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第12話:身の丈に合った武具

どもどもべべでございます!

祝日を執筆で埋める幸せ。うん、シナリオも作んないとなぁ。

これでようやく装備が揃います! 次の次くらいで、ようやく冒険に行きますよ~!

 

「うぅ……あんなに弱いなんて、男として自信無くします……」


『まぁ、ガキなんだから仕方ねぇわな。これから鍛えて行くしかねぇよ』


 これに関しては、もはや何も言うまいよ。

 こいつががっつり一般人だなんて事は最初からわかってた事だからな。むしろ、許容範囲内の能力が3つもあって良かったと考えるべきだ。


 知力は……最低限の読み書きと、計算ができるからだろう。この歳でここまでの事が出来るのは珍しいことだ。冒険者となったからには覚えておいて損はないから、知力として反映された訳だな。

 ただ、★2つってなると、何か別の意味で際立つものがあったか、何かを学んでいたか、だな。これは後日聞いてみるのもいいかもしれん。


 精神に関しても、あの汚れ切った便所を、1日で3つも掃除できる胆力があるんだ。もっと高くても良いくらいなんだが……生来の臆病さが足を引っ張ってあの結果なんだろう。

 魔力に関しては言わずもがな。これから伸びればいいんだがな。


 結論として、こいつの能力値は、完全に魔術師系統に寄っているという事が判明したわけだが……さて、装備はどうするか。

 正直、この能力値を見本にただ魔術師用の装備を整えた所で、こいつには使いこなせないだろう。まだ1つも魔法覚えてないし、魔術師系統の装備は薄いから死ぬし。

 とはいえ、重たい鎧はこいつ着れないしな……俺としては絶対に欲しい装備が1つあるが、それが買えるかが肝って感じだな。


『よしハノン。それじゃあ装備を買いに行くぞ』


「うぅ……は、はい……」


 俺に促されるままに、ハノンは足を進める。

 こいつに見合った装備を選ぶのは、中々に骨が折れそうだ。





    ◆  ◆  ◆





 冒険者ギルドからほど近い場所。竜の吐息亭とは反対側に位置する通り。

 そこに、俺達が目当てとする武具屋はある。

 グランアインの町の冒険者がだいたい世話になってるのがここ、【ハイゼン】だ。


「おぉ……かぁこいい」


『ゴテゴテしてるだけだっての。いいやいいやで商品入荷すっから外にまで飛び出てるんだよ』


 そこは、完全に鎧に着られたマネキン人形や、樽に突っ込まれたセール品の刀剣などの商品が雑に置かれた店だった。ぶっちゃけ、整理整頓出来てなくて腹が立つことこの上ない。

 外見でこれなんだから、中がどんなもんかなんてのは想像に難くない。これでグランアインで一番の武具屋なんて言われてるんだから、恥ずかしい話である。他の町や国にはお見せ出来ない場所だな。


『ま、それでも品揃えは申し分ないし、品質は良い方なんだ』


「また癖の強そうな感じなんですねぇ……」


『まぁな。ほれ入った入った』


 ハノンがおっかなびっくり中に入ると、鉄の匂い、そして手入れ用油独特の匂いが出迎えてくる。

 明らかに、武具()()()()()()()だな。人間に対して全く配慮されていない狭い通路に、薄暗い店内。ジャンル分けされていない商品。

 売る気あんのかこの店。


「おぉ、いらっしゃ~い」


 そんな魔境の奥にあるカウンターの向こうに、ほうれい線の目立つおっさんが座っていた。

 油で汚れた顔に、剃り残された髭。細い瞳にニヤケ顔。

 その手には、見事に磨き上げられた曲刀が一振り握られている。今はあいつを手入れ中か。


「ごめ~んね。オジサン今この子のお相手してるもんだからさぁ、適当に見てってよぉ~」


「え、ぁ、は、はい……」


 まぁ、予想通りだな。

 この店長は、武器をいじりだすと他の事を一切しなくなることで有名だ。それこそ、飯時以外は延々手入れしているような変態である。

 こんなことしてたら普通は潰れるんだが……昔っから、ギリギリ店を潰さないラインで商売してきた店長でもある。目利きは確かなんだけどなぁ……天は二物を与えねぇな。


『ま、ここはいつもこんなもんだ。俺が装備は選んでやるから安心しな』


「は、はいっ」


 さて、そうと決まったからには、まずは色々と見てまわんねぇとな。

 ハイゼンは商品の回転が早い。棚の場所なんざちょくちょく変わる。だから朝や昼に来て、夕方くらいまでお目当てを探すなんてざらにある。

 本当なら、こんな店より他の武具屋に行きたいもんだが……さっきも言ったように、品揃えと品質だけは良いんだよな……この店は、宝探しの店って感覚で見た方がいいだろう。


『さて、と。ひとまずお前言っておく事がある』


「なんですか?」


『今日は、ここで全財産のほとんどを使う事になるからよろしくな』


「ふぁ!?」


 驚いているようだが、当然である。

 残ってる銀貨30枚。これらのほとんどを使い切るような装備でないと、ハノンは絶対に生き残れないからだ。

 特に防具だ。こいつみたいな貧弱な小僧っこが、布のローブなんか着てた日には即日で小鬼ゴブリンのおやつが確定する事だろう。


『これは俺の自論だがな……良い武器を持ってたって強いとは限らん。だけどな、良い防具を着てないと、死ぬんだよ。当然だよな?』


「そ、そう……ですね」


『わあったなら、金を吐き出す覚悟を決めろ! さぁ探すぜ!』


「は、はいぃ!」


 ハノンの尻をひっぱたいて店内を散策させる。

 その間に、俺もお目当てを引っ張り出してこようかね……。





    ◆  ◆  ◆





 んで、もう何刻経った?

 ずっと屋内にいると、感覚わかんなくなるよな……。


「……よ、ようやく揃いました、ね……」


『この店……マジでごちゃごちゃしすぎなんだよ!』


 結局、ハノンの装備が揃うまで、本当に一日がかりの作業になっていた。

 この後、ギルドに行って明日の依頼を確認しなくちゃなんねぇってのに! やっぱ潰れちまえこんな店!


「そ、それで……これが、僕の装備です、か?」


『あぁそうだ。現状、お前が生き残る目がある装備はこれらだろうな』


 俺達が見つけてきた……いや、発掘した装備の数々を見て、感慨深気にため息を漏らすハノン。うん、こうした過程を経ての出会いならば愛着はつくかもな。

 一応リストアップしてみたぞ。


 《武器リスト》

 ・解体用ナイフ (銅貨50枚)


 《防具リスト》

 ・硬化魔術付与済みローブ (銀貨7枚)

 ・厚手のブーツ (銅貨20枚)

 ・鉢金入り鉢巻 (銅貨15枚)


 《携帯品リスト》

 ・異次元バッグ(極小) (銀貨2枚)


 んで、目玉が……これだ。


「盾、ですか?」


『持ってみな』


「んっ……あ、軽い……」


 《目玉商品》

 ・軽銀の盾 (銀貨20枚)


『諸々ひっくるめて、合計銀貨29枚、銅貨85枚なり!』


「ほ、本当にほとんど使い切りましたね!? 残りが……銅貨15枚しか残りません……」


 うん、銅貨100枚で銀貨1枚だからな。そういう計算になる。

 いやぁ、この店ならあると思ってたぜ軽銀の盾! こればかりは他の店にはあんまり出回らねぇ品だからなぁ。


『その盾はお前の生命線だと思って大事に使えよ? 一番安い盾じゃあ、重すぎてお前には持てないんだからよ』


「え、えっと、これなら、僕にも持てるから、高いんですか?」


『あぁ、女子供でも持てるよう、軽量化の魔術を付与してあるエンチャントの盾だ。そこのローブもそうだが、基本的にエンチャント式の武具は高いんだよ』


 そんな中でも、軽銀の盾はトップクラスの優良武具であると俺は思っている。

 強度も充分で軽い。円形の構造だから戦闘外でも応用が利く。鉄貨級から銀貨級まで、幅広いニーズを獲得している盾だ。

 いかんせん、高いのがネックだがな。ローブは単純な硬化……というか衝撃吸収効果の魔術だが、軽銀の盾は衝撃吸収(小)に加えて軽量化、そして自動修復(小)つきだもんなぁ……。


『いいか、盾だけは絶対に妥協するな。買った後も、自分の身体に合うまでしっかり調節しとけよ?』


「は、はい……」


『盾に関しては俺に一日の長がある。色々教えてやるよ』


 かく言う俺も、生前は盾メインに戦う片手剣戦士だった。剣なんかは咄嗟に拾ったもんを使いまわしてもいいと思うが、盾だけは必ず専門の調節師に頼んでいたもんさ。


『じゃあ、買いに行くぞ』


「あわわわ、は、はい! ……あの、ちなみに武器は……」


『今のお前に武器を扱える余裕は絶対ない。シールドバッシュなら教えてやるからそれメインでしばらく繋ぐぞ』


「なるほどぉ……」


 こうして、俺達はハノンの装備一式を手に入れたのであった。

 ちなみに、こんだけの代物を明らか初心者であるハノンが買っていたのに、店主は「ふぅん?」しか言わずに普通に売っていた。

 やっぱ商売向いてないよアイツ。

 

ちなみに、この段階でハノンをゲーム的に表現するとこんな感じ。


ハノン

攻撃力:0 → 5

防御力:0 → 13


エンチャント無しのローブ、軽銀の盾無しですと、この防御力は5まで落ちますね。

高い金で良いモノ買ったので、雑魚いハノンくんでもそこそこ生き残れる目がある数字になりました。

問題はHPの低さと攻撃能力の皆無さですけどw

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