65.素材探し
「いらっしゃい。あーあんた達はこの前の!」
薬屋に移動すると、店主のおばさんが俺の顔を見て声を上げた。
「どうも、先日は」
俺はペコリと頭を下げた。
「なんかさ。この間あんた達が来たあとからさ、やたらとビジルの葉が売れちゃって。集荷するとすぐに売れ切れちゃうんだよね」
「そ、そうなんですか?私は彼らに直接依頼して採取してきてもらっているので、知りませんでしたけど・・スミマセン」
あれ?
おばさん、ピザのこと知らないのかな?
たぶん、他の人たちも似たような感じで真似しようと思って、買いに来ていたんだろうな。
ピザ自体は、権利料を支払わないと大っぴらには真似できないし。
「そうなのよー。だから、いいのいいの。結構儲かっちゃっているから!」
おばさんは、笑顔で手をひらひらと振って言った。
「で、今日はなんだい?」
「またちょっと、探しているものがありまして。ヨモギって言うんですけど」
「ヨモギ?聞いたことないねえ」
「そうですか。また色々と見させてもらっていいですか?」
「ああ。もちろんさ!」
「ありがとうございます」
俺はお礼を言うと、陳列されている薬草類のサンプルの香りを嗅いでいった。
「あれ?このマメみたいなのが、たくさん付いている葉っぱはなんですか?」
俺は、ホウキグサに黒大豆のようなものが実っているような薬草を指差した。
「ああそれはピッパーって言って、その黒い実を葉から取って口にすると魔力の循環が良くなって、回復が早まるんだ。それに、魔法耐性も向上するね」
「そうそう、でもちょっと辛いんですよね」
おばさんの説明に、ポールがうなずく。
「ただ、葉から取ってしまうと、薬効が徐々に弱っていくからこの状態で保存しているのさ」
「へーなるほど」
「試しに食べてみるかい?」
「お願いします」
俺は、1粒その黒い実を受け取って口に含んだ。
「!・・胡椒だ」
カリッとかじると、ピリッと馴染みのある辛味がして、独特の香りが鼻に抜けた。
「これは大発見かもしれない・・・」
「え?なんだって?」
俺がポソリとつぶやくと、ネイサンが聞き返してきた。
「いや、これがあると色んな料理に使えるなと思ってさ」
「料理に?!どんな料理だ?!!」
「え?ま、まあ・・・色々だ」
ネイサンの勢いに、少々引き気味で答えた。
「それより、目当てのものを探さないと」
「お、おう・・」
ネイサンをひとまず落ち着かせ、俺は他の薬草類を物色する。
「これだ!」
何個目かの薬草で、ついに目当てのヨモギの香りに行き着いた。
見た目は、赤紫蘇を乾燥させたような感じの薬草だ。
「それはモグワートだね」
「その薬草は、ボクも知ってる。それをお湯で練ったものを傷に塗ると、毒消しになって早く治るし、ポーションの材料にもなるはず」
リンが、真面目な顔をして教えてくれる。
「ヘェーそうなのか。じゃあ、薬効も似てるし多分ほぼ同じものだな。おばさん、これをください!あと、さっきのピッパーもお願いします」
「はいよ!量はどれくらいにする?」
「ある分全部で」
「あ、ありがとうよ。でも、結構な金額になるけどいいのかい?」
「大丈夫です!」
よし、これで第二弾の企画が実行可能だ!
他にも思わぬ収穫もあったし。
楽しみになってきたぞ。




