変化の練習と瑠璃姫さまの存在。
グググッと頑張る僕を見て、タマは呆れたように溜め息を吐く。
『分かったニャん。しょうがニャいなぁ……』
『本当! やったぁ!!』
タマのその顔は、意外にも笑っている。僕は嬉しくて飛び跳ねた。
やった! これで九尾に近づける……!
タマはもしかしたら、こうやって頼られるのが好きなのかも知れない。
しっぽを掴んでお願いしたのがいけなかったのか、最初は嫌がっていたタマだけれど、僕に変化を教える段となると、始終ニコニコして、どうやって教えようかと、頭を捻っていた。
『う~ん。でも、どうやったかニャぁ。慣れると考えなくても出来るようになるのニャん』
どう教えたものか……と困った様子でタマは、う〜んと頭を捻る。
誰かに頼られるのは好きでも、こうやって改めて、誰かに何かを教えることなんて、やった事がないのかも知れない。
まあ、そりゃそうだよね。僕たち妖怪だし。
基本妖怪は、他に干渉しない生き物なんだ。何かを誰かに教えるなんて状況自体が、珍しい……。
タマは《こうでもない》《あぁでもない……》としばらく考えて、ポン! と手を叩く。
何か思いついたようだ。
タマは小さく、ニヤリ……と笑って僕を見た。
そしていきなり、くるりっと宙返りしたかと思うと、人間の女の子になっる。
《おおー!》と僕は歓声を上げた。
そう! これだよ! これ!
僕がやってみたいのは……!
『すごいすごい!!』
僕が割れんばかりの拍手をすると、タマは上機嫌になった。
「うふうふ。そお? そんなに褒められると照れちゃうニャ」
タマは自分の頬を包み込むと、クネクネと揺れながら照れて見せる。
「確か最初はねぇ、葉っぱを頭に乗せて、なりたいものを思い浮かべるのニャ。
それから一廻転しながら変化する。
集中するのも大切だけど、勢いも大事。さすがにこればっかりは、感覚を体に叩き込むために、練習あるのみニャん。分かったニャん?」
それからまたうーんと唸り、何事か思い出しながらタマは教えてくれる。
「あ、そうニャん。妖力が足りないと、変化は出来ニャいけれど、この古寺には瑠璃姫さまがおられるから、力を貸してくれるニャん。
自信をもってするといいニャんよ?」
タマはふふふと笑った。
その顔は少し、得意げだった。
「瑠璃姫……さま……?」
そっか、そうなんだ……。と、僕は少し驚く。
確かに、木々には瑠璃姫さまの狐火が灯ってはいるけれど、僕はその姿は一度として見たことがない。
だから、《瑠璃姫さま》は、実はこのお寺にはいないじゃないかって、少し思ってた。
確かにここは《黒狐寺》って名前がついているけれど、僕はその姿を見たことがなかったから。
だから瑠璃姫さまがどんな妖怪で、どんな力を持っているのか、僕は未だ全く知らないんだ。
それなのに、瑠璃姫さまと同じ九尾になって、仲良くなりたい! なんて、おかしな事を言ってるけど、でも実際はそうなんだ。
見も知らぬ仲間を求めて頑張る僕って、ちょっと滑稽だよね?
でもいいんだ。そうやって頑張る何かがあるだけで、僕は救われる。
……ただ、本当に瑠璃姫さまって、本当にここにいるのかな? って思ってる。
だって、ごはんの時だってその姿は見なかったんだよ? 一日中ごはん食べていないって、そんなのありえる? ありえないよね?
僕だったら、絶対に無理!
だから僕は、《瑠璃姫さまは、少し遠くにおられるんだな》って思ってた。
術の遠隔操作……ってなると、とっても難しいと思うんだけど、九尾の瑠璃姫さまなら出来るのかも知れない。
遠くから狐火を灯せるような、そんなすごい力を瑠璃姫さまは持っているんだと、僕はそう思い込んでいた。
それなのに、瑠璃姫さまはこの寺にいる──?
僕は目を丸くした。
× × × つづく× × ×
┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈
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