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そして、設置していたカメラは、信じがたいものを映していた。突然起きた優太が、しばらくクローゼットの前に立っていたのだ。
「これ、覚えはあるか?」
「い、いや、全然……」
ゾクリと鳥肌が立ってしまう。
クローゼットを開き、下の段から大きな袋を取り出して、大切そうに開けていた。頭を持って、いつもの場所へ。腕も、元あった場所に置いている。
「……これに、覚えは……?」
「あ、あるわけねーだろ……」
再び吐き気が催してきた。……じゃあ何か。勝手に移動したわけじゃなく、俺が置いたのか、俺が。
特に何事もなかったかのように、画面の優太は床に就いている。それからは、特に異変らしい異変はなかった。ただ単に寝返りで寝苦しそうにしているだけで。
……呪われている。この部屋は、呪われている。どおりで起きた瞬間に吐いたわけだ。手に、ゲル状の腐肉がくっついたまま寝ていたのだから。
重苦しい息を吐いた直後、心臓に追い打ちをかけるかの如く着信音が響いた。画面を見ると、どうやら晶かららしい。呼吸を整え、落ち着かせてから受話ボタンを押す。
「どしたー?」
『あっ、優太さんですか? 元気そうで、良かったです。ちょっと心配事があって』
元気じゃない。全然元気じゃないが、とりあえず元気な演技は続けないと。
こんな時間に単車の音が大地を響かせている。晶の単車一台だけらしい。
「ま、まぁな。これくらい、俺にとっちゃ楽勝楽勝……で、何かあったのか?」
『はい。忠告し忘れたのですが……お部屋のお札、一枚も剥がしてないですよね?』
「う、うん」
全部剥がしちゃった。
『どうやら、取り越し苦労だったみたいで良かったです。一枚でも剥がしたら大変な事になってたと思うんですよ』
大変な事になってますよ、すでに。
『お昼の事、ごめんなさい。ちょっと、取り乱しちゃって。もし何かお力になれる事があったら、是非言ってくださいね!』
「あぁ、ありがとう」
通話を終了して、部屋を見渡す。お札なんてもう一枚も残っていない。気味が悪くて近所からクレームが来るんじゃないかと思い、一枚一枚丁寧に指で千切ったくらいだ。効果は期待出来ないだろう。
「大丈夫か、優太」
「死にそう。死ぬかも。いや、死ぬね」
その日から、ちなっちゃんと優太の共同生活が始まった。
彼女は元から愛煙家という事もあり、どう見ても未成年な彼女のたばこを買いに行くのは優太の仕事。朝昼晩のごはんを作るのは、彼女の仕事になった。
二人で住み始めてから一週間が過ぎ、十日が過ぎ。今では、優太の楽しみといえば晶からの電話を待つ事だけになっていた。明日でこの部屋に住み始めてだいたい二週間目を迎える。




