シュバルツとおっさん
「あら、なんだか見慣れないウサ耳がいますの」
「ふさふさだな」
「プリュド、シュバルツ!」
たわいもない話をしていると時間が経っていたらしく、プリュドとシュバルツが帰ってきた。
荷物を運ぶためにか、シュバルツは小山ほどの大きさにもどっていた。
プリュドはアイテムバッグを持っているけど、シュバルツは持っていなかったもんね。
渡しておけばよかったなあ。
「プリュド、シュバルツ、沢山運んでくれてありがとう」
「散らばっていたから大変だったのだ」
「小物は埋めてきましたの」
よいせ、とシュバルツが背中から降ろした荷物はかなりの量だった。
「こんなの背中に乗せたの? すごいバランス能力ね」
「確かに……魔物に獣、たくさんあるね。シュバルツ、器用だね」
目を丸くする私とアイシャに、シュバルツはふんと得意げに胸を張る。
「風の魔法で押さえつけて運んだのだ」
「シュバルツ、頭いい!」
「すごいけど、すごい無駄な使い方のような気がするわ」
「だんごみたいになってますの」
確かに、魔物がおにぎりみたいになっている。
だいぶぎゅっぎゅってしたんだな。
「さあシュバルツも帰ってきたことだし、ハクトさんの村まで送りますよ」
「ド、ド、ド、ドラゴン……⁉ それにプリュドって……」
振り向くと、ハクトさんは腰を抜かして座り込んでいた。
ウサ耳をプルプルと震わせながら、プリュドとシュバルツに交互に視線を送っている。
しゅるしゅると小さなサイズに戻ったシュバルツは、ハクトさんのウサ耳をツンツンしている。
二人にハクトさんを紹介しなくちゃ。
「この人はハクトさん。気を失っていたから助けたんだよ」
「ふうん。私はプリュドですの。アナタの頭の上にのってるのはシュバルツ。よろしくですの」
プリュドはつんと澄まして自己紹介した。
プリュドは人見知りなんだよね。私も初対面の時は感じ悪いなって思ったよ。
仲良くなったら驚くくらいべったりになったけど。
「は、はあ、俺はハクトってもんです。プリュドさんって、もしかして、あの、『聖女』の……?」
「この世に私以外にプリュドはいませんの」
「いや、よくある名前だから沢山いるのだ」
「シュバルツ、うるさいですの」
また言い合いを始めようとする二人に、ハクトさんはおずおずと口を開いた。
「あの、ドラゴンのシュバルツっていうと……『天空の覇者にしてドラゴン族の王』のシュバルツ様ですか?」
「よくわかったな、子ウサギよ。我こそはドラゴン族の王にして天空を統べるもの。シルバードラゴンのシュバルツである!」
「は、ははあー!」
やたらと迫力のある声で名乗りを上げるシュバルツの前に、ハクトさんがひれ伏した。
「子ウサギって。禿げ頭のおっさんを子ウサギって」
「ウサ耳も一緒にペタンってなるのね」
「なんか可愛い。おっさんなのに可愛くなれる魔法のアイテムだね、ウサ耳。そういえば、ドラゴン族の王って何?」
「初めて会った時にも言ってたわね」
「勇者が死んだあとに、シュバルツは世界各地にいるドラゴンの王を倒して回ったらしいですの」
「それで王様に? 道場破りみたいだね」
ぺたりと倒れて小刻みに震えるウサ耳を見ているうちに、二人の話は終わったみたいだった。
シュバルツをウサ耳の間にのせたハクトさんがこちらに歩いてきた。
なんかすごくシュールだった。




