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「ったく。ホント、若いっていいねぇ」
発言がどうもおばさんくさい。あんたも今なら外見だけは十分若いでしょうに。だけどどこも嫌味ったらしくない。これは、魔法が戻りつつあるのか?
「な、なんだよ。ただの親友だって言ってんだろ?」
「はいはい、そういう事にしておくよ。おら、今日の晩飯」
「おぉー! サンキュ! 今日は肉団子か! いっただっきまーす」
「くらえ、必殺、デス・ソース」
「ふごっ」
肉団子を一口噛んだ瞬間、あり得ないほどの辛さが口いっぱいに広がる。どうやら肉団子の中に、入れれるだけの激辛ソースを入れて調理したようだ。
「ぎゃははははは! ざまぁ!」
「お前マジでブチ殺すぞ!」
「あんっ、やめっ、あはははははは! やだ! やめて! くすぐらないで!」
腹を抱えて笑う姿が、どうにも年上には見えなかった。というよりも、妹が出来たような感覚さえ抱く。
「ごめん! ごめんってば! んっ……! ちょっと、もう!」
そんな時、コツン、コツンと、いつもの音が響いてくる。今日で十三日目。今までの笑い顔はどこへ消え失せたのだろう。彼女は、血相を変えて階段方面のガラス戸を少しだけ開き、階段を覗いた。毎回別の場所を撮って、階段を取り損ねている。今回こそは。
「……何か、いたか?」
「いや、いない……」
今までの空気が一気に台無しだ。コツンと音を立てているのは、一体何なのだろう。
美香の様子を見に、晶がこのアパートに来た初日、検証してくれた事を思い出す。こんな音ではなく、擬音で表すなら『カン』だった。つまりここのアパートではない足音が、このアパートに響いている事になる。
語弊があるといけないので言い換えると、二○一号室だけに響いている足音だ。もう、何者かの足音がすぐ隣まで来ている。
「美香、足音、聞こえたか?」
『えっ? 足音? 優太、今私の部屋の前にいるの?』
「あ、いや。聞こえてないんだったら大丈夫だ。問題ない」
電話で美香に聞いてもこの通り。何も聞いていないらしい。
「晶、足音、聞こえたか?」
『優太さんと誰かさんがイチャイチャしてる音なら聞きましたけど……?』
うぉ、何か知らんが、イチャイチャ……じゃない、めちゃくちゃ殺気立っていらっしゃる。そのまま電話は切れ、程なくして単車の音が聞こえてきた。またスピードに魅せられにいくのだろうか。ウサ晴らし……?
「優太が晶の電話を待ち続けて待ち続けて待ち惚けて、ダメ人間になってたから喝を入れてやっただけなのにな」




