はじめての冒険者ギルド
「冒険者ギルド、ソトリア王国支部へようこそ!」
冒険者ギルドの中に入ると、受付のお姉さんが明るく挨拶してくれた。
さて。
今日は、人の姿のライラと、若者黒目黒髪魔王の姿の俺の2人で、初めて冒険者ギルドにやってきた!ちょっとワクワクしている。
俺が城に戻ってから半年が経った。
赤子だった俺の本体も、一歳を過ぎて、なんとか立って歩けるようになり、城での生活も慣れてきた。本体の幼児状態だったり、面倒になって若者魔王になったり、気分で変えつつ、この世界の地理や歴史を学んだりしている。
と言っても、まだ本来幼児の俺に正式な教育係はいなかったため、王城の本を読み漁ったり、教育係の候補だった者と面談したりしている段階だ。
数学などは問題なさそうだが、国語は必要そうだし、剣も真面目に習いたいなと思っている。カンストしたステータス任せではいざという時困りそうだしな。知識も技もあった方が良いだろう。
魔法については、サミュエルが候補に挙がったが、むしろ教わりたいと言われたため保留だ。
というか、ゲーム中に出てくる魔法についてはもう使えるので、それ以外の魔法が使えないか、とか実験したいんだけどな……まあ、それはおいおいだ。
生活としては、そんな感じの勉強をしつつ、ライラと遊んだりもして過ごしている。
ライラも竜としてはまだ子供で小さいので、俺の部屋で一緒に過ごしている。さすが王子の部屋らしく広いので助かった。
王とはあまり会っていない。
というか全然会っていないな。
俺に役目を与えるって話もあったが、まだ検討中らしい。
王城では受け入れてもらえたが、本来幼児な俺が若者の姿になったりすることは、まだ国民には伝わっていない。別に秘密にもしていないので、王城に働く者から話を聞いたりして、王都の情報通や地方領主なんかには伝わっているかもしれないが、噂話くらいの感じなので、半信半疑なんじゃないだろうか。
そんな中、そろそろ次の目標に取り掛かりたいと思ったのだ。
ライラの母である、銀竜の番の竜を探すこと。
ゲームのシナリオでは、銀竜の番が人間に……ソトリア王国に捕まったことが、ソトリア王国が魔の森に攻め入るキッカケになっている。
もう既にシナリオから逸脱してはいるが、不安要素はなくしておくに限る!
それに、ライラにとっても気になる事だろうからな。
そんなわけで、銀竜の番を探したいわけだが、今のところなんの情報も無い。
ライラに聞いても、知っているのは人間と共に魔の森を出て行ったという事だけだ。
もう少し情報が欲しい。
王城でそれとなく聞いて回ってみたものの、これといって情報はなかった。
そこで、冒険者ギルドの出番だ。
冒険者ギルドは各国にまたがる広いネットワークがある。他国の情報、さらに竜の情報もたくさん持っているだろう。
ギルドに依頼を出して、銀竜の番の情報を求めることもできるが、依頼を出してしまうと各国のギルドに、人間と共にいる竜がいるという話が広まってしまう。
竜は倒せば良い素材にもなるため、下手に竜……とくにはぐれ竜や単独行動をとる竜の情報を広めることは避けたい。
そのせいでライラの母竜が狙われてしまっては困る。というわけで、依頼としてではなく、各地のギルドを回りつつ、情報を集めて、直接自分達で探す予定だ。
その方が楽しそうだから、という理由ではない……!いや、その理由も少しあるけど……
ゲームシナリオがどこまで通用するかはわからないが、魔の森がソトリア王国に侵攻されたのは何年も後だ。なりふり構わず探す、というタイミングではない、はずだ。
もうシナリオ崩壊してる気もするから、確信は持てないんだけどな……
そんなわけで、今日は、冒険者ギルドに登録と、情報収集に来たのである。
ちなみに、今の俺は本体の姿を若者魔王に変えたバージョンだが、城には一応、3人目のパーティーメンバーとして出した若者魔王モデルを置いてきてある。惰眠を貪っているように見えるかもしれない。座標もわかっているから直接移動もできるが、ずっと留守なのも何かなーと思って。
さて、冒険者ギルドだ!
受付のお姉さんは笑顔で迎えてくれているが、何だか周囲の視線が痛いな。
ギルドの一階には椅子や机も置いてあり、ちょっとした打ち合わせや待ち合わせも出来るようだ。
そこにいた、冒険者らしき男たちの視線が痛い。
だいたい、冒険者というのは男の方が多く、女性は魔法使いや薬師、まれに戦士として存在するはず……だった。ゲームの中では。
ただ、この場にいるのは職員以外はほとんど男かな。冒険者らしく、体格のいいやつが多い。
「見ない顔だな」
「依頼人か?」
「あの女の子可愛いな……くそ、イケメン滅びろ」
「うわ、本当だ、あんなに可愛い女見たことねぇよ!滅びろ!」
小声なのか俺に聞こえるようになのか、声が聞こえてくる。
確かにライラは可愛い。
人間ライラは、ライラが日々研究を重ねているらしく、どんどん微調整されてもう人外の可愛さだ。ライラいわく、俺に気に入ってもらいたいらしく、少し変えては俺の意見を取り入れていくため、俺の理想の見た目になっていると言っても過言ではない。いや、最近もう理想を超えて可愛い。もちろん竜の姿でも大切に感じる気持ちは変わらないのだが。
ライラは「人間の姿ははいくらでも変えられるし、私にはイマイチ美醜がわからないから、ルカの好きな形にするんだ〜」とか言っていた。恐ろしい子!
それはさておき、俺とライラは受付の前に立つ。
「初めてなんだけど、冒険者登録をしたい。俺と彼女の2人とも頼む」
「えっ、依頼じゃなくて登録ですか?そちらの女の子も、冒険者になるんですか?」
「そうだよ、私の分も登録してね」
「す、すみません、お2人がとてもお美しいので、ちょっとびっくりしてしまって……わかりました、では、こちらに名前を書いてください。それから、いくつか質問しますので、答えてくださいね」
「おい、冒険者登録するようだぜ」
「あの女の子もかよ!あんな可愛いのに危ないだろ!傷でもついたらどうすんだよ!」
「意外と強いとか、魔法使いとか?それ最高じゃねえ?」
「あとで声かけてみようぜ」
「イケメン爆発しろ」
なんかボソボソ聞こえてきて気まずいなぁ……
「ルカさんとライラさんですね、種族は人間でよろしいですか?男性と女性ですよね?」
「ああ」
「いーよ!」
ライラも人間として登録することにしている。
竜が冒険者登録なんて聞いたことないからな……
「では、戦闘タイプはどうしますか?任意ですが、教えておいていただけると、大人数で受ける依頼の時に参考にできて助かるのですが」
「戦闘タイプか……魔法使い……かな……?」
「私も魔法使いかなぁ」
魔法使いの2人組って謎のパーティだな、思えば。
「男も魔法使いかよ、どうりでヒョロい体してやがる」
「そうか?意外と鍛えてそうだけど」
「最高に可愛い魔法使いの女の子とかマジ最高だな!あとで絶対誘おうぜ!」
「男はいらねーな、イケメンムカつくし」
「まさか魔法使い2人だけのパーティって事はないだろ!この後別のパーティ探すんじゃねえの」
「1パーティに魔法使い2人ってのもバランス悪いしな」
外野の声が微妙だなぁ……あとで揉めないと良いんだけど。
「お2人とも魔法使いですね、素晴らしいです!あの、魔法使いの方は少ないので、ぜひ活躍していただきたいんです。このあとお時間があれば、魔力検査とランクアップ試験を受けて行かれませんか?その結果を受けて、適切なランクに設定させていただきますので!」
「時間は大丈夫だけど、ランクの説明してもらえるかな?」
「あっ、はい、すみません、もちろんです。ではランクについて説明しますね!」
テンプレタグが必要だろうか……




