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14話 『勉強しなさい』

忘れてた……。

何だかすいません。

 ―――クラディ 視点―――

 

 あの後、俺達は偶然通りかかったルーさんにビショビショな姿と服とかが破れて宝物庫から出てくる姿を目撃され、姫様共々王様に少し怒られ、武道大会の話に変わった。

 

「そうだな……。春の吟遊祭(ぎんゆうさい)の日に一緒に開催と言うのもいいか……」

「おぉ、さすが父上。物分りが……ありがとうございます」

 

 何処の家でも母親ってのは権力が強いのだろうか?

 俺は、しっかりしてよう。

 

「だが……」

「だが?」

 

 姫様が戸惑ったような声をあげる。

 

「お前は溜まっている勉強をして。単位をしっかり取ったら出場を許そう」

「え……」

 

 何故、そんな固まるんだろう。

 それより、単位ってなんだろう?

 取るって言うんだから、物か?

 

「ま、それだけだ。じゃあ、勉強を頑張れよ」

「はい父上……」

 

 勉強?

 後で、姫様に単位ってのを聞いて見るか。

 

 

 ☆

 

 

 ―――姫君 視点―――

 

「そんな感じだ……」

 

 強敵へ挑むため、気合を入れている最中にクラが来て単位とは何か聞いてきたので教えてやる。

 

「……それで、勉強ができない……と」

「悪かったな……」

「いいや全然」

 

 何故か、満面の笑みで答えるクラ。

 ……まさか嬉しいのではあるまいな……。

 

「クラ―――」

「あぁ、えぇと、吟遊祭(ぎんゆうさい)って何かなぁ……なんて?」

 

 全く……、まぁいい。

 

「ベッドにでも座ってくれ」

「長い話?」

「まぁな」

 

 この国の人間なら知っていると思ったが、三年過ごしているクラも知らなかったか。

 ボフストにも説明をしておかなくてはな。

 

「私達が考えられないような昔、とある伝説があったそうだ」

「伝説ねぇ……」

 

 クラは考えるのを放棄しているらしく、私の説明を待っているのだろう。

 こっちを見る。

 

「その伝説の内容まではわからないが、その伝説を語り継いできた吟遊詩人の家系が居て、王家にもその話を語ったことがあったそうで、その詩人の一家が滅びた日を吟遊祭として決めたそうだ」

「じゃあ、もう内容はわからないの?」

「さぁな。……いや、待てよ……。これを見つけたら単位はググンと上がるんじゃ……」

 

 やはり、良人であるクラには協力をしてもらわないとな……。

 私は立ち上がり、クラの手を握る。

 

「へ?」

 

 そして、笑う。

 

「行くぞ!」

「え、えぇえええええ!!」

 

 何処まで響いたかはわからないが、兎に角私は急いでその滅びた吟遊詩人の家とやらに向かった。

 

 

 ☆

 

 

「……燃え後だな……」

「これじゃあ、何も残ってないだろうね。国が全力を挙げれば書物の一冊ぐらい残りそうなのに」

「不思議な点だな」

 

 私の脳裏に最悪の予感が過ぎる。

 だが、まだ伝説の内容だってわかってないのだ、考えるのには早すぎる。

 

「じゃあ、クラ頼んだ」

「はい?」

「例えるなら、クラは過去から未来まで操って、ミケは現在に物を投影する。こんな感じだ。ってわけで、書け」

「な、何を?」

 

 周りに好奇の目をした人々が群がっているが、クラに簡単な内容だけ伝える。

 ……クラの発表はまだ先になると父上が言っていたんだが……どうしよう……。

 

「ま、まぁ、大丈夫。なぁ、クラ」

「何が?」

「……肝心なところで役に立たんな」

「酷い」

 

 まぁ、クラも万能でないと言うことか。

 人の心なんて読める人間は居ないんだからな。

 

「よし書け―――」

 

 煙。

 周りが見えなくなり、粉っぽい物が漂う。

 

 クラの首辺りを持ち、屋敷の入り口に突っ込む。

 

 ―――ドガシャッ

 

「つぅ……ドレスなんぞ着てくるんでなかったな」

「……こ、ここは何処~?」

「とぼけた事を言うな。その吟遊詩人の家とやらだ」

「えぇ!?」

 

 ……何故、周りがクラの力を把握できているのに自分自身はできていないんだろう……。

 まぁ、気づいていたってクラだったら必要時以外は使わないだろうな。

 ……そうすると、私も必然的に使えなくなる……さて、どうしようか……。

 

「地図によると―――」

「って。地図があるの!!」

 

 態々立ち上がって突っ込んでくるクラ。

 

「当たり前だ。この家を作った奴から借りてきたんだ。そこまで燃えてなくて助かったな」

 

 まぁ、燃えていたら燃えていたで復元するだけだが……。

 

「本が置いてあるのは地下か……。行くぞ」

「え、あ、待って」

「走るなよ。埃が立つ」

 

 私が前、クラが後ろを歩く。

 ……こういうのは逆じゃないんだろうか……。

 私は物語が好きだが、いつも男が前だったぞ。

 

「……クラ、前を頼めないか?」

「い、いや、無理。姫様だったらきっと罠があっても助かるから」

「……意味がわから―――」

 

 言葉を止める。

 この家には、誰も居ないはず。

 ましてや、地下に誰かがいるなんてことは……。

 薄暗い通路の中で考える。時折クラが顔を覗いてくるが気にしてられない。

 

「進む……しかないな」

 

 どんな奴かもわからないのだ。行くしかないだろう。

 一応、クラにも敵らしき気配があることは伝えたが、さほど驚いている様子は無かった。

 ……意外だ……。と、思って関心していたら、「姫様と居たらたくさん驚く事がありますから」とか言ったのでとりあえず殴っておいた。

 

「ずる賢いのか……罠まで仕掛けてあるぞ」

「え?何処に―――」

 

 炎が噴射される。

 クラの前髪ギリギリだった。

 

「……赤化鉱石を特定の足場を踏んだら回転させるようにして炎を飛ばす。いい考えだね」

「いや、一度にそれだけの事がわかるお前もすごいんだが……」

 

 なるほど、足場を踏んで回転させるか。

 ……中にある火種が尽きるまで炎を灯せる。今度、作ってみよう。

 

「解体だ」

「って、それ聖剣じゃないですか」

「テヘッ」

「テヘッじゃない!!」

 

 賞品となったりするのだが、一度や二度で壊れるものじゃないだろう。

 この剣の特殊能力なのか知らないが、体力のような物を剣に溜めて一気に放つ。

 ……あの狂っている男の真似みたいでなんか嫌だ……。

 

 衝撃を放ち罠を破壊する。

 

「……解体じゃなくて破壊ですか」

「解体だ」

 

 最後にはクラが折れ、解体となった。これが勝利の気分というやつか。

 少し歩くと行き止まりに辿り着く。

 

「……おかしいな。破壊しよう」

「ちょ、待って。今のおかしい!」

「あぁ、おかしいな。こんな所に壁は無いはずなんだが……」

「違う!そっちじゃない!」

 

 何だか五月蠅い奴だ。

 破壊して消える。自然の法則だ。

 

「ッ……後ろから気配……」

 

 しばらくして、クラも気づいたようで後ろを向く。

 

「ドモドモ」

 

 見たこともない、赤い髪を逆立てて、色々と装飾品をつけている男だ。

 その一つ一つに何か仕込んであるようだ。

 

「アチャァ~、今回の敵は大きすぎるね。一国のお姫様ですか?ふざけてるよ。笑えない冗談ってのはあるんだね」

「クラ、壁は壊せるか?」

「無理」

「じゃあ、あいつを倒せるか?」

「無理」

「じゃあ、下がっていろ。私があいつを倒し、道も私が示してやろう」

「……ホント俺って役立たずだ……」

 

 そんなこと無い。

 私に力をくれているのはクラだぞ?

 

 珍しい事に、恥ずかしくて言えなかった。

 だが、久しぶりだ。

 剣をもって暴れられるってのはいい。

 

「っと、待った。敵って言ったけど戦う意思はもう無いから。ね?」

「この聖剣が血に飢えている……」

「それじゃ、魔剣デショ!!」

 

 何を考えているかわからない奴だ。

 こういう場合は、冷静に見ても罠に掛かる。

 だったら、相手の準備が整っていないうちに予想外の行動をしてやればいい。

 

「自己紹介だ。私の名前はシタル・メーグル・トルト。わかっている通りトルト国の姫だ」

「う~ん、自分の名前はロイ・クロノ。ジャンカーだよ~」

 

 ジャンカー?

 ……ゴミのような素材から発明品を作ったり研究したりする職業だが……。

 

「戦闘をこなすジャンカーなど聞いたことが無いぞ」

「自分はト・ク・ベ・ツなのよ~。真っ赤な羊さんは血を浴びているんだよ?」

 

 意味のわからない例えをするな……。

 まぁ、いい。

 

「死ね!!」

「おっと、炎圧放射。防御ダ」

 

 目の前に円状の炎が広がる。それと同時に、さっきの奴の気配が消える。

 向こうに居た奴の気配も消えたな……。

 

「赤化鉱石をあんな使い方をするなんて……」

「……この国に一体何の用があったんだ?」

「姫様が敵って、一体何をやらかしたんですか?」

「なっ、私は何も……していない!」

「その間が気になりますね」

 

 クラの癖に痛いところを突いてくる。

 

「しかし、クラ。私たちは一番最初にこの家に入ったはずだ。何故気配があったんだ?」

「ジャンカーがいるなら納得できますよ。機械神ってのは実力あるものに試練を出す。それを成功させれば力が手に入る。何処かで、一定の廃材を捧げることで転移できる神術があると聞いたことがあります」

「……難しい……」

「え?」

「い、いやぁ、なんでもないぞ」

「……いや、難しいって……。……ここから先の調査は他の人に任せて姫様は勉強しましょう。早くしないと馬鹿になります」

「ば、馬鹿って……そりゃぁ……そのさ……な?」

 

 少しぐらいいいだろう。

 こんなに頼んでいるのに……。

 

「さて、問題です。『こんな』とは、どれくらいでしょう?そして、何故頼んでいるのでしょう?」

 

 コイツ心が読めるのか?

 じゃ無くて……こんな……い、一年ぐらいかな……いや、一年半か……。それ以上だったかも……あ、あらら。

 何故頼んでいるかは簡単。勉強がしたくな……クラの癖にクラの癖にクラの癖に―――。

 

「クラの癖に!!」

「ってわけで帰りましょう」

「あぁあ~~」

 

 クラの癖に……。

 

 

 ☆

 

 

 ―――クラディ 視点―――

 

 とある家の地下で姫様の馬鹿が発覚したので、勉強を一からやり直してもらっています。

 ヒゲ老人先生に頼んで勉強を教えてもらっている姫様は、軽く俺のほうを睨んでいる。

 自業自得だ。

 

「んじゃぁ、俺は報告に行ってきます」

「王のところか?そういえば、おぬしらが帰ってきたときは城下が騒がしかったからな……何かあったのか?」

「……怪奇現象が起こりました」

 

 いきなり、建物が現れるなんて怪奇的もいいところだ。

 しかも、姫様はこれが詩人の家だ何ていうし。また、何かやったんだろうか?

 まさか、文字を見て再現するって隠れた能力を持っているんじゃないだろうか……。

 

「わ、私も行って―――」

「ダメ。勉強しなさい」

「……クラのバカ……」

 

 俺が馬鹿だったら、姫様の脳はどうなっているんだろう。

 まぁ、俺は政治と現代文字だけ覚えればいいから平気だけど。

 ……周りは何故か古代文字も覚えろというが……おかげで古代文字は半分くらい覚えてしまった。

 

「それじゃあ、行ってきます」

「はいよ」

 

 部屋からでて王様のところまで向かう。

 

「あ、クラ様」

 

 ニコリと笑う天使の二つ名が似合うルーさんが現れた。

 どうやら、闘技場の点検をしている建築士さんにお茶を持っていくところらしい。

 

「忙しいですね」

「はい。クラ様の専属なのに……。最近、忙しそうですが大丈夫ですか?」

 

 敬語でないメイドってのもいい。

 うん、前に会ったのなんてガチガチにフル装備の言葉攻めをされてムキになって反撃して相手に知恵熱を出させたり……。

 

「大丈夫といえばね。ルーさんの方が大変そうだけど?」

「ありがとうございます。でも、私は意外とタフなので大丈夫です。それでは、急ぎますので……」

「ん、じゃあね」

 

 楽しい時間というのはすぐ過ぎるようだ。

 何故か、殺気のようなものが感じられるが、夜に襲われない様に注意していれば大丈夫だろう。

 

 豪華な扉を何枚か通り過ぎ、一つの大きな扉の前に立つ。

 

「何か用ですか?」

 

 門番の兵が聞いてくる。

 

「ちょいと、姫様が暴れたので」

 

 納得したように扉を開けてくれる。

 父親と母親以外には注意できる人が居ないからこう、噂になるんだなぁ……って感じたり。

 

「しかし、外に漏れないってのがすごい」

 

 まぁ、姫様のじゃじゃ馬が外へ知れても大して変わらないと思うけど……。

 

「また、あの娘が何かやりましたかな?」

「今度は、単位を取ろうと必死で勉強してました……途中まで」

「途中まで?」

「……俺がいけなかった……。吟遊祭の由来を聞いてしまったから……」

 

 それでわかったのか、オリエル王が苦笑いをする。

 

「それで……図書室が荒らされた……とかかな?」

「いや、詩人の家が復元されました」

「……聞き間違いかな。家が?」

「元通り。復元されました」

 

 オリエル王は意外と耳が遠いんだろうか……。

 

「い、急いでそこへは兵を向かわせるとして。どうやって?」

「すいません。どうやってかはわかりません」

 

 俺の憶測を話すわけにもいかないだろう。

 

「……クラ君……今日は一緒に食事をしないか?」

「え?あ、はぁ。こちらからお願いしたいくらいです」

 

 まぁ、そんな権限俺には無いんだが……。

 

「それはよかった。今日の晩を楽しみにしているよ」

 

 話が終わり、俺は部屋から出る。

 

「何を姫様はやらかしたんだ?」

「秘密にしてもバレちゃうしな……。まぁ、いいよ」

 

 ナックに説明する。

 それと、門番の兵士と友達になった。

 名前はナックと言うらしい。

 

「じゃ」

「あ、あぁ」

 

 信じられないといった顔で手を振ってくれるナック。

 オリエル王も驚いていたけど、一々驚いていたら姫様と付き合っていけないと思う。

 

 それから、夜まで勉強と読書を繰り返し俺は部屋から出た。


『後書きと言う名の調査プロフィール』


クリシェル・ボフスト 男 15才


説明 出身地や経歴不明。ただ、動物を信仰する部族出身(?)。幼少から狩りなどをしていてそれなりの強さを持つ。


『人生表


0歳~15歳


不明。


15歳


クラと出会う。


以上』


容姿


小麦色に焼けた肌とそれに似合う髪を持つ。腰にさほど大きくない棍棒を持っている。比較的軽い装備。


能力


『無し』


概要


神を信仰していない。


作者から「色々ある奴です。末永く見守ってやりましょう。動物への愛情(信頼?)をもう少し収めましょう」


ボフ『動物は仲間であり、同志であり、神の化身だ!!っと、次回予告だ』


ボフ『ま、まさか、そんな……。それは……。次回!『王妃様のヒ☆ミ☆ツ』コレは女子がやったほうがいいんじゃないか?』

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