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風花夜月妖譚【かざはな やげつ ようたん】  作者: YUQARI
第三章 お寺の奥の深い洞窟
32/36

重たい洞窟への入口。

 お寺の中は薄暗かった。


 そりゃそうだよね。もうとっくに日は暮れてしまったんだから……。

 昼間は太陽の光が差し込んで、明るかっただけれど、今はもう夜だ。


 外では、たくさんの星の光が輝いていて、暗闇に慣れさえすれば、その淡い光だけでうっすら辺りの様子が(うかが)えた。


 けれど、お寺の中は違う。

 燭台の灯りがなければ、真っ暗闇だ。


 僕は自分が光っているせいなのか、余計に辺りが何も見えず戸惑った。けれど、和尚さまは迷うことなく、本堂へと急ぎ足で入っていく。


 その和尚さまに抱かれている僕は、いつか柱にぶつかるんじゃないかって、ビクビクしていた。

『──……っ、』

 ど、どうして迷わず進めるの……っ!



 身を強ばらせる僕に気づいて、弦月(げんげつ)和尚さまは、困ったように笑って言った。


「おお……。怖がらせてしもうたか。すまなかった。

 儂は目が見えぬゆえ、陽の光も夜の闇も関係ないのじゃよ。

 ……さすがに見えなくなった時は、怖かったがの」

 ふふふと和尚さまはそう言って、愉快そうに笑う。


「もう少し、辛抱するんじゃぞ? 洞窟の中に入ったなら、瑠璃姫が狐火で明るく照らしてくれているからの」

 言いながら、お寺の奥へと急ぐ。


 その言いようはまるで、信頼しきっている友だちの話をしているかのようで、僕は驚いた。


 ……瑠璃姫さまを封じたのは、和尚さまじゃないってことなのかな?



「うん……」

 僕は頷いて、ぎゅっと弦月(げんげつ)和尚さまの(ころも)を握りしめた。




  本堂にたどり着いた頃、僕の目もいくぶん暗闇にも慣れ始めて、周りの様子が見えるようになっていた。


 本堂の真ん中に安置された、巨大な阿弥陀如来(あみだにょらい)像の裏に、その問題の地下洞窟への入り口はあった。


『……こんな所に扉が……』

 僕は呟く。


 僕はまだ、お寺の事はよく分からない。

 阿弥陀さまの後ろなんて、行きもしなかったから、こんな扉があるなんて、知らなかった……。


 鉄の扉は頑丈で、とても僕には動かせそうにない。


 鍵は掛かっていなくて、弦月(げんげつ)和尚さまは、僕を床に下ろすと、その重たい扉を力を込めて開ける。


「ふん……っ!」




──ギギギギギギ……。




 鉄の扉は、不気味な音を立てながら、ゆっくりと開いていく。




──ビュオォォォ……。




『!』


 地下洞窟から、冷たい風が吹いてきた。


 冷たいどころか、いっそ凍りそうなその冷気に、僕は慌てて和尚さまにしがみつく。

 和尚さまは、そんな僕を見て(いや、見えないけど)少し笑った。


「はは。……そんなに怯えんでも大丈夫じゃ。

 瑠璃姫は、ああ見えて優しいからの。

 ……ほれ、この下に瑠璃姫がいるぞ」


 静かに弦月(げんげつ)和尚さまはそう言って、下へ下へと降りて行く。


 僕はその後を、てとてと……とついて行った。

 タマも辺りをキョロキョロ見廻しながらついて来る。


 こっそりついて来たタマだけど、多分和尚さまには気づかれてる。

 だって開けた鉄の扉をほんの少し、開けたままにしていてくれたもの。



    挿絵(By みてみん)


           × × × つづく× × ×


   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

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        更新は不定期となっております。

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