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19.あれ?

次の日から毎日、夕方になるとミミが風呂に入りに来るようになった。


患者の数は相変わらず6~7人なので、市場で買い物をして帰っても、割と早目の時間に宿に戻れるので、ミミを夕飯前に帰すことは可能だった。


「やっぱりサイコーだね、マモルおにいさん!」


さすがに、初回の時と違って、毎回一緒に入るわけにいかないので、ミミがひとりでタライに入っている。


「そうだなー。でも、100まで数えたら上がるんだぞ?」


俺は、手桶(追加で買ってきた)を使って、肩からお湯をかけてやりながらミミに言った。


「はーい、ごじゅうに、ごじゅうさん、ごじゅう・・」


ミミは元々、10まで数えるのがやっとだったのだが、毎日教えてやっている内に100まで数えられるようになっていた。


意外と頭が良いのかもしれない(親馬鹿モード発動中)。



「じゃあねー、バイバーイ!」


慌ただしくミミが帰って行った。


「さてと、俺も飯だ」


俺は食堂に戻ると、シンシアさんに声をかけた。



そんなこんなで、数日後。


久しぶりに休診日にして、村長の家の夕飯にお呼ばれされた。


「もう少しで、用意が出来ますからね」


ちょっと早目に着いたため、ミーナさんとハンナさんが、忙しく動きまわっている。


「大丈夫です。少し早く来過ぎただけですから」


俺は、ミミのお人形さんごっこにつき合いながら言った。


「あ~、忘れてた!」


突然、ミミが声を上げた。


「どうした?なにを忘れたのじゃ?」


ごっこにつき合っていた、ハサンさんが尋ねる。


「今日、お風「おいミミ!」おごごご・・」


『ミミ、それはナイショだろ?!』


ミミが口を滑らせそうになるのを、俺は慌ててその口を塞いで阻止して、ヒソヒソ声で注意する。


「あ、そうだった!」


「二人ともどうしたのじゃ?」


「いえ、なんでもありません!な~ミミ?!」


ハサンさんの怪訝な顔に、俺は笑顔をひきつらせて答える。


「うん!なんでもない!ナイショ」


「ナイショ?」


『うわぁ、ばか!』


「あははハハ、違います!いっしょです、いっしょ」


「ん?いっしょ??」


「ええ、そうです。ミミちゃんもうすぐご飯出来るみたいだから、()()()()にお片付けしようか?」


「うん、いっしょにお片付けするー!」


「おおそうじゃの、いっしょにお片付けするかの」


良かった、少々強引だけど、なんとか誤魔化せたか・・。



「そういえば最近、ミミが毎日マモルさんのところに遊びに行っているみたいだけど、ご迷惑おかけしてごめんなさいね」


夕飯を食べながら、ミーナさんが思いついたように言ってきた。


「迷惑なんて、全然大丈夫ですよ」


「ミミ、迷惑じゃないもん」


「でもねミミ、マモルさんだってゆっくりしたい時もあるだろうし・・」


ミーナさんが、申し訳なさそうにしている。


「だって、お家にお風呂ないんだモン!」


あちゃー、言っちゃった。


「おふろ?」


「うん、お風呂!」


「なあにそれ?」


あ~あ。


俺は思わず、目を右手で覆う。


「んとね、あったかいお行水!」


「あったかい・・?」


そこで、ミミを除くみんなの目線が、俺の方を向く。


ふう~・・・。


「お風呂というのはですね・・・」


俺は観念して、風呂の説明と、それを作って入っているのをミミに見つかって、それ以来ミミもすっかり気に入ってしまい、毎日入りに来ていたことを告白した。


「そうじゃったのか」


「道理で帰ってきた時に、なんだか顔が赤かったのね」


「ミミもやるわねえ」


ん?


ハンナさん、何言ってるのかな?


「ミミ、お行水なら、お家でお母さんと一緒に入りましょう?毎日伺っていたら、ご迷惑よ」


あれ?


一緒に入ったことは、スルーですか?


「お行水と違うもん!あったかいお水じゃないもん」


「そうなの?困ったわねえ」


「ねえ、おじいちゃん。お家にお風呂作って」


「そうじゃのう・・タライはなんとかなるが、それだけの量のお湯がのう・・」


「だめえ?」


困る方向が違っているいるような気がするんだけど・・。


「マモルおにいさんのところに行けないなら、お家にお風呂が欲しいの!」


「うーむ」


「困ったわねえ」


「どうでしょう、私が診療の帰りに寄って、お湯を溜めましょうか?」


思わず言ってしまった。


「いいの?!」


「良いのかの?」


「いいんですか?」


「まあまあ、ありがとうね」


あれ?




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