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15話 『王妃様のヒ☆ミ☆ツ』

二話更新させてもらいます。

今回は、小さな争いカードゲームをします。

 ―――クラディ 視点―――

 

 本当かどうかは知らないが、王妃様には夢があるらしい。

 ……孫が欲しいって言う何か俺の寒気を誘う夢が……。

 外見、二十代に見える王妃様はルーさんから聞く限り、すごく体系維持と美容の為に努力しているそうだ。

 今からある晩餐会に出る料理も薄味の物が多いんだろう。

 

「ルーさん、こっちで合ってる?」

「はい。今日は、町で暴れていたようですね」

 

 笑みを浮かべながらこっちを見る。

 暴れていたのは姫様だけだと言ってやりたい。

 しかし、後ろには姫様が居るので言えない。

 

「今日の晩餐会には誰が出席するんだ?」

「確か、中堅の貴族はほとんどでると思います。クラ様の顔見知りを作る事が目的と思われますので」

 

 ……俺の想像より少し、いや、だいぶ違う夕食を楽しめそうだ。

 

 木製のでかい扉を開けて、広間のような所に出る。

 豪華な服と装飾品を着飾った人々で溢れかえっている。

 

「帰っていい?」

「ここで帰ったら、死刑だぞ?」

 

 王様(オリエルさん)から誘われているので断るわけにはいかないってことか。

 

 納得しつつ、部屋に入る。

 俺に話しかけてくる物好きは居ないだろうと思っていたが、老人から子供まで俺に話しかけてくる。

 姫様が傍で笑っているのが憎たらしい。

 

「一目お会いしとうございました、時期国王陛下」

「国王……いや、俺はまだ貴族にさえなってないし……」

 

 貴族にすらなってない。

 そんな事で勢いを殺す事なんてできなかった。

 俺の目的、肉料理から遠ざかっていく。

 

「あ、あぁ、肉……」

 

 どうやら、ゆっくり食べる事はできそうに無いらしい。

 ミケも巻き添えにしたかったが、魔法の研究とかで忙しいらしい。

 この世界より、身近に魔法があったが、使う事はできなかったとミケは言っていた。矛盾しているが、漫画とか言う物やアニメとか言う物があるらしい。

 俺も、一度ミケの世界に行ってみたいと思った。

 

 ―――ギュルルルル

 

 やっと、解放され一人で風に当たる為廊下へ出る。窓が無い空間で長く笑いながら話している貴族とはある種のすごい人種なのかも知れない。

 

「はぁ……中には戻りたくないし……どうしようかな……」

 

 窓を付けて欲しかった……。

 王様の登場の前にでてきてしまった俺は、もう一度入る事ができずに扉の前で突っ立っていた。

 今頃は姫様に標的が変えられていることだろう。

 

「うぅ……腹が……腹が……」

 

 こんな時は、水でもいいので腹が膨れるものをお腹に入れたい気分だ。

 そんな中、いい匂いが俺の鼻をくすぐる。

 

「ついに幻臭(げんしゅう)が……」

「ふふっ、面白い事を言うんですね。でも、力を付けないとあの子について行けませんよ?」

 

 ……何故だろう。

 目の前に女神様が見える……。

 

「食べて……いいんですか?」

「はい。勿論です。中は空気が悪くて。そういうところでは似た者同志ですね」

 

 女神様がもう一度笑う。

 髪飾りで止められている髪は、金色に輝き、肌は全てを弾き返してしまいそうなほどに真っ白い。

 

「えぇと、ミーシャ様ですか?」

「うぅん。家族なんですから。お母様と呼んで……ね?」

 

 女神様(この人)の頭は少しおかしいらしい。

 しっかりとした挨拶もできないままだったので、少し話してみるのもいいかもしれない。

 

「はい。お母様も、空気に慣れないんですか?」

「そうね。何であんなところで長時間笑っていられるかわからないわ。帰った後にはきっと、ふぅ……働いたぁ~とか、思っているんでしょうね」

 

 何処か庶民的なのだろう。いい人ってのは確定だ。

 ころころ笑うお母様を見ながら、思う。

 俺も、城に来る前は居候をしていて、母親にはちょっとでかすぎるけど、そんなような感じの人が居た。

 その人も、良く笑ってたなぁ……。ガハハハハって……。

 いや、そこまで豪快じゃないか。

 

 俺も一緒に笑う。

 

「あ、そうだ。折角家族になったんですし。やっぱり隠し事はダメよね」

 

 この人は、王族ってより、家族ってのにこだわっている。

 穏やかで、家族を大切にしている。やっぱり母親なんだと思う。

 でも、隠し事ってなんだろうか?

 俺は聞かれたら身長から体重まで、生まれと育ちは良く覚えてないから話せないけど、まぁ、聞かれたら話せるつもりだ。

 

「ふふっ。私はね。魔物。魔族なの」

「へぇ~、そうなんですか」

「魔族は魔物の上位。でも、何処まで上かはわからないんですけどね」

「はぁ……はぁ!?」

 

 すごく、当たり前ですって感じで言われたので一度流してしまったが、魔族?この人が?

 

「魔族……」

「えぇ。あの子は魔族の血を持った女の子よ。大丈夫。魔族だって性別はあるわ」

 

 いや、そういう問題じゃないんですが……。

 

 俺の考えを余所に、部屋へ連れ込んで魔族について長々と話をしようとするお母様。

 

「だ、大丈夫です。一通りの知識はあるつもりですし。また、時間があったらということで」

「そう。そうね。じゃあ、一段落……吟遊祭(ぎんゆうさい)も終わった後にでも話し合いましょう」

「そうですね」

 

 返事をしてから後悔する。

 俺って結構人がいい分類に入ったりするんだろうか?

 ただの面倒なだけだろう。

 

「ふふっ。それじゃあね」

 

 そう言って、扉の中へ入っていく。

 俺は、皿に残っていた料理を食べ、近くに居た料理を運んでいる人物に渡すと、部屋へ向かって歩く。

 

「思ったとおりの薄味だったな……。さすが、オリエルさん主催。妻を気遣っているということか」

 

 その妻は、外でお喋りしていたんだけども……たぶん、知らないんだろうな。

 俺は、部屋で栞の挟んだ本を開きながら思ったりした。

 

 

 ☆

 

 

 ―――イルシア 視点―――

 

 ミケさんにこの世界の概念とかいうものを教えて欲しいと言われたので、聞かれたことを説明した。

 その後は、手伝って欲しいと言われたので材料を錬金して、この世界の乗り物や食べ物を作ったりした。

 

「こんな感じで……えぇと。いいのかな?」

「助かりました。錬金術は真実。魔法は仮想だね。……ん?」

 

 気になる事があるのか何やらブツブツと話し始めるミケさん。

 

「そうか……いや……。でも……。確信には至らない。可能性としてはあるな……」

「どうかしたんですか?」

「……仮定の段階で話すと、ごっちゃになるからまだ言わない。錬金術で使うのは体力だったね?」

「はい」

 

 また、ブツブツと言い始める。

 かと思うと、紙と筆を持って紙に何かを描く。

 

「最初からこうすればよかった。魔力という概念が抜けていた事がおかしいと思ったんだ」

「魔力……なんなんですか?」

 

 初めて聞く言葉だ。

 いや、初めてじゃない気もする。

 なんだろう。

 

「魔法の発動に必要な力のこと。マナとか言う事もあるね。僕はそれを確かめる機械を描いた」

「魔力があれば魔法を使えるってことですか?」

 

 魔法を司る神が死んだとか、純粋な人間が消えたから魔法が廃れてしまったとか。色々説が出ていたが、魔力という物が用意できれば誰にでも使える物。

 そうなれば、もっと技術は進歩するかも知れない。

 

「昔は魔法があったんだよね?」

「はい。だいぶ昔なのでどんなものかはわかりませんが……。あ、恩人さんにもう一度召喚ってのをやってもらったらどうですか?」

 

 私も見たい。

 せっかくだったのに見れなくて残念だった。

 

「いや、魔力があることだけわかればいい。右手を出して。素手で」

 

 服をめくって右手を出す。

 何か腕に巻かれ、数字が映し出されている部分の数字が色々と変わっていく。

 

「魔力を測定する測定機というやつですか?」

「そう。で、数値は五十。大きいのか小さいのかわからないな……。お姫様に頼んで城中の人の魔力の測定値を調べてもらおうか」

 

 ミケさんは、絵描きだと聞いていたが、何処かの学者なのかも知れない。

 副業に学者、でも夢を追い続け絵を描いている……カッコいい……。

 

「それは、素敵です!」

「は、はぃ?」

 

 健気です。

 すごく健気です。

 でも、強く生きているミケさんはすごいです。

 

「きっと、辛いことがあったでしょう。でも、乗り越えてきたんですね。やっぱりすごいです」

 

 すると、顔が曇る。

 嫌なことでも思い出させてしまったのだろうか?

 

「僕は、努力してないし、乗り越えてだっていない。僕は臆病者だ。この世界の生活に満足している。ただ逃げている弱虫なんだ」

「ミケ……さん?」

「ゴメン。お姫様は何処に居るかな?」

 

 目を押さえながら言う。

 確か、晩餐会に出ていたはずだ。もう、終わっている頃だろう。

 

「たぶん、寝室じゃないですか?頼みに行くのは明日にしましょう」

「わかった。もう寝るから」

「はい……その……私じゃ支える事はできないかも知れません……でも、頼ってくださいね」

 

 それだけ言い残して、部屋から出て行く。

 その後の事はわからないが、ミケさんは翌日笑顔を見せてくれた。

 強がりじゃないといいんだけど……。

 

 

 ☆

 

 

 ―――クラディ 視点―――

 

 姫様はとんでもない事を俺にぶつけた。

 ミケが魔力測定器とか言う物を作ったから今日の勉強はなし、姫様も学院を休んで城中を走り回るとか。

 絶対に勉強をやりたくないだけだろう発言に、俺はルーさんに姫様を学院へ連れて行くように頼み、ボフストと協力してこの魔力測定器で城中の人の魔力とか言う物を計っていくことにした。

 

「フィーカに頼んで女性を計ってもらおうと思ったんだけど……」

 

 姫様の近衛なので学院へ行ってしまっている。

 となると、どちらかが城中の女性に「腕にコレを付けて魔力を計るので見せてもらえませんか?」と、言って回る羽目になる。

 

「さぁ、どうする?」

「どうするって……」

 

 他に女性の知り合いといえば、シアだけだがそっちはそっちで何かあるようだった。

 

「テンバルで勝負しないか?」

「いいね。ルールは十枚の三回勝負でいい?」

「あぁ」

 

 今からやるテンバルというのはお互いに十枚のカード、両方あわせて二十枚のカードを使ってする娯楽の遊びだ。勿論、博打などにも使われていることもある。

 数字が書かれていて、その数が兵の数。少ないほど兵が強くなっていく。

 どういうことかと言うと。

 

 10=1 引き分け。

 1=1  引き分け。

 

 と、引き分けになるカードが二枚ある。

 

 1=9 1の勝ち。

 10=2 10の勝ち。

 

 こんな感じだ。

 一等兵と戦う十人の一般兵が踏ん張っているという意味を持つこの遊び。

 カードを出す順番や、心理戦が物を言うのである。

 

「じゃあ、先行をもらうよ」

「いいだろう」

 

 手札には一から十までのカードがある。

 五が一番弱く、同等のカードが一枚しかない。

 一番強いのは一と十。

 

「じゃあ、これだ」

 

 裏側に伏せる。

 伏兵というルールがあり、何枚か乗せることで強さを増す事ができる。

 つまり、5の上に十か一を乗せれば、四だって六だって倒すことができるのである。

 俺は、二枚のカードを出した。三と五だ。

 

「……俺は三枚組み合わせようか。五、六、七と」

「な、何……」

 

 六の分だけ強いのでボフストの勝ちだ。

 最大で出せるカードの枚数は三枚。三回戦なので、九回勝負だ。三回戦ごとにカードが元に戻る。

 一回=三回戦。よって、一枚カードが余ることになる。

 

「次は、ボフストだよ……」

「あぁ」

 

 得意げな表情でカードを出していく。

 三枚だ。

 ここで、見極めなければいけない。

 一、十、二。もしくは、一、十、三。これらだとしたら、俺は一、十、二をぶつけて相殺しなければならない。

 だが、それ以外だった場合。俺の損になり、次に十と一が攻めてきて終わる。

 

「これだぁあっ!!」

 

 俺が出したのは、七、八、九。

 

「チッ……」

 

 ボフストは、二、三、四を出していた。

 中々強い手だったな……。

 

「次だね」

 

 勿論、次にカードは一から十まで補充されるので、強い組み合わせを出す。

 一、二、十だ。

 

「って、コレは引き分けじゃないのか?」

「あ、そういえば」

 

 ボフストも、一、九、十と出して、引き分けだ。

 

「カードを補充。第二回戦だ」

 

 それから、何度か戦い。

 結局俺が負けた。

 ……全ては、十が悪いんです。十字架みたいな形の癖に祈りが届かなかったのか畜生!!

 

「はぁ……。あ……」

 

 メイド集団を発見してしまった……。

 最終的には計らないといけないので、見つけた時点で計ってしまう。

 

「えぇ~と、腕を見せてくれないかな?」

「クラ……様?私の腕でいいのなら」

 

 あぁ……いいメイドさんだ。

 

「そんなに、腕を見るのが趣味なら、言ってください」

「じゃあ、いいます。そんな趣味はありません」

 

 すぐに、集団全員の魔力値を測り紙に書くと、小走りでその場から去る。

 

「へぇ~、四十。五十一。あ、七十ってのもある」

 

 この測定器はミケの描いた物に特殊能力を与える事ができる力で魔力の測定ができるようになっているんだろう。

 いつか、ミケの世界の事を聞きたい。いや、ミケが居た世界に行ってみたいな……。

 

 俺は、メイドさんからこの城に居た誰のかわからないが奴隷さんの魔力まで測り、変態に向けられる目を向けられながらも測定が完了した。

 何故、オリエルさんは奴隷制度を廃止しないんだろう……あ、王には法律を作る権利は無いのか。法律は誰かが提案し、多数決で決められる。そこには上下関係など不要だ。

 ……オリエルさんも、誰かが幸せになるには誰かが不幸になるしかない事をわかっているんだろう。

 いくら、言葉を並べても不幸になる者の数は減らないのだ。

 誰かが幸せになれば誰かが不幸になる。

 それは、人間以外であったりするのだから質が悪いが、そうでないと生きていけない事なので割り切るしかないんだろう。

 しかし、姫様みたいに好奇心だけで進むのは勘弁して欲しい。

 不幸は撒き散らすものでないと思う。

 

「シア。ん?どうした?」

 

 ボフストとシアが扉の前でつっ立っている。

 

「えぇと……大事な実験の真っ最中だそうです。あ、集計は私が預かっておきます」

「ありがと」

 

 しかし、実験とはなんだろう。

 魔法の実験ってのは興味深いな……。

 

 俺も待ってみることにするかな。

 

 そのまま、俺はボフストの隣立って待つことにした。

 

 

 ☆

 

 

 ―――魅化流 視点―――

 

 考え込む性格。

 これは

 苛められていたから出てきた僕の一面。

 僕の一部であり、全てでもあった。

 僕は考えてみた。

 苛めという枷から解放され、いきなり社会に出たら。

 勿論、社会人として生きていけない。枷から外れたばかりの自分が社会と言う悪の塊のような物に適応できるわけがないのだ。

 考え込む性格がそうさせる。

 全体を見て、勝てないと思ったら関わり合いになりたくなくて、で、適応できなくなる。

 とても簡単で、とても理不尽だ。

 

「死んだ方がマシって思う人のことを共感できるのは同じような人だけ。よく、苛めている側は気づかないとか言うけど嘘だよね」

 

 だって、それを言うのが苛めている側の人間だから。

 それを真に受ける苛められている側と言うのはなんなんだろう。

 何をすればいいのかもわからずに、ただ苛めから逃れたいと思っている馬鹿。

 

「そうなるのは勝手。社会は悪なんだから、悪に染まらなかったら、適応できなかったら生きていけない」

 

 大人が言うのはそんなものだろう。

 純粋な笑顔と言うのは存在しない。

 僕は、思っている。

 そう、純粋な笑顔は存在しないのだ。

 

 それは、悪い意味でも適応される。

 そのつもりだった。

 

 だが、違った。

 僕は見た。

 純粋な悪意。その笑顔。

 なんとも、傲慢。なんとも、愉快。

 

「狂っている人とはまた別の人種だね。っと、能力はこんな感じかな?これが魔法になるんだから驚きだよね」

 

 僕が作っているのは魔法。

 僕とクラさんだけが使える。まだまだ、出来損ないだけど。

 

 仕組みは簡単。

 僕が描いたのは腕輪。

 そこに能力を追加する。

 そして、一つの形になり、表面として現れる。

 僕達は、筆という物を通してしか文字を書けない。

 そこが問題だったが、筆が大きくなったと考えればいい。

 僕は合図を送れば真っ白な紙と鉛筆が出るように、クラさんにも同じように。

 

「……成功……するかな……」

 

 正直わからない。

 腕輪を腕につける。

 

召喚(サモン)

 

 空中に真っ白な紙。僕の手の中には鉛筆がある。

 成功。

 そう悟るのは早かった。

 この世界の魔法と言う概念で抜けている箇所。

 それは、魔力。

 魔法を使う為に必要な代償。

 こっちも考えてみた。

 

「世界に訴えるために詠唱が必要と言うけね……」

 

 だが、こっちは仮定。

 まだわからない。

 

「ふぅ。まぁ、今はこの腕輪一つで魔法みたいな事ができるようになったって認識でいいよね?」

 

 誰もいない

 

 空中に話しかける。

 

 その刹那。

 硝子が飛び散る。

 窓を見る。

 

「……お姫様……」

「勉強……もう嫌だ。逃げるぞ。逃亡だ。クラは居るか?愛の逃避行へ行くぞ!!ん?……ミケ。お前の世界へ行こう。誰にも見つからない花園で愛を永遠に―――」

 

 扉が開け放たれる。

 ボフストさんが体当たりで破壊したようだ。

 

「姫様!」

「……あぁ……何だ……その……」

「学院から逃げた……と?」

「そうだ」

 

 手のひらをおでこに当てているクラさん。

 結構苦労していると思う。

 あ、そうだ。

 

「クラさん。コレどうぞ」

「ん?」

 

 訳のわからないまま腕に腕輪を嵌める。

 

「ピッタリですね。えぇと、その腕輪には―――」

 

 細かい説明をしていく。

 クラさんは、自分の能力のところで驚愕に満ちた顔をしていた。

 今まで気づかなかった鈍感さは恋の場面でフルに発揮されていると思う。

 

「ほぉ。面白い物を作ってくれる。だがな。今から行くのは異世界だ。異世界。たしか、お前はその世界で学生だろう?魔法が身近にある世界。見てみたいじゃないか」

 

 勉強から逃げたいと言う本音をうまく隠しつつ満面の笑みで言う。

 だが、この場に居る全員にバレていると思う。

 

「……俺も見てみたい……」

「え?クラ……さん?」

 

 まさか……ね?

 

「お、クラもか。俺も」

「ボフストさん!!」

「じゃあ、私も」

「ルーさんまで!!」

 

 何ていうか、すごい人たちだ。

 

「勿論、私も……うぅ……」

 

 鎧に身を包み槍を背負っているフィーカさんが言う。

 別に窓からじゃなくて中に入って廊下から来ればいいと思う。

 

「ふふふ、さぁクラ旅立ちだ。勉学と言う大地から飛び立とうではないか!!」

「向こうでは俺が勉強を教えます」

「な、いらぬ仕送りだ。返品する」

「残念ながら一緒じゃないと旅立てないんです」

 

 中のいい夫婦に思えてくるから不思議だ。

 でも、本当に皆を向こうの世界に連れて行っていいんだろうか?」

 

「さ、クラ。書くがいい」

 

 俺に選択権なんて無い事を思い出した。

 

「どうやって使うの?」

「『召喚(サモン)』って言ってください」

召喚(サモン)

 

 目の前に紙が現れ手に鉛筆が握られる。

 

「ほぉ……お、書ける」

 

 鉛筆と言う物が無かったようなので少し教える。

 でも、その時僕が思っていたのはお姫様が学院から無断で抜け出し、挙句、何処かへ逃亡と言うのはどうしたものか。

 きっと、親も心配すると思う。

 ……僕の親は心配してくれているかな……。

 

 少し考えてみたが、心配してくれているのは姉さんだけだろうから考えるのをやめる。

 黒い生物とは思えない形をした何かに飲み込まれ、僕等は意識を失った。


『後書きと言う名のゲーム解説』


まず、このゲームのみそ、下克上(げこくじょう)です。


10の一般人は1の騎士に匹敵し、9の一般人は2の騎士見習いに匹敵します。

注意するのが、5と6。

これは、同等ではありません。

まぁ、一番やりやすいのがポイント制のゲームですかね。


1と10= 6ポイント


2と9=  5ポイント


3と8=  4ポイント


4と7=  3ポイント


6=    2ポイント


5=    1ポイント


6と5は同じポイントではないので注意ってことですね。

クラ達がやっていたのは、しっかりしてないルールですね。

大体で、強いカードと弱いカードを組み合わせてやってます。

理解できないと思ったのでここで説明……。

一つ言いますと、これ書いたときはルールに穴ばかりなので違うとことかあるかもしれません。


引き分けありです。

どっちも、同じ種類、同じ枚数を持っているわけですから引き分けがあります。

三枚ずつ出して、どちらが強いかですね。

一つ、言うと最後に残るのが5とは限りません。


もう、説明が面倒なので気になったら感想とかで質問お願いします。

自分はクラの不幸を見てニヤニヤしたいだけの人ですから。




……ここからは高確率で勝つ方法なのですが……。



まず、2と9と8、または2と9と3の組み合わせでだします。

相手が無茶してこない限り勝てます。


次に、5、6、4を出します。

負けます。ここで、1か10を出してきてくれたらラッキーです。


最後に、1と10と8、または1と10と3を出します。

勝ちます。



で、ウィナーと。


……長々とすいませんでした。


作『姫様、次回予告お願いします』

シタ『お前から初めて姫様と呼ばれた気が……。まぁいい』


シタ『ククク、好奇心だ!!全ては理解を超越する!次回『道を塞ぐものはミンチにしてやる』だ!!私の本気を見たいのなら見るがいい!!』


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