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心の中ではもちろん悪態をついているが、これがいつものパターンだ。

確かに顔は綺麗だとは思うが中身が腐っているのだろう。

ローズマリーは外から見ると美しいが、中身が虫食いになってボロボロな木を思い出していた。


『ローズマリー、お前は俺の特別な顔を知っている唯一の奴だな』


と、言っていたがローズマリーにとってはパサパサなクッキーがもらえればそれでよかった。

そもそもローズマリーは王妃になりたいとは思っていない。

むしろこんなのと結婚するくらいならミシュリーヌに代わってほしい。


(やる気のある方が王妃になったほうがいいと思うのですが……)


教会の人たちもローズマリーを道具としか思っていないのだ。

普通の食事をもらえるので黙って従ってはいるが、正直十年間不服ではある。

婚約者になったとしても大聖堂で魔法樹を癒す生活はまったく変わらない。

それに加えて王妃教育が増えたため、デザートをもう一つ追加してもらう交渉をしたらあっさり了承された。


(もしかして頼めばもう一つデザートを増やしてくれるのでしょうか? いえいえ、欲張りはいけません)


二年間で王妃教育を淡々とこなしたローズマリー。

モチベーションは二つになったデザートである。


(デザートが二つ……! なんて背徳的なのでしょうかっ)


ローズマリーは王妃教育や聖女の仕事をこなしていたのだが、ここ一カ月前から魔法樹の様子がおかしくなっていた。


その異変を感じとったローズマリーがバルガルド国王に報告しようとした時だった。

タイミング悪く、バルガルド国王は公務に出かけてしまい一カ月は帰らないという。

ローズマリーはバルガルド国王に手紙を書いて届けてもらうことにした。


(これで魔法樹は守れるのでしょうか。早く帰ってきてほしいです)


ローズマリーは魔法樹のことが大好きだった。

だが、ローズマリーの嫌な予感は日に日に強くなるばかり。

魔法樹は急速に力を失いつつあるようだ。

このまま魔法樹が枯れてしまえば、魔法の恩恵が受けられなくなってしまう。


ローズマリーは魔法樹に負担がかかっているからと魔法を使うのを抑えた方がいいのではと、クリストフにそのことを訴えかけるもまったく相手にしてもらえない。



「ハッ……聖女であるミシュリーヌのオマケ程度の力しかないのに何を言っているんだ」


「ですが魔法樹が……」


「昨日、パーティーでミシュリーヌに魔法樹のことを聞いたが、問題ないと言っていたぞ?」


「…………!」 



パーティーやお茶会と忙しくしているミシュリーヌが魔法樹の何を知っているというのだろうか。

しかしローズマリーは口をつぐむしかない。

ローズマリーの言葉はバルガルド王国の貴族たちには届かない。

ここにいることが急に虚しく感じてしまう。


(魔法樹とどこかに行けたらいいのにと思ってしまいますね)


ローズマリーは虚無感に苛まれていた。

そしてローズマリーの予想通り、一週間後には魔法が使えないという貴族たちが現れ始める。

ミシュリーヌが貴族たちから責められたようで、魔法樹がある大聖堂へと顔を真っ赤にして飛び込んできた。



「ちょっとローズマリー……! ちゃんと魔法樹を癒しなさいよっ。魔法が使えなくなっているなんて一体どうなっているの!?」


「わたしにはわかりません」


「わたくしがお茶会に行っているまでにどうにかしておきなさいよっ! わかったわね!?」


「…………」



魔法樹は永遠にあるわけではない。

ここでは魔法樹を癒せる聖女がいたとしても意味がない。

それよりも根本的な問題のような気がしていた。


その次の日、魔法樹にローズマリーの力がまったく届かなかった。

こんな感覚は初めてだったし、魔法樹もこれ以上は魔力はいらないと拒絶しているようだ。

もうすぐ魔法樹が枯れてしまう、直感的にそう思った。


一向によくなる気配もなく、バルガルド国王からの手紙の返信もない。

ミシュリーヌには『ちゃんとやりなさいよ!』と、怒鳴られてしまう。

教会の人たちにも魔法樹をどうにかしないかぎり、食事を与えないと言われてしまう。

ローズマリーはあまりにも衝撃を受けすぎて言葉がでなかった。


(食事……もらえませんでした。信じられません!)


大司教たちは自分たちの立場の心配ばかり。

魔法樹がなくなれば今まで積み上げた権力がなくなってしまう、そう考えたのだろう。

ローズマリーを苦しめたとしても魔法樹はよくならない。

それよりも魔法を使うのをやめてもらうように訴えかけるも、まったく聞く耳を持ってはくれない。


「魔法樹がなくなれば我々の発言権が! 折角ルレシティ公爵を出し抜けたというのに……!」

「このままでは我々の努力がすべて水の泡に……っ」

「なんとか保たせなければ……次の魔法樹はないのか!?」


ローズマリーは貴族たちが魔法が使えるようになるまで大聖堂から出さないと閉じ込められてしまう。

空腹と怒りで頭がどうにかなってしまいそうになっていた。

こんなことをされても怒りしか湧いてこない。恨みは募るだけだ。

むしろ彼らに感じるのは激しい怒りだ。


(お腹が空きました……どうしてこんなことをするんでしょうか。わたしを苦しめたとしても魔法樹は元気になりません)



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― 新着の感想 ―
いつも素敵なお話をありがとうございます。 前の方にあるパサパサクッキーの後のこの部分 > そもそもローズマリーは王妃になりたいとはおもっ ですが文章が切れてしまっているようです。
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