おんなのこ、百年廻る
少女百年
少女百年とは少女が百年走り続けなければいけないと思い込む強迫概念。発生原因はよくわかっていないがある少女は発生以前に「なんだーなんなんだー」とよくいっていたようである。
はっ、はっ、はっ、はっ…。なんでそんなに走り続けるのだろう。いつまでもいつまでも後ろなんてしらないかのように。この黒く虚無に同じ模様が続く果てなきもの。道たり得ないものを延々と。腕を振り足を踏み出し目は澄み切ってまえを。ずっとずっとまえへ。息を切らしながらまえへ。とにかく是非がにもまえへ。ただそれだけなのか。わからない。ただ走っている。ずーと。おんなのこは走っている。
止めようか。わたしは足をだす。こけない。あたらない。よけていない。どうやら走るしかみちがないようだ。勝手にやってなさい。
おんなのこは走っている、延々と。その姿、空間をみているとわたしはそこに時計をみる。時計は動き続ける。コク、コクッっと。12から12。どれだけ時が廻ろうが時計の廻りは永遠とおなじ。12から12。しっている世界はそれだけ。それをそれだけということも知らず回り続ける。自らの刻がくるまでだ。
わたしはおんなのこの空間があまりにも連続的でときにアニメーション、コマで捉えてしまう。おんなのこはとまっている。走っているのに。とまって、とまって、とまって。連続する。おんなのこは連続して。すすむ、すすむ、すすむ。一コマ一コマ区切られて。まるで紙芝居的な。後ろの背景、虚無的な黒の廊下、洋館的というのが適当。それを一コマずつおんなのこが連続する。はしれ、はしれ、まえへ、まえへ。ずっとずっと延々に。球状にアニメーションは続いてていて設計的におんなのこはただ繰り返すだけ。それもリピートですらない。ただただはしる。まえへまえへ。
なんだーなんなんだー。仁王立ち、頭を抱えている。目は見開き、どこみてんの? みんなさーびっくり。早弁からあげ下おちてるし。
みんなさジャックおきてもきづかない的な、そりゃあそうよねいきなりなんだーなんなんだーって叫ばれちゃ。おかしいでしょ授業中なんだーなんなんだーって。笑える。そのときはポカーンだったけど。あはは…。
いつになったら時は動くんだろうね。もう止まったままかも。だってふっとんじゃったもん。忘れてあたりまえ、でしょ?
だ液がぽとり。みんなの口からさ。なにもさかわんなくても口あけてるから。ぽとりっ。おとがなるとそっち、みちゃうから。みんなみた、目だけで。自分のだ液。それで次、おもいだしたの。
「…あー、うん。まーなんだね。すわってみたらどうだね。うん、あーそう。すわってみたら、どうだ。それがいい。いちばんいい」
あのこたったまま。おなじまま。みんなもみたまま。次だけど。
あのこかたまっててさ、どうなるかなっておもってるの。だれもなにもいわずにどうするかなって。
でもなにもしないんだろうなってわたし、おもってた。
みんなもかな。だってなにかするなんて信じられない。あのこがするわけない。
あのこはなにもしなかった。手をおろしぶらーん、ぶらーん。ぶらぶrがゆるくなるとゆっくり着席。
ちょっと時間があってみんな次になっていった。わたしも次に。
あのこは…。なにもしなかった。
あのこには友達がいて。よく仲良くしゃべっていて。グループ。3人ぐらい? まあ話しかけるよね。笑いながら。なに、さっきの。あんたもやるわねって。でもあのこはなにもしない。目は見開いたまま、ずっとちょっと高いとこ。首少し上げて。
みんなさ注目しててさー、でもさみんなそれぞれの話で笑いあっていて。みんな見ていた、聞いていた。あのこを。
でもあのこなにもしなかった。あのこたちも、みんなも。わたしも。
みんな、はははー。笑ってたり相槌うったり読書したり寝てたり勉強していたりした。あのこはなにもしなかった。
時々。2週間ぐらいそういうの、続いてさー。それぐらいであのこ、いなくなっちゃった。
騒ぎにはなったよ。あのこはどこへってね。案内もでたしね。探してますってね。でも、みんなそれだけで。わたしたちは次へ。あのこはどこへ。
百年間走り続けるとなにかが起こる。ようはその程度。強度の薄い迷信。実践しようともそこに残るは目的と手段をはき違えたとんちんかんだけ。なんというあほうなのだ。
だからといってそんなことぶつけたって百年走るんだようよ少女さんは。ほんとうにあほだ。あほうすぎる。まったくばかばかばかのおおばか者。はなしぐらいきけっていうんだい。このあほうめ。こんちくしょう。
ネットとかでさあどうでもいいけどみちゃうじゃん。情報って。
これはあほでこれはばかだ。あほのぼけのまぬけだなって。
おもしろいし時間つぶし? まあそんなもん。
でもそれはほんのすこし身近に感じられるからいいのであって、ふもとまでせまってこられるとかわるんだよね。迷惑だから。それ。
おんなのこがいなくなるんだよね。ひんぱんに。最近のはなし? わかんないけど。よくおこることなんだそういうはなし。でもこんかいのはなしはまた別の話で。うん自分がさ、しってるはなしでは直前にさ奇怪な行動をとるんだっていなくなるまえに。あるケースではこういうの。なんだーなんなんだーって。叫んだって。授業中に。
聞くところによるとねそんなこじゃなかったって。授業中、急に叫んだりするようなこじゃなかったって。それなのに叫んだ。それだけではない。おかしくなった。目を見開き仁王立ち。そっからいっこも動かない。まるでべつのところにとんでいったみたいに。
それなのにそのこ一応授業とかには参加していたらしんだけどいつまでも目を見開いて友達とかが話しかけてもなんの反応もなくただ首がすこし上に向いた状態で居続けたんだって。
そういううのがさ二週間ぐらい続いて急にドロン。表から消えたってわけ。
でもさあそのこ、そのこだけじゃない色々ケースはあるんだけど、そういう奇怪な行為を急におこなうようになったおんなのこたちはその後どうなったんだとおもう? 気になる? なるよね? なるなるだよね。じぶんもそうなった。だからしらべてみたんだ。いろいろなところあたってね。
そうするとおもしろいもんとあったんだ。なにかって? 拍子抜けすんなよ。そういううさあ突然いなくなったおんなのこは走り続けるんだって。百年間。ずっと。ずーと走り続けるんだって。あっほらだとおもってるでしょ。無理もない。ほんとは海に売られたとか猟奇的なものにまきこまれたとか。そういうのが妥当でしょって。
信じてくれとはいわない。あまりにもほらってるからね。でもはなしはきいておいてくれよ。そうでもなくちゃおんなのこは報われないぜ。すくなくとも奇怪な行動をとるその瞬間まではいまはなしているおれとおなじだったんだからな。
失踪した女の子は百年間走り続けている。そんなほら話、突拍子もないはなしもまったく暗中に籠ってしまったおんなのことをおもえば光である。そういうものは幽かに幽かに伝播する。あのこはしっているんだって、いまも。それはしんどー、って。どんどん広まっていってみんなどうでもいいけど、すこし興味を引くにおいだけはあって。時々話題にのぼって話すんだそれを。でそれがにおいだけまたひろがっていってあのこたちのことなんかそこにはなくて。どこ走っているんだろうなー。宇宙船? とか当たり前。
しまいにそれからもはなしがつくられて。どんどん続いて。おんなのこはいなくなった。
次は詰め合わせ




