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数十分にも及ぶ事情聴取は、単なる勘違いという事で終わった。警察が帰っていく。
「勘違い、で済んで助かったな、優太くん」
「え、どうしてですか」
「嘘の報告をしていたら、優太くんは逮捕されていた」
「そ、そうなんですか!?」
「あぁ。あらかじめ晶ちゃんが捜索願を警察に届け出ていたから、おそらくは勘違いという形になったんだろう」
この時ばかりは晶に感謝した。
同じ釜の飯を食う、という言葉がある。それはどんなに飯が少なかろうと、きっちり分けて食べるという、仲間を意識した意味だ。飯を分けず、一人だけ腹いっぱいになったとしても、それはみんなから仲間とは認めてもらえず後味の悪いものになってしまう。みんなで分けて食べる。これが、ごはん本来のおいしさの秘訣だ。
幼い頃に読んだ三銃士。『みんなは一人のために。一人はみんなのために』……ダルタニャンのセリフは、彼の心に残ったまま色褪せる事はない。どちらかといえば、晶は晶で自分勝手に生きてきた気もする。
晶の行動は、偶然なのかもしれない。だがしかし結果的には、優太は助けられたようなものだ。晶が危ない目に遭ったら助けてやろう。そう心に誓う優太だった。
「お父さん、どこ行ったんだろうね……?」
涙を隠せない晶の隣で、宥めている美香が心配そうに頭を抱いている。そんな彼女を、晶は突き飛ばした。
「全部……美香のせいなのですよ」
狛犬のようにキツく目を尖らせ、涙声で美香を見上げる。
「えっ……」
「こんなアパート、早くに解約していればこんな事にはならなかった! ……友達は便利屋じゃありません」
「お、おい、晶!」
「止めないでください! ……友達ごっこも、これで終わりなのですよ、美香。私は浄化が完了次第、福岡に帰ります。もう二度と連絡入れないでください」
鼻をすすり、とめどなく溢れてくる涙を止める術を知らないらしい。
家族を失ったかもしれないと思うと、他人事のようには優太も思えなかった。晶の立場になってみると、痛いほど気持ちが分かる。彼の成長を誰よりも楽しみにしていた母も、高校の卒業式でビデオカメラを向ける余裕すらなく、遠い世界へと逝ってしまった。
しかし……
「晶、言い過ぎなんじゃないのか?」




