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私の弟は、おかしい【完】  作者: 湊つぐむ
3/5

何かが、おかしい私




家に帰り、萌葱が晩御飯の準備をする間、


私は風呂掃除をしとく。


どうせ、父も義母も仕事人間で帰ってこない。


今日も萌葱と二人だけ…


恐らく萌葱とは互いに一番長い時を共にしている。




だからだろうか…この邪な感情は…、






「なぁー、浅葱ー?」




呆然としたまま風呂の洗剤を落としていると


急に背後から萌葱に声をかけられた。




「なにー?」




形ばかりに聞き返すが、


どうせ、夕飯は何がいいとかそんな所だろう。




「さっきの誰?」




ドクッと心臓がなったのがわかった。


別に、萌葱はいつもの声でいつものように


なんとなく聞いただけだろうけど…


それでも私は嬉しかった。




「うちのクラスに転入した子だよー。」




まるで嫉妬してるようだと思えたから。


現実はそんな簡単じゃないけど…




「そっかー彼氏かと思ったよ~。


いいか浅葱。彼氏が出来たらちゃんと俺に教えんだぞ!


未来の義弟になるかもしれないんだし!な!」




「っ…うん、!そーだね、!!」






私は、いつまで上手く笑わなきゃいけないのかな…






***






今日もまた、煩いのが私に突っかかる。


私が遅刻ぎりぎり常習犯のおかげで


朝は話しかける暇なくHRが始まる。




中休みの度に話しかけようとしてくるので


その度に特に用もないのに京藤の机に向かう。




「お前マジであの転入生に惚れられたんじゃね?」




「は?何言ってんの?馬鹿なのぉ死ぬのぉ?」




京藤の阿呆は今に始まったことじゃないけど


遂に老化が進んだのか…可哀想に、、




「老化じゃねぇーよ!本当にお前失礼な奴だよな!」




「なになに?紺野 浅葱は超絶美少女?


なに本当のこと言ってんのぉやっだ照れる~ww」




「クッソwざけんなww


こっちは真面目な話しようとしてんだよww」




「…真面目な話し??なにそれ?」




「アイツ、朝、お前が学校来る前に


俺んとこ来て「紺野さんと仲いいのか?」


って聞いてきてさー。」




「お前、なんて答えたの?」




「『いや、全々。』ってww」




「おいコラてめぇ、ざけんな


何気に私の心ガラスハーツなんだぞ…


友達でしょ?ね?ね?仲いいよね?」




「はーいはい、俺らマブダチマブダチだから泣くなー」




そう言って頭をぽんぽん叩く京藤…




「調子のンなよ京藤のくせに、」




「……お前、本当に可愛げねぇ!!」




コイツのこういういじられキャラなとこ超好き。


もちろん、友人としてね。


なんかいじめがいがある。




「…コイツ絶対にドSだ((ボソッ」




「…聞こえてんだよ?京藤くぅん??」




そういえば京藤のせいで忘れてたけど


転入生、コイツに私と仲いいのか聞いたんだっけ?


無意識に転入生の方を見ると何故か


またこっちをガン見していて目が合ってしまった。


即座に視線を逸らした。




(…アイツ、なんで睨んでたんだ??)






***






「…ない、」




萌葱がまた、委員会で遅くなるので


いつも読んでいる本を探すもどこにもない…




(誰かに借りられた…?あの本を?)




「探してるのはコレ?」




本を探すのに夢中で図書室に


いつの間にか入ってきた男に気づかなかった。




「…櫻葉くん、」




その手には私が昨日、読んでいた本。




「『”近親愛”』?こーいうのが好きなの?」




「…別に、ソレを探してたわけじゃ…」




「でも昨日コレ読んでたよね?」




タイトルを見えないように隠してたのに


どうして知ってるんだよ…


そして転入生は不敵な笑みを浮かべた。




「そんなに弟が好きなの?」




「…は?」




何言ってんだコイツ。




「弟なんていないけど?」




「…………………え、」




「ソレ、確かに読んでたよ。


実はソレ”漆原京夜の作品”だから


コレクターが何億単位で札束を積む代物だよ。」




初めてこの図書室でこの本を見つけた時、


確かにタイトルに気を惹かれた。


そして読んでみたらとても共感出来る内容で


作者が気になって調べてみたら


昔、起こった殺人事件の犯人が書いた作品だった。




「違うでしょ、別に隠さなくていいんだよ?弟が好きなんだよね?」




(…気持ち悪い、)




本当にコイツは私を腹立たせる天才だ。


出来ることなら一生、私の視界に入らず、


声も届かない所で一切の接触を断タって頂きたい。




「いや、別に。ていうか本当に何なんですか?


しつこいですよ?私には兄だけで弟はいませんって。」




「兄って昨日、迎えに来た人?」




「そうですけど…」




転入生は少し考える素振りをして


「勘違いだった。ごめん。」と謝り去っていった。


…まぁ、いっか。これで関わってくることもないだろう。





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