面倒ごとを回避したい
シャチのお嬢は海でやんちゃをしすぎたため、カイγーン直々の分からせ噛み噛みをされて、躾され、しばらく人型で過ごした。
ほぼ人型、180㎝で18歳ぐらいの青い光沢の美しい黒髪の美人である。口が耳までぱっかりと開き、歯がみんな尖っているので、すぐに人ではないわかるため、色彩鳥が普通の唇にあたる部位に、肉感的、魅惑的な唇に見えるように永久着色して、軽い幻覚魔法で顎まで裂け目を見えにくくしている。
人里に出すとトラブルが多い(一見美人である)。
海に出すとやんちゃする。
困った娘であったが、生後1年近くになると落ち着いた。
ああ、やれやれと領地全体が安堵していたら、保護期間が明けた。
「とりあえず、同盟的な集落に挨拶してきますねー」
と、魔界に時空固定し、門を開いて、外交担当の者が飛んでいく、もしくは走っていく。
敵対した伯爵が奴隷にしていた連中で、元の場所に帰った者たちとは相互互助っぽい約束を一応はしていた。
カイγーン領が助けることの方が多そうだったが、毒の森の安定と把握(他勢力が入ってきたときに情報を伝令してくれることの期待)として、同盟がある。
「毒の森、北部にて大きな集落が発見されました」
長が報告をまとめてやってきた。
ちなみに、カイγーン領の入り口は毒の森南付近である。ざっくりというと、中央に近い、南であるが。
300年ぐらい前に、4カ所に落とされた計1万2000の悪魔が、初期は分裂し、それでも森全体で150人切っていたため、あっちこっちで合併したりした結果、なんとなくみんなで中央寄りになっていったという。
で。北部の者は西部に吸収されて空っぽになっていた。そして北西合併集落は20人ぐらい。
「母槐から新規悪魔が落とされたにしては、早いな」
カイγーン領は人間界に時間軸を同化しているので感覚としては1年前でも、魔界では40日しか経っていない。20日前後で子は生まれるが、人の姿を得るのに、7週間を必要とする。その後、そこそこに育成すると、やはり半年は必要。
「100人超えの相手に、さすがに怖いそうで、保護されたい様子ですが直接には打診はありません」
「あいつらにしてみたら、半年ぐらい前に『保護されたくない』って突っぱねてるから、意地もあるだろうしな(解放した奴隷のことだと思っている)」
「いえ、そっちではないです。元奴隷は砂漠にいったので。こちらの話は元の住人で、同盟は私の祖父あたりからの持ち越しです」
「そっちか。音沙汰ないのと、任せきりだったから、意識になかった。保護されたければ、嘘が分かる連中に精査させてから受け入れれば良いと思うよ」
「ありがたく。前に打診したときにはまだ55人はいたものですが(だから、保護されるのを拒んだ)。時間の流れは残酷ですな」
カイγーンは新勢力のこともそうだが、新入りに関しても、面倒ごとが起きるな、と察した。
20人ぐらいなら自分でやってもいいのだが、子を産みたい男悪魔は多いだろうし、今後も見据えると・・・。
「色欲の爵位持ちと、生殖能力有りの女性・男性の性転換魔法使用できる悪魔を増やす必要があるかな。子作りを長に全振りはさすがにそろそろ、しんどいだろうし」
「里の者はともかく、よく知らない悪魔まで、相手したくはありませんな」
砂漠に行った連中も10年もすれば、人口が減っていく。
数は力で、しかし実質世代を経るごとに半減していく集落や領地の数を保つには併合や侵略をするほかないのだ、今までは。
今やその常識は覆る。
うまくやれば、現状維持。
そうでなくても、微減、軽減ですむ。
それが、カイγーンが開発した男悪魔女体化妊娠可能、という魔法である。
ちなみに大集落は爵位持ちの領地の出入り口だった。




