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フーガック生物図鑑  作者: 遠藤迄太郎


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第四話

 ドラゴンパンチ。

バカ「おうクソチビ!クソチビがクソチビ産んだんか?」



 バカは次の瞬間、ドラゴンパンチをマトモに食らい、木造家屋の床に突き刺さった。

 まるで漫画の様に。



 ヨシミはドスの効いた声で静かに言う。

「日本語だっただけまだマシだけど二度と言うんじゃないわよ。」



 バカは沈黙している。絶命した訳でも気絶したわけでもないが、しゃべれない様だ。

 車に不意打ちではねられた直後とかってそうなるよな。



挿絵(By みてみん)



 何も無かったかのようにタチアナは説明を始めた。


 抱いている赤子は黄色人種の様な肌色であり、〈ハイエルフ〉とも〈オークリン〉とも違う。


『今日産まれた〈ディブリン〉の子供だって。

 病気を克服した子なのか、病気に感染してない子なのかわからないから〈アルケマリア〉の所で預かってくれって言ってたよ。

 〈オークリン〉の所に連れて行くならよく洗ってくれって言われたから入浴させといた。』



マジ『あぁ、〈ディブリン〉なのかその子。本来の肌はそんな色なんだね。

 〈エルフ〉みたい。ネムっぽい。』


タチアナ『仲良しのネムちゃんは〈エルフ〉じゃなくて〈ディブリン〉だよ。

 あの子は感染症克服した〈ディブリン〉。』


マジ『え?あの子〈ディブリン〉なの?知らんかった。ならあのチビッ子連れ回しても問題ないのか。

 〈スラング・サザン〉の外を見たいっていっつも言ってんだよ。』


タチアナ『問題ないと思うよ。』



エィシィ『ではこの子、お預かりしますよ。とはいってもこういう肌の色の子の肌が後になって変化した試しはありませんが。

 おそらくこの肌色で産まれた子は病を克服して産まれて来るのでしょう。』



ディリ『彼等は言い伝えを忠実に守っているのでしょうね。多少臆病すぎる気もしますが。

 我ら〈オークリン〉も、もう少し病に強ければ彼等と話も出来るのでしょうが。正直、〈ディブリン〉の持つ病のせいで多くの先人が病死した、と文献にはありますが、感情としては危険視できんのです。

 取り引きの際の彼等はとても清潔で誠実で善良ですので。理屈は理解出来ているのですが。』



 重そうな話が最近多いなめんどくせぇ。

 因みに〈エルフ〉と〈ハイエルフ〉は全くの別種であり、ヒトと雑菌よりも更に遠い。



 〈ハイエルフ〉は、複真核生物ドメイン・複真核動物界・複真核左右対称動物亜界・上下口動物枝・頭背尾骨動物門・有顎動物綱・無角関節動物目・長指動物科・複真核霊長属・〈ハイエルフ〉となる。


 〈エルフ〉の場合は、中央核生物ドメイン・中央核動物界・中央核左右相称動物亜界・中央核中枢神経動物門・原初島類似哺乳上綱・原初島類似哺乳綱・ニゲン目・ニゲン科・ニゲン属・エルフ亜属・〈エルフ〉である。



 あくまでも暫定的な分類からのものではあるが、ドメインから違う。細胞の構造から違うのだ。


 共通点を述べれば、ミトコンドリアの様な細胞内細胞の様なものがあり、謂わばエンジンはこれであろう事。


 地球でも宇宙人なんてものがいた場合このくらい違うのだろうか。






 翌日早朝、〈聖女〉二人と〈ドラゴン〉二頭は〈シリコニア〉へと向かった。


 今のうちに〈書庫〉を開いておくという話だ。



 同時刻、バカは〈オークリン〉六名〈アルケマリア〉三名を伴い、〈ダンジョン〉へと出発した。


 中継基地を作りながら進む様だ。



 マジは海沿いで〈オークリン〉達とずっとなんかやってる。物欲が見える。



 リケイは自分でケガをさせた〈ゴリトカゲ〉を治療して経過観察をしていた。


 〈ゴリトカゲ〉は大人しく従っている。胸元を固定するコルセットを外そうとする様子も無い。無いと痛むのだろうか。


 リケイは治療開始時、麻痺弛緩剤らしきものを使用し、デブリードマンも理解して実行している様だった。


 このヒト元医者とかなんか?必ず煮沸消毒した器具使ってるし、術後感染対策の薬品も走って取りに行ってたし。


 治療開始から七日程が経過しただろうか。〈ゴリトカゲ〉は四つ足で歩ける程になっていた。



 〈ゴリトカゲ〉はリケイに飼い犬の様に懐いている様に見える。






 バカは〈ダンジョン〉探索を進めていた。

「ここもか。これで〈卵宮〉は六つ目。これも生殖器官は一対のみ。」


エィシィ『おかしな状況が続いております。〈ダンジョン〉内部に幼体しか居らぬ様です。』


バカ『そうだよな。明らかにおかしい。成体が一体も居ない。

 水没地点までの探索は終わったんだよな?』


エィシィ『はい完了しております。ですが・・・。』


バカ『どうした?』


エィシィ『はい、水没地点十二カ所全てに〈エイセミィア〉がおり近づけません。

 〈迷宮クローン〉でもない様です。しかも、塩水です。』


バカ『あぁ、そこって海抜零付近なのか。

 〈エイセミィア(ミズヘビ)〉ってたまに陸に上がってくるやつだよな。

 成体全部ソイツに喰われたのか?』


エィシィ『普通に考えればそうですが。違和感があります。逃げた個体も死体も発見出来ません。』


バカ『確かに。

 あぁそうだ、シリコアの〈ルリンクドーラ〉の〈書庫〉にそろそろ入れそうなんだよ。文献漁ってみるよ。』


エィシィ『そういえば〈聖女〉様がお戻りになられたのでしたね。

 見張りはお任せ下さい。』


バカ『あぁ頼む。五日後に戻る。』



 バカは生臭えマジと合流し、〈シリコニア〉へと出発した。












?「〈リィンリア〉へと赴きなさい。

 アナタの〈キリウ〉はそこにある。

 アナタの〈フリア〉はそこにある。

 アナタは〈リィンリア〉から産まれるはずだった。でも〈リィンリア〉ではアナタの体は作れなかった。」



タチアナ(声が出ない。アンタ誰?私厨二病じゃないんですけど。

 私さっきまで〈ルリンクドーラ〉にいたよね?)



?「〈ナキ〉の復活が近い。〈リィンリア〉でまた会いましょう。」






「っていう夢をみたんだけどなんか知ってる?〈リィンリア〉も〈キリウ〉も〈フリア〉も〈ナキ〉も聞いた事無いんだけど。」



 妙な夢を見たらしいタチアナが皆に、というか主にマリに意見を求めていた。


 バカ、マジ、トウジ、マリ、ニャフンは食事を取っていた。



バカ「なんだ厨二病か?」


タチアナ「それもう夢の中で言った。いや、言ってないか。しゃべれんかった。」


 マリは難しい面持ちで応える。

「〈リィンリア〉は〈原初の樹〉の名前だよ。ここから西の〈イーズ湖〉にある孤島〈ゴクラ島〉。

 〈オーガ〉の里だね。」


バカ「〈オーガ〉!行こうぜ!面白そうだ!元々西には向かう予定だしな!」


マリ「〈センベ生態系〉エリアの〈シュスカ〉の北側。」


トウジ「あぁ、体感一万キロ位あるね。直線距離で。」


バカ「遠いな!日本からアフリカ届くじゃねぇか!ってか行ったことあんのか?」


トウジ「いや、世界地図からの体感っすね。」


バカ「なにそれ見たい超見たい見せろくださいお願いしますなんでもします。」


トウジ「書庫のナナメってるガラス張りテーブルみたいなやつがそれっすね。

 一緒に作りかけの地球儀みたいなの置いてあるんですぐ分かると思うっすよ。」


マリ「話戻していい?結構大事。私もタチアナと同じ夢見てるんだよ。」


バカ「え?オマエも厨二病なの?」


マリ「オっちゃん邪魔しないで。

 私の場合は〈シリコアの地下に行け。アナタの〈キリウ〉はそこにある〉だった。

 夢に出てきたのは多分、大人の〈グレムリン〉だと思う。

 しかも夢っていうより、映像?記憶?みたいな。」


タチアナ「そう!そんな感じ!」


マリ「それで〈キリウ〉はこれ。」



 マリは白い杖の様な槍の様な物を取り出した。

 金属の様にもガラスの様にも見える。先端は刃の様になっている。


 マリは両手で〈キリウ〉を構え、声を発する。


マリ「〈カイホウ〉」


 マリの〈カイホウ〉の声と共に〈キリウ〉の刃は空中放電を始めた。



マジ「おぉ!なにこれ?スタンガン?」


マリ「だよね。室内だとこんな感じ。

 今はコントロール出来る様になったんだけど、初めて試した時は空に向かって雷が上がったんだよ。

 それにたまたま気付いた〈ムナカタ〉さん、〈グランマリア二世〉さんが〈センシン〉さんを迎えによこしたんだよ。」


マジ「すげー、ファンタジー。もしかして〈ムナカタさん〉ってコトは、やっぱり〈グランマリア二世〉も日本人なの?」


マリ「そうだよ。リアルロリババアになるとは思ってなかったって言ってた。ただこの槍、ファンタジーじゃなくて機械っぽいんだよ。

 ほらココ。」



 〈キリウ〉の柄には〈カイホウ〉とカタカナの文字が光って浮かび上がっていた。



バカ「は?!液晶?!」


マリ「これこのまま口に出したら雷あがっちゃったんだよね。」


バカ「いよいよ〈猿のナントカ〉クセェな。」


マリ「タチアナの〈キリウ〉は探した方が良いと思う。

 〈ナキ〉は気になりすぎる。」


バカ「なんかやべぇのか?」


トウジ「マルキド歴紀元前の御伽噺なんですけど、〈原初の貝アルナキ〉っていうバケモノが北大陸を派手にぶっ壊したっていう話があるんすよ。

 なんか物証もあるらしくて。」


バカ「なにそれこわい。・・・ん?」


トウジ「気付きますよね。〈キリウ〉も見たし。ロボット的な何かかもしれないんですよ。

 そんで、マルキド歴90年代にフックセイマァ砂漠で

〈原初の蛇リヴァイスオーマ〉ってのを〈先人ハウルの一団〉が倒してるんですよ。」


バカ「なにそれ超楽しい。」


トウジ「そんでその〈リヴァイスオーマ〉からは遺伝子検出が出来なかったらしいっす。

 つまりバイオロボット的なやつかもって話。」


バカ「は?!遺伝子検出って?!〈ハウル〉ってそんな科学力持ってんの?!」


トウジ「詳しくはわかんないっすね。〈フレア〉って地名が出てくるだけで、位置がわかんねぇんすよ。

 書類だけなら書庫にあるっすよ。」


バカ「ちょっと籠ってくる。〈リィンリア〉には行こうぜ、時期は相談。」



 バカは急いで食事を終え、書庫へと向かった。



マジ「一度ちゃんと調べるか。食事終えたら俺も行ってくるよ。」


マリ「皆で行こう。本の位置とかわかんないでしょ?私も全部は把握出来てないけど。全部把握なんて多分不可能だけど。物量ヤバすぎなんよ。」


マジ「あぁなんか想像出来た。頼むよ。」



 本格的に書類の調査が開始される事となった。






 リケイとヨシミが〈シリコニア〉に戻って来た様だ。〈ゴリトカゲ〉を伴っている。

 〈ワリンバァン〉って〈原初の樹〉の匂いで酩酊しないのか?ほとんどの野生動物は酔ってしまうはずだが。


 酩酊しないのは〈グレムリン〉、〈ヘプバァン〉、〈ハイエルフ〉とその近縁種である〈アルヴ〉と〈オーガ〉、〈白竜〉と〈黒竜〉と〈フェンリル〉、その眷属。

 そして〈エルフ〉、〈ディブリン〉の肌色個体、〈迷宮クローン〉、あとは〈マセキ寄生体〉か。



ヨシミ「この子が〈迷宮クローン〉じゃないなんてよく気付いたわね。

 状況から考えれば間違いなく〈迷宮クローン〉なのに。」


リケイ「ワフ!(カン!)」


ヨシミ「・・・勘?かしら?」


リケイ(背骨に〈マセキ〉が寄生してるってのはあとで説明しないとな。今紙もペンも無いし。最初は本当に勘だったし。

 タチアナも詳しく見たいと言っていたしその時にでも。)


ヨシミ「それでその子どうするの?」


リケイ「ぅワフ!(飼う!)」


ヨシミ「・・・後でお手紙待ってるわ。全然わかんない。」






 本を漁るバカの元に皆が集まった。


 バカは叫ぶ。稀にみる焦り方だ。

「おい!何日経ってる?!〈ダンジョン〉の穴見つけてからだ!」


マジ「十日だな。どうした?」


バカ「これ見ろ!やべぇぞ!」


 現地語で書かれた本だった。著者は〈センカ〉、タイトルは〈メイキュウセッカクガイの生態〉。

 抜粋するとこうだ。


 【〈メイキュウセッカクガイ〉が広範囲に渡ると〈バケモノ〉共は〈部屋〉の天井に穴を掘る様になる。

 これにより〈メイキュウセッカクガイ〉の食事と〈バケモノ〉の増殖が効率化される。

 過去、〈原初の樹ナリア〉の〈メイキュウセッカクガイ〉はこれを放置され〈バケモノ〉が大発生、〈リィン〉の九割が死滅し、〈リィン〉の〈バケモノ〉も多数現れた。】




バカ「〈部屋〉は〈宮〉!〈子育て部屋〉は〈卵宮〉と〈子供部屋〉!〈バケモノ〉は〈迷宮クローン〉!あの穴は〈迷宮クローン〉が掘ってたんだ!」




 文は続く。


 【これが起こる為には〈バケモノ〉共が水棲生物を捕食する様になる事、つまり、〈バケモノ〉共が漁業を覚えてしまい、〈メイキュウセッカクガイ〉への養分供給が効率化される事が必要になる様だ。


 事前に起こる事がある。成体が海や水辺に集まり、新たに巨大な〈子育て部屋〉もその付近に作られる。


 その為、〈メイキュウセッカクガイ〉内部の大部分から成体が消える。


 この状態になって一月も経つと、かの〈子育て部屋〉に養分を集中させる為であろうか、他の〈子育て部屋〉の生殖器官は一種類を残して吸収されてしまう。


 結果、一種類のみの群れが小規模に溢れ出すといった事が確認される。


 卵生種はかなり育った状態で産み落とされる為、ある日突然の捕食被害が出てしまう。


 もしこれが確認されたなら避難を進めるべきである。


 〈リィン〉の手で止める事は出来ない。】





バカ「コレもう時間無ぇな。」





ヨシミ『風は東から西!風下から探せば〈聖女〉と〈竜〉なら発見出来るはずだ!〈スラング・サザン〉中央から海までを西端から東に向かって探すわよ!タチアナにはリケイさん!マリちゃんにはノボルちゃんとリュウ君が付きなさい!

 私は海岸線まで飛ぶ!』


リケイ(・・・)


トウジ「うす。」


マリ「それしかないか。」


バカ「大変だぞこれ。」


マジ「〈ハイエルフ〉で良かったわ。人間の身体じゃスタミナ持たないよ。」


 リケイは急ぎ書いたメモをタチアナに渡す。

「ヨシミさーん!リケイさんがー!海側は私達が行くって言ってるー!」


ヨシミ「(あぁそうか、元々の嗅覚が良いんだったわね。)わかった!任せる!私はその手前を行く!」




 行動は開始された。


〈聖女〉と〈真竜〉は〈メイキュウセッカクガイ〉の匂いに敏感である。その嗅覚を用いた風下からの約五十平方キロメートル程のローラー作戦である。


 〈アルビオン・シリコニア〉周辺から海までが主となる。



 海岸線をリケイ・タチアナ。


 その内側をヨシミ。


 その更に内側をトウジ。


 逆端をマリ・バカ・マジが捜索する。



バカ「あー!マジで気球とか欲しい!めんどくせぇ!マリ!どうだ?!」


マリ「近い穴は多分もっと北!トウジ君の担当エリアだと思う!よく見といてね!」


バカ「了解だ!」


 それはヨシミにも嗅ぎ取れていたし見えていた。

(トウジ君が戦ってるわね。相手は〈ディブリン〉の〈迷宮クローン〉。当たりか?)


 トウジは三十体程の〈ゴブリン〉を倒していた。


トウジ(近くに穴があるな。にしては、数が少なすぎる。)





 リケイに背負われて移動中のタチアナが叫んでいる。

「ねぇ!リケイさん!逆だよ!海!逆!どうしたの?!」


 リケイはある事を思い出し、気付き、〈シリコニア〉へと引き返していた。

(気付くべきだった!外をローラー作戦じゃダメだ!そっちは既に手遅れだ!確かにすでにある穴は塞がなきゃなんねえ!だが穴は新たに開くんだよ!あいつらは〈宮〉に穴を開けられるんだ!) 


 リケイは思い出していた。干潮の日にだけ〈シリコニア〉の壁の内側で、するわけのない潮の匂いがしていた事を。

 匂いに敏感なこの身体では少々不快な匂いであった事を。


(〈シリコニア〉の地下には多分海がある!干潮時〈ダンジョン〉内部をその海から煙突効果で匂いが上がってきてやがったんだ!)



 リケイは急ぎ〈シリコニア〉に戻り、信号弾を上げ、メモを書いてタチアナに渡した。


タチアナ「え?なに?住民を〈シリコア〉に登らせろ?え?ここなの?!」


 リケイは駆ける。〈ダンジョン〉の入り口に向かって。


 〈原初の樹シリコア〉の地下にももちろん〈ダンジョン〉は拡がっている。


 だが水没している三ヶ所、その手前の〈卵宮〉には意図的に〈ケッカ〉の野生個体が与えられ、生み出される〈ケッカ〉の〈迷宮クローン〉は食肉にされている。


 この方式が実行されてから〈ケッカ〉の〈迷宮クローン〉以外が出現した試しは無い。


 リケイは水没地点に急ぎ向かい侵入し確認した。


 居ると聞いていた魚が居なくなっていた。


 塩味である。海水だった。


 水位が上がった時、つまり満潮時、魚が跳ねて来ないようにする為の岩の蓋を閉じ、重りを乗せ、扉を補強し、次へと向かう。

 (あと二箇所。)







 信号弾を見て全員が帰還し、タチアナと合流した。


バカ「なんだどうした?!時間無ぇぞ!」


タチアナ「リケイさんが住民全員〈シリコア〉に登らせろって言ってる!多分ここに新たな穴が開くんだよ!」


マジ「あぁ、なるほど!やるよ!避難誘導!空飛べる二人は壁の外見張ってて!」


トウジ「了解っす!」


ヨシミ「了解よ!」






 三カ所の穴を塞ぎきったリケイが〈シリコニア〉の外に出た。


 匂いを確認する為である。



 〈原初の樹シリコア〉以外から流れる〈原初の樹〉の匂いをだ。



 音が響いた。



 遅れて匂いが流れる。



 〈シリコニア〉から北東に体感数百メートル程離れた場所にある崖が崩れた。



 地獄の蓋は開いた。



 歴史に刻まれる〈ゴブリン大侵攻〉が始まった。

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