたんだろう。素直に認めろ。それと小動物が小躍りしたくらいでこの岩戸は簡単に開かない」

「お前の頭と同じで固いのか。真面目過ぎてオネエしか寄ってこない依人ちゃん、だっけ?わらえるわ。破穴芥蛇連(はなみだれ)!」

バラバラバラ…。

花びらのように散った紙が無数の蛇に変化し、分厚い岩を次々と貫いていく。

「どうだ!…何!?」

岩壁の向こうに三千院の姿がない。

「どこに…」

「ここだ」

「…っ!」

声のした方を振り向くと


下にいたー。

正確には()の中にいたのだ。

「捕まえた」

足首をグッと掴む。

「クソっ!」

あの蛇の爆撃と砂ぼこりに紛れて地面に拳を叩き付け、空いた穴から地下にある屋敷までの隠し通路を利用し仁見の足元まで来たのだ。通路の存在を知っていたのは子供の頃から預けられていた三千院だからこそである。

「これで…」

「なーんてな」

ペロっと舌を出してすうっと消える仁見。

掴んでいたのは仁見の足首ではなく『人型の紙』だった。

「残念でしたー!ここだよ!」

遥か上空を紙飛行機に乗って飛んでいた。

「それは俺の変わり身。気付けなかった?だよね〜ハハハッ!依人、目が悪い(・・・・)もんねぇ」

「お前は頭が悪いもんなぁ」

穴から出て土ぼこりを払いながら言う。

「はあ?」

「自分の力を過信し過ぎだ。そう来ると思っていたよ。『後出し・刃裂芥(はさみ)』」

三千院がそう言うと伊地知の腰に付けていたホルダーからハサミが飛び出し仁見の乗っている紙飛行機を攻撃する。

「うわっ!卑怯だぞ。いつの間に後出しなんて力…」

仁見は伊地知に勝った事がない。


『後出し』を発動するには条件がある。

一、わざと相手に勝ったと思わせる事

二、自分の体力を最大限ギリギリまで使う事

三、能力は自分が勝ったもの、または奪ったものや交換したもの使う

この三つだ。三千院の場合、最初無駄に拳を繰り出し『天の岩戸』の大技と隠し通路を高速で移動する事で力を消費し、仁見に変わり身を使わせて上空では太刀打ちできないという勝ちを確信させた。

それに三千院は生まれたときから目が悪い(・・・・)のではなく悪くなった(・・・・・)のである。正確には視えていると言って良い。生まれながら特殊な眼『神眼(しんがん)』持ちだった為、他よりよく視えていた。いや、視え過ぎていたのだ。異形にとってはごちそう、呪術師にとっては金になる眼。狙われるに違いない。この力を危惧した三千院の両親は清秋に相談し封印しようと考えたがあまりにも力が大き過ぎた。そこで力を分ける事にしたのだが、その器に選ばれたのは丁度修行に来ていた若い伊地知。口が固く生真面目で四葉家の人間。まだまだ伸びしろもある。これ程適した人物もいない。清秋は力が弱くなるであろう三千院の事も考え、力の『交換』をした。その結果、三千院は微力になった眼を補う為『視える』眼鏡と体術・後出しの力を得る事に。反対に伊地知は能力が上がった。では何故仁見は三千院が視えないと言っていたのか?それはおしゃべりな仁見には知られないように清秋が話を作ったのだ。


「これが俺の『解』だ。見くびるなよ」

「クソ野郎が…」

地面から三千院を見上げる仁見。後出しの能力によって落とされたらしい。

「…あれの、どこが、楽しくじゃれ合っているように見えるのですか?」

「あのくらい可愛いじゃれ合いだろう。おい、お前らー!やるならもっと本気でやらぬか!」

「…」

伊地知には醜い悪口の応酬にしか見えなかった。

お久しぶりです。芝佐倉です。

今回は三千院と仁見の因縁の対決でした。いかがでしたでしょうか?「紙と石と鋏」というタイトルで何を表しているのかお分かりの方がいらっしゃいましたらご感想頂ければ幸いです。その他にもご感想お待ちしております!

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