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19話 『~吟遊祭~ 二日目 凶暴なメイドは要りませんか?』

神の信仰の仕方しだいで受け取れる力が変わる。

だって、神様いい加減だし。

 ―――クラディ 視点―――


 さて、この地獄から逃げる方法を皆で考えて欲しい。


 どうやら脳内の俺は、方法を見つけれなかったらしい。

 誰かの陰謀か?


 目の前のメイド服姿のハルクを見ながら思う。


「さて、メイド。そう、メイドだ。吟遊祭が終わるまでの間、コイツはお前のメイド。わかったか?」

「説明がメイドしかない!?しかも、今日含めて二日も!!」


 二日あれば俺の死体を近くの森まで隠す事ができるじゃないか。

 なんてことをしてくれたんだ。


 さっきまで寝ていた脳を叩き起こされ衝撃を加えられ、恐怖を刻まれた。

 何が起こっているのかわからない。


「え、えぇと、よ、よろしく……じゃなくて……、よろしくお願いします」

「では、ルー、教えてやってくれ」

「はい」


 ちょっと待ってくれ。

 ルーさん、貴方は何を知っている。怒らないから教えてください。


「女の子の秘密です」


 俺が、自尊心高い貴族だったら間違えなく死刑だね。

 それか、奴隷として売り飛ばしてるよ。


 と、怒りながら着替えようとクローゼットに手を伸ばす。そして、気づく。


「……出てって」

「……えぇ!!普通、メイドが着替えさせるんじゃないのか?」

「口が悪いです。それと、クラ様はいつも自分で着替えてます。私としてはお仕事が減って嬉しいのですが、……何か複雑です」


 後ろの方余計だと思うんですが?


 二人に出て行ってもらって着替える。

 部屋から出たとき、二人の顔が赤かったがどうしたんだろう?


「食事とか、運ばなくていいのか?」

「これは姫様が『朝はクラの顔が見たいから!!』という理由で王族専用の別室で二人きりで食べています」

「……二人きり……」


 後ろから殺気のする中、平然を保って部屋へと向かう。

 いざという時の保険にハルクの身体能力をルーさんと同じにしておこう。


召喚(サモン)


 真っ白な紙が召喚される。

 そこに、『ハルク・タルトの身体能力をルーファン・ミーナスと同等へ変える』と書く。

 白い光が二人を包む。


「な、何をしたんだよ」

「口が悪いです」


 勿論、答えない。

 今なら、殴られそうになっても平均的な女子の力並みしか出せないので避けれるだろう。

 念のため、俺の身体能力を上げておく。

 腕輪に体力強化を付けたとミケが言っていたがそれだけでは心配だ。


 部屋に着くと、姫様が椅子に座っていた。

 さっき、ベッドの上で会ったばかりなのにまた挨拶を交わし、俺も椅子に座る。

 それで、真意を確かめる。


「どうして?」

「……何がだ?」

「……どうして、あの凶暴女(ハルク)を俺のメイドに?」

「乙女の秘密だ」


 ルーさんみたいなことを言われてしまった。

 誤魔化しているだけだが、こういうときは絶対に教えてくれないので諦めることにする。

 姫様は、手を使わずに能力を使って食事している。

 フォークやスプーンが宙に浮いている光景は爽快だ。


 堅苦しいのは嫌い。と、言っているだけあって手を使うのも面倒だと能力を使っている姫様。

 この世界には、能力を持っている人種と持っていない人種が居る。

 その差は簡単。

 神を信仰しているかしないか。それだけだ。

 俺は、覚えていないが子供の時に何処かの神と契約したらしい。

 まぁ、そのせいで能力が使えることすら知らなかったんだが……。まぁ、俺が能力を使えるとなると子供の時しかないということになる。

 王というのは、神に選ばれてそこに存在する。だから、必然的に王家は全員能力を使えることになる。

 ご丁寧に能力を強化する訓練場的なところまで存在すると聞いた。場所は誰にもわからない。

 姫様の話を聞くと、訓練が終わって外にでるとさっきまであった神殿がなくなっていたらしい。

 オリエル王は城の形をしていたとか。統一感の無い訓練場だ。


「ま、神に認められるのは相当苦労するからね」


 機械の神は、人間に近い。

 半分が機械。半分が神でできている。

 中級の神が途轍もない怪我をしてそこから直すために機械の体になったと古文書などには書かれているが実際にはわからない。


 ジャンカーは、人には不可能な聡明さを持つ者だ。

 つまり、頭の働きが通常より早い。

 まぁ、人よりすごいという事だ。

 加護は神ごとに違う。

 俺は、どの神と契約したか知らないのでどんな加護を受けているのかすらわからない。

 姫様は、半分魔族ということで、神の加護が受けられなかったらしい。

 神は魔族を世界の害としか見ていないようで、能力しか手に入れられなかったという。

 俺としては、加護を姫様がもらったら毎日勉強もせずに暴れてばかりいるような気がしてならない。


「じゃ、先に行きますね」

「クラ……」

「何で―――」


 目の前が真っ暗になる。


「少し、お前の視力を奪わせてもらった。工夫すればできるものだ」

「能力の無駄遣いはんた~い」


 残念ながら、姫様の居る場所はわからないので適当に叫ぶ。


「クックックッ、さぁ恋敵を手に入れる作戦の始動だ」


 何か聞こえたような気がしたが、気のせいだろうか?


 ―――ガッ


 足を蹴られ、前のめりに倒れる。


「姫様、何処へ連れて行けば?」

「ミケに頼んで中庭に家を建ててもらった。ハルクと一緒に閉じこめるがいい!!」

「ハッ!」


『ハッ』じゃないから!!


 真っ暗な中、俺は密室で殺されないようにするため、逃げようと努力する。

 鉄でできた鎧が俺の動きを邪魔して思うように動けない。


 結局、何の抵抗もできないまま家の中にきてしまった。


「え、えぇと、おかえりなさいませ、ご主人様!!」

「ダメだ。悪寒が止まらない!!」

「失礼な!!……じゃ無くて、お口が悪いですよご主人様」


 ダメだ。この悪夢から目を覚ませ俺。

 きっと、幸せはここじゃなくて現実にあるはずだから。


「……こっち向いて?」

「はい」


 恐いよ。恐すぎるよ。


 恐怖という鎖につながれた俺は、ハルクのほうを向く。


「あ……」


 顔を真っ赤にするハルク。

 ……えぇと……、可愛い?


 わからないが、メイド服にフリルをふんだんにつけてお嬢様が着るような服を着たハルクは何か……可愛かった。

 赤い顔が、一層可愛さを際立たせている。


 だが、それは俺にとって恐怖でしかなかった……。


「ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい……」

「……そ、その……顔をあげてくれませんか?」


 ……誠意が足りなかったか?


 ナイフを取り出す。


「俺の血を差し出すからこの幻想を終わらせてください!!」

「……そんなに嫌なの?……じゃなくて、嫌なんですか?」

「………」


 目を逸らす。

 言わなくてもわかると思ったからだ。


お仕置き(ちょうきょう)が必要なようですね……」

「さりげなく怖い事言ってるよ!!」


 血だけでは足りないと言うのか!

 腕だって足だって捧げますからこの悪夢から覚ましてください!


「……そ、そんなに私と居るのが嫌?」

「勿論」

「しねぇえ!!」

「ギャッ」


 前が見えない。

 君は何処?私は何処?


「ちょ、クラ!!じゃ無くて……クラ様!」


 言い直さなくていいから早く助けて……。


 そこで俺は気を失った……。



 ☆



 ―――ハルク 視点―――


 小さな一室。ここには小さなベッドと小さな机と小さな椅子だけしかない。

 質素な部屋となっているそこではクラが横たわっていて、私がそれを見つめていた。


「……ふぅ」


 私の息で黒髪が揺れる。

 なんだろう、この気持ち……。


「うぅ……あ、悪魔……が……」


 一体どんな夢を見ているんだろう……。


「ハルク……助けに……あぁ、こっちも悪魔……」

「少しの我慢よ。笑顔。笑顔」


 私は、自分が何故こんなことをしているのかわからないままクラが起きるまで待つ。


 ……水をかければ起きるかしら?


「ハッ!……なんだろう……すごい悪意を感じた……」

「あ、おはようございますご主人様」

「……夢じゃなかった……」


 失礼な……。


 拳を握り締めながらも、笑顔を振りまく。

 だが、クラはそれに恐怖を感じているらしくしっかりとご主人様をやってくれない。


「……一つ。一つだけ聞かせてくれ」

「え……何?」


 まじめな顔をして、一つだけという話をするクラ。

 私は、それを少し赤みがかった顔で聞く。


「誰が首謀者だ……」

「えぇ~と、紐は―――」

「あぁ嘘。ゴメン!今の冗談!!」


 ……次、冗談を言ったら殺そう。


 ―――グギュルルル


「……お腹すい―――嘘です。あ、自分で用意するので―――」

「何故、私を拒絶するの?」

「……毒とかはいってそうだから……」

「良く聞こえないんだけど?」

「ご、ご主人様命令!!」

「……はぁ……」


 王都に着てから運動不足なのだろう。

 久々に体を動かすように準備運動をし、料理を作り始める。


 ……私の仕事がないんだけど……。


「何か手伝える事ない?」

「とりあえず、暴れなければ何やってても―――」

「私がいつどこで暴れたって?」

「椅子に座って待っててください」

「ご主人様だけに料理を作らせておくわけには……」

「どっちなんだよ!!」

「……さぁ?」


 自分がわからない事を他人に聞かない。

 悩むことこそ人生なり。

 思春期の男の子だったら悩もうじゃないか。


「あんた女子だろ」

「気にしない、気にしない」


 不服そうに料理を運ぶクラ。こんなに早く料理はできるものなのだろうか?

 考えていると、クラが椅子に座る。


「……食べないの?」

「わ、私は後から―――」

「……前は俺より先に食べてたくせに……」

「何か?」

「いい、いい、いいえ、何でも?」

「そう」


 よい子は好きですよ?と、低い声で言ってクラが食べ終わるのを待つ。

 私は途轍もなくメイドに向いていない気がするんだが気のせいだろうか……。



 ☆



 ―――フィーカ 視点―――


 二日目、それは一日目で終わった予選を勝ち上がった者が決勝へ出るために戦うトーナメント戦。

 私は騎士なのでシード権があり、最後のほうまででることは無いが、それでも勝ち上がってくる奴等の戦いを見たいので観戦席へと向かう。


「ん?フーか。一緒に見ようではないか」

「ひ、姫様ぁ……」


 丁度出合った姫様に誘われ一緒に観戦する事になった。

 さすが姫様、この人だかりの中で私だけを見つけてくださるとは……。


「お、ボフスト、クラは監禁中だ。一緒に見ないか?」


 ……私だけ……。


 少し落ち込んだが、一緒に姫様と見ることは変わりないので途中で気を直し観客席へ行く。

 姫様なら特等席を作ってそこで見るかと思ったが案外違うみたいで一般席に人払いをかけて最前列に座っていた。

 私はどんな敵が来てもすぐに対応できるように、立っている。


「さて、ネズミが掛かるのを待つとするか……」


 武道大会が始まった頃、姫様の言った言葉が気になったが私がこの意味を知るのは武道大会の決勝だった……。



 ☆



 ―――クラディ 視点―――


「あ、あげてぇ……」


 目から涙を流しながら閉められている扉を叩く。

 今の時間、決勝戦をやっているはずだ。

 表彰は明日となっていて、その時は城の警備が手薄になる。

 手薄と言っても入る事のできる箇所は全部ミケが結界などを張って入れなくするので問題ない。


「ご主人様~、どうしたんですか~?」

「ひ、ヒィッ!!」


 うまく武道大会の歓声と混ざって恐ろしく聞こえる声がする方向を見る。


「ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい……」

「これじゃあ、どっちがご主人様かわからないですよ~」


 今日の夜は月が見れないのか。

 残念だな。

 あ、半分に割れた月が見れるの?


「……殴ったら戻ってくるかな……」

「何を言ってるんだい?」


 玄関で何をやっているんだろうという疑問を押し殺していたって普通の態度で、広間まで歩いていく。

 そして、窓を開け放つ。


「さぁ、ここから逃げ―――」


 そこには、壁しかなかった。


「れないね。……破壊……っと」


 能力はあまり使いたくないんだが、壁を破壊する。

 どうやら、闘技場の壁だったらしいそこは選手の控え室だった。


「汗臭い……」

「はい、どうぞ」

「あ、どうも……変な薬ついてないよね?」

「……何処まで疑うの……」


 渡されたハンカチで鼻を押さえつける。

 汗臭い部屋から脱出すると、選手の入場口のようなところへ出る。

 どうやら出口の方向を間違えてしまったらしい。

 入り口からは木製の武器で戦っているフィーカと髭を蓄えた男が見える。

 ここは特等席かもしれない。


 座り込んで、試合を見ようとしたその時だった。


「ククク、俺は大量虐殺も好きだぜぇ……」

「あ、隣なら空いてますよ」

「どうも……じゃねぇよ!!」


 見ると、黒く光っている剣を持った男が居た。

 何ていうか、この人はなんなんだろう。


「まさか、先手を打たれてるとはなぁ……。ククク、クハハハ、やるじゃねぇか」

「え?え?何!!」


 前に居た子分のような人が居ない。

 こっちは二人。その内一人が女だけど頑張れば勝てるかも知れない。


「まぁ、この魔剣でお前を殺せれば文句ねぇんだけどよ……。消し炭になった家を元通りに直したんだってな。だから、愚王が欲しいんだってよ。ま、殺さないから付いてきてくれねぇか?断れば……わかるか?」


 大量虐殺。

 その言葉が頭に残っている。


 まさか……。


「ククッ、いいねぇ……。こっちの警備もしてたみたいだが……残念だったな」


 この国の兵も選手控え室から入ってくるとは思ってなかっただろう。

 身元検査などはやっているが、その後から警備を殺して入ってきたのだ、意味がなくなってしまった。


「あ、あんた何よ……」

「能力無し。殺してもいみねぇな。まぁ、楽しむ事はできるだろうけどな」


 殺気。

 体中に当たるそれは俺の体を動けないように縛り付ける。


「じゃあ、俺も一つ能力を使わせてもらうぜぇ……」


 殺気が倍増し、男の影が伸びる。

 いや、違う。


「おもしれぇよな。魔剣なのに光を操るんだぜ?」


 魔剣から血が流れている。

 だが、問題は上だ。


 そこには数は確認できないが光の玉が複数個できあがっている。

 熱は持っていないようだがそれ相応の力はもっていそうだ。


「コレは、勇者を殺した時か。魔王もついでにサクッとやって気持ちよかったぞ」


 みんなの勇者伝説を壊してくれてありがとう。

 相打ちになったとか噂されていたが不老不死のこの男に殺されていたのか……。


「爆ぜろ!!」


 血。影。光。


 見落としていた物。

 血と影が混ざり特殊な空間を作り出す。

 そこから出てくる闇と光が混ざり……拒絶する。


「ククク、面白い事を教えてやろう。魔王には子供がいたんだってよ。まぁ……殺したがな」


 ただ一つ。

 見落としていた者。


「植物系魔法の長所。すなわち即効性。弱点が多いですが使い勝手がいいんですよね」

「ここを設計したのはミケさんですからね。魔力に反応して魔法が発動するように仕込んでいたらしいです」

「姫様か……」

「その通り」


 はぁ……見張られていた。

 勿論、ハルクがメイドになる事を命令したのは姫様だから見張りが付くと思ったが、まさかミケだったとは……。


「明確な殺気が放たれてから防御用の魔法を詠唱していました」


 黒服の男の耳がピクリと動く。


「魔法……魔法が使えるのか?」

「クラさんよろしく」

「外道なのは姫様譲りっと」


 男を拘束する。

 目を離したのがいけなかったな。


「え……え……ねぇ……クラ……」

「えぇと、俺も能力を持っていたという……」


 壁を破壊した時点で既に怪しいと思っていたのが確信に変わった。

 そんな表情をしているハルク。


「ミケ、城の方は?」

「誰も入れません。っていうか、人じゃ無理です。戦車くらい無いと」


 訳のわからない比較だったが、強いものという事はわかったので、そこで話を終わりにする。

 先ほどまでの殺気は嘘のように消えている男を見る。


「ククク、外道?嘘だってか?」

「ミケが魔法を使えるのは本当だよ」

「……証拠は?」

「闇と光を一気に防御できる能力なんて確認されていないだろ?」

「……ククク、そうかい。目の前にあるのに……何でザマだ……ククククク」

「その含み笑いは気持ち悪いですよ?まぁ、一応姫様に恩があるので今回は引き受けたんですが……コイツはなんなんですか?」

「魔法が使えない魔法使い」


 嫌な顔をする男。

 名前を教えればいいのに、と思っているのは俺だけだろうか?


「……名前は?」


 ミケが変わりに聞いてくれるようだ。

 向こうの戦いは物凄く熱くなっている。

 その時、姫様がチラリとこちらを見てきた気がするが気のせいだろう。


「……長く生きすぎて忘れたよ。滑稽だろ?」

「……不老不死?」


 簡単にその発想に行き着くミケは天才なのか?


 俺の脳内で討論が行われている。


「私は姫様に報告してきます。えぇと……ハルク……さん?も、一緒に」


 少しの間だけだが血の臭いを嗅いでしまったハルクの顔は青かった。

 俺は何故大丈夫なんだろう?

 狂っているんだろうか?


 ミケも大丈夫そうだが、遠くに居たからだろう。


「魔法というのは、某体という存在が発動に必須なんです。貴方がいきなり魔法を使えなくなったのは某体を使用しなかったから。まぁ、何故いきなり魔法がなくなったかは不明ですがね」

「魔法禁止令なんてものはでてなかったぜ?」


 縛られているこいつもすごい神経をしていると思う。

 まぁ、勇者と魔王の最終決戦的な戦いに突入して二人とも殺す何ていう芸当は図太い神経をしていないと無理だろう。


「……それしかない……のか……」

「ん?どうしたんだ?」


 ミケがさっきからこっちを見ているがどうしたんだろう……。


「いえ、一つの可能性です。ですが、実現不可。クラさんはその時に産まれていない」

「コイツの能力で魔法の概念を消したってのか?」

「人の思考を読むのはやめておいたほうがいいですよ」

「お前の存在は異質だ。ククク」

「異世界からきてますからね」

「ほぉ……」


 俺が会話に参加できないまま騎士が来て男を連れて行く。


「俺はお前達側でこの戦争に参加したかったよ」

「どういう意味?」


 もう、話すのはミケに任せきっている俺。

 武道大会の方も終わりそうだ。


「ククク、最強の能力があったらどの国でも手に入れたいだろ?」

「……クラさん争奪戦?」

「まぁ、そんなとこだ」


 いつから俺は国単位で奪い合う存在になったんだろう。

 っていうか、この国は平和主義だよ。勝てないよ。


「……クラさん、四方八方から来る敵と戦って勝つ自信は?」

「能力は?」

「使用禁止です」


 考えがわからないが、とりあえず少し考える。


「……姫様が居ればできるような気がするから不思議だ」

「僕もそうですよ」


 ……何だかその立ち位置は姫じゃなくて騎士のような気がする……。


『後書きと言う名の調査プロフィール』


風鹿(ふうか) 魅化流(みける) 男 15才


説明 基本無口。現在は魔法の研究をしている。発想力と柔軟な思考で研究を進めているが、神と魔法の繋がりを見つけたが活用には至らず。


『人生表


0歳~3歳


普通な子供のように育つ。


3歳


親の影響で絵を描き始める。


3歳~5歳


才能からか、すぐに上達。絵に偏りあり。


5歳~10歳


親の仕事を手伝ったりする。


10歳


苛め開始。


10歳~15歳


絵の練習。父親のような絵を描けるようになる。


15歳


いじめっ子撃退!異世界で魔法の研究開始!


以上』


容姿


一言で言えば三毛猫。髪の色は茶色がかっていて、体も小さい方。


能力


絵描き(エカキ)


概要


描いた物を紙から取りだすことができる(強制的に出てくる)。描いている物に少しだけ特殊な能力を付けることができる。


”あること”をすると、紙から出てこなくなる。

まだ、気づいていない。


作者から「コメディー要素を入れようとしたら、こうなった。まじめな奴を増やそうと思ってたから、丁度よかった。うん、ミケは三毛猫」


ミケ『そろそろ、三毛猫はやめてくれませんか?……自分の中では、まだ過去を乗り越えれたって言う実感が無いから乗り越えてないんじゃないですか?次回予告しますね』


ミケ『もう、他の国にクラさんの能力がバレているみたいですね。……少々卑怯な手で鎮圧させてもらいます。次回!『吟遊祭 ~三日目~ 宣戦布告を取り消しますか?』です。えぇと、魔法の研究が進みそうですね』

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