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青い鐘の音が鳴り響く中で

 リアナたちは屋根のない渡り通路から北東の塔へ入り、クラウスが監禁されていると思われる部屋の前まで来た。

 ゼッツが魔法士に目で合図を送り、魔法士は鍵もろとも扉を吹き飛ばした。

 土ぼこりが立ち上がるなか部屋に押し入ると、2人の見張りの兵と鎖で足をつながれたクラウスの姿があった。

 怒り狂ったマーシャルはクラウスに駆け寄ると、見張りの兵の方へ向けて両手を広げ立ちふさがった。

「きさまら! ただですむと思うなよ!」

 そのマーシャルの叫び声に兵たちは怖気付き、何もできずにおろおろとしている。

 その様子をみたルーシャが2人の兵士にすぐ捕縛魔法をかけ、クラウスの足の鍵も魔法で壊した。


「マーシャル……マーシャルなのか?」

 マーシャルは振り向くと涙を流しながら下肢づいた。

「クラウス様、遅くなり申し訳ありません。ご無事でなにより……」

 そういって嗚咽しながら泣き出した。

「すまない、近くに来てくれ。あまり、目がよく見えないのだ。

 でもその声でわかった。来てくれてありがとう」

「クラウス様!」

 マーシャルは王子の手を取りさらに泣き出した。


「マーシャル、クラウス様を早く外へ!」

 ゼッツがそう言った瞬間、入り口付近にいた兵士が倒れた」

「ど……どうした……」

 そしてもう1人の兵士も倒れた。

 見るとそのうしろに、ルルクスと側近の双子の魔法士ミングとラングが立っている。


「リアナ、クラウス様を頼む!」

 マーシャルが叫んだ。

「はい!」

 そう言ったリアナの目に一瞬だがルルクスのそばにいるシンシアの姿が映った。

(ね……え……さま?)

 リアナは王子を捕縛するとエアロでつかみ上げ窓と壁を壊して外に飛び出した。

 ルーシャもそれに続き、マーシャルとゼッツが双子の前に立ち塞がった。


「シンシア、ルルクス様を安全な場所へ!」

 ミングが叫んだ。

「はい!」

 シンシアはルルクスを杖にのせると塔の屋根の上に降りた。

「ここでお待ちください」

「やだ、クラウスを追いかけたい! クラウスを追うんだ!」

「今は! 今は我慢してください」

 声を荒げたシンシアの言葉にルルクスは黙った。


 ルルクスを避難させるシンシアを援護するため、ラングが兵士たちに火炎爆の攻撃をして、ザッツは塔の通路まで吹き飛ばされた。

 そこへルルクスを探していたアドラとベルモントたちが現れた。


「ルルクスはどこだ!」

 叫ぶアドラに渦を巻いた火炎の攻撃が向かってきた。

 杖を軽く回しそれを消し去ったアドラは、1つ上の階にいるミングの懐に瞬間移動した。

 杖を氷の刃に変えると、その刃先をミングにつきたて氷塊の魔法をかけた。

 ミングは氷の塊になりその場にころがった。

 それを見たラングは鬼のような形相になり、なにかをつぶやきながら杖の先に黒い玉を出現させそれをアドラにぶつけた。

 ぶつかったアドラの体の一部は紫になり毒による麻痺で動かせなくなっていく。

 そのとき、杖で飛んでラングの後ろに回り込んでいたマーシャルが、ラングを後ろから羽交い絞めにいた。

「やれー!」

 ベルモントは鞭に毒をまとわせラングを打ち据えた。

 瞬時にマヒ毒でラングは動けなくなり捕縛の魔法で捕らえらえた。


 その様子を杖に乗って見ていたシンシアは、ルルクスを連れて急いで逃げようとした。

 だがそこに、救出班の戦闘員とともにマーベラスが現れた。


「おお、マーベラスちょうどいい所に来た!

 逆族だ!私を安全なところに……」

 マーベラスは思い切りルルクスの顔面を殴り、部下に捕縛させた。

 それを見たシンシアはルルクスを見捨て1人で飛び去った。


「マーベラス様、女が逃げます!」

「すぐに兵をだせ。捕らえる必要はないその場で殺せ」

「はっ」


 マーベラスは捕まえたルルクスをぶら下げてせアドラたちのところまで降下した。

「つかまえたぞ、アドラ」

「そうか……。地下の牢にぶちこんでおいてくれ」

「了解。早く医療班に行け、毒がまわっちまうぞ」

 アドラは目を合わさずにほほえんだ。


 リアナたちははカッタート邸に王子を運び込みそこで待機していた医療班が直ちに治療を始めた。

 それを見届けると誰にも告げず1人アエロで飛び立った。

 姉シンシアのもとにかけつけるためだった。


(あれは姉さまだった。こんな所で会ってしまうなんて……)

 上昇しシンシアを探していると港へ向けて杖で飛ぶシンシアを見つけた。

 おいついて急降下するとシンシアの前に立ちはだかった。

「姉さま!」

「リアナ……どうして。 あ、あなたそんな鳥に乗れたのね、知らなかった」

「そんなことはどうでもいい!一緒にエンリッツへ帰って!」

「エンリッツへって……」


 姉の後方に見える城の辺りから複数の兵士が飛び立つ姿が見えた。

(姉さまを捕まえるため……?)


「姉さま、兵がくる。こっちに来て!」

 リアナが先導して天に昇る丘の端にある大きな木の中に隠れた。

「あんなことをされても……まだ私を助けるの? 甘いわね、リアナ」

「そうね、甘いわね。

 それでも姉さまとデイビッドと一緒にいたい。

 ねえ、父様と母様に会いにいきましょう、姉さま。お願いよ」

「父様と母様に……。 わかったわ、行きましょう」


 その時、青い鐘の音が鳴った。

 作戦完了を知らせる青い鐘の音は、しばらくの間港や町に鳴り響いた。


 作戦に関わった人々が歓喜する中、姉妹はその鐘の音を聞きながらエンリッツに向かって飛び立った。

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