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人類アンチ種族神  作者: 緑茶
人類アンチ種族神V
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人類アンチ種族神Ⅴ《ターニングポイント⑪_前半》

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

【用語】

エーテル:電子機器を狂わせる神の作り出した物質

防雷:日本の大型戦艦。エーテルに対抗し電子機器を取り外したた兵装

クシャルボコス:大国タラメアの最新鋭空母。両舷にミサイル発射口を持つ

ベルガン:神の作り出した眷属。誇り高く武闘派

サーチ:神の作り出した眷属。冷静で女性型、索敵型

ヴァロン:神の作り出した眷属。頭脳派。作戦の立案から部隊の配置までこなす。

ガーゴイル:神の作り出した眷属。魔物のような見た目。知能は低いが筋力は強く飛行もできる。

デスランド:神の住まう居城。お台場の上空に浮いている。

-----

リークと篠原の共闘作戦によって、デスランド周辺のUFBを一掃した戦艦「防雷」だったが、篠原はデスランドから次の部隊が現れると予測する。


その予測は的中した。


◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆


2時間前 デスランド大広間。


ベルガン、サーチ、ヴァロンが神と相談をしている。もちろん議題は「防雷」の対応である。


神は上機嫌だった。


「みたかヴァロン。特殊個体を投入しなくても一般兵だけでタラメアの陸軍は敗走。余裕じゃないか」


ヴァロンはため息交じりに応じる。


「神よ。必然の結果です。あまり遊び過ぎないよう。やりすぎると大種族神様の目に触れてしまいます」


"大種族神"その名を出されて神は気分を損ねる。


「大丈夫だ。ルールの範囲で痛めつけているだけさ。それより次は……ほら、タラメアと日本の海戦が始まりそうだぞ!」


防雷の姿を神の力で映し出す。


すぐにベルガンがくらいつく。


「これは大きい。全身鋼の船。私が沈めてきましょう!今沈めてきましょう!」


勢いよく飛び出そうとするベルガンをサーチが引き留めようとした。だがその行動よりも先に神の声が響く。


「駄目だ!ベルガン!お前は今から始まる人間同士の醜い戦いを見学しろ!俺の楽しみを理解しろ!」


一段と深いため息。ヴァロンだ。


「それが人間の種族神のお言葉ですか…。ですがベルガンやめておけ。あの船はお前とは相性が悪い」


神がその言葉にさらに重ねる。


「エーテルの範囲内で、一般兵で対応する。それが今回のルールだ。何度も言わせるな!」


相性が悪いと言われ感情的になるものの、神から制止され立ち尽くすベルガンにサーチが目で膝をつけと合図する。


渋々膝をつき、神が投影した防雷を俯瞰で見るベルガン。タラメアの空母と防雷が戦えばベルガンが見てもタラメアは負ける。弾の撃てない機関銃など、原始的な斧にも劣る。


ベルガンはタラメアが負け、残った鋼の船を神の兵が倒す際には指揮官として名乗り出ようと考えていた。


停泊する防雷に気付かぬ空母は徐々に距離を詰め、ついには防雷の射程に入ってようやく減速した。


防雷から1機のグライダーが空母に向かって飛んでいく。


神から声が漏れる。


「さぁ始まるぞ!何としても機密を守りたいタラメアと、主権をかけて反撃する日本の海戦だ!!」


だが、見つめる先では一向に戦う気配はない。神は苛立ちながら考える。


ーーそうか。鋼の船を見て劣勢を察したのか。なかなかタラメアも優秀じゃないか。


神はデスランドの周辺を飛行していた一般兵に指示を出す。鋼の船を攻撃しろと。


ーー手助けしてやろう。さぁ戦え!!


不規則に飛行していたガーゴイル(一般兵)は、吸い寄せられるように一斉に防雷に向く。そして攻撃を始めた。すると防雷の対空機関砲も一斉に命がともり、迎撃を始めた。


ヴァロンが一言漏らす。


「対応が速すぎる」


これに神も同意する。


「ああ、あの船、我々が攻撃することを予測していたな。海上は割と手薄にしてやったはずだが勘のいい指揮官でもいるのか?」


だが神に焦りはない。千を越える一般兵の群れが黒い渦になり防雷へ波状攻撃を仕掛ける。この状態でタラメアに討たれれば貧弱な彼らの通常兵器でもラインを超える。神は板挟みになっている鋼の船に興味を惹かれる。


ーーさあどうする。沈むか?逃げるのか?いや、勘の良い指揮官だ。相打ちが最善だと気がつくかもしれないな。


同様にヴァロンもこの盤面の行く末に意識を奪われる。ベルガンに至っては目を輝かせ、強靭な火力で一般兵に対抗する防雷に見入っている。


サーチだけは、やや冷ややかに思考していた。


ーーどうしてこうも、争いごとが好きなのか……。あんな鋼の船は私とベルガンで連携すればすぐに沈むのに……


だが、その日常は、一瞬で壊れることになる。


タラメアの放ったミサイルは鋼の船の頭上を越え、神の居城デスランドの上空を目指したのだ。サーチはすぐに感じ取る。何か危険なものが降ってくる。


サーチはいち早く大広間を飛び出すと、シールドを展開しながら城を飛び出した。眼前には2本のミサイルが白い線を引いて飛来していた。高度が高い。


一気に加速上昇し上空にシールドの傘を開こうとした瞬間、側面に大きな衝撃が走る。


ーー撃たれた?


これを見たベルガンも我に返り広間を飛び出す。ヴァロンも神も止める間もなかった。


撃たれたサーチだが、エーテル濃度の濃いデスランド上空では無意識の方位であろうと、サーチのシールドは貫通しない。

だが、強い刺激臭がサーチを包み込む。さらに鋼の船から追撃の発砲音が響く。避ければ上空のミサイルが炸裂してしまう。サーチはシールドを全開にして迎え撃つ。


ーーこざかしい!人間!


防御に集中したサーチのシールドは固い。衝撃を受けることすらなく追撃の弾丸はシールドに弾かれる。


だが、その火花がまるで導火線のようにシールドをすり抜け、内部に侵入してきた。


ーーこれは可燃性のガス!


気づいた瞬間に爆発が起こる。固く閉じたシールドの内部で発生したガスの爆発は超高圧の高熱の刃となってサーチの肉体に制御不能なダメージを与えた。


サーチは全身を焼かれ、五感が失われていくのをスローモーションのように感じていた。聞き覚えのある声が聞こえるような気がした。


その声はベルガンのものだった。


ベルガンは重力に負けて落下するサーチを限界まで優しく受け止めると、すぐにデスランドへ引き返す。そして城の中に戻るとソファに寝かせ、僅かに残るサーチの息を確認する。


城の上空ではミサイルが炸裂し、灼熱の花が守備兵を溶かしていた。


ーー俺はなぜ。なぜいつもサーチを守れない!!!!!


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