表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/36

おおらかなタマ

 

──『《人間》じゃない』




 それは一目見て、すぐに分かった。


 だって目の前の女の子の頭には、可愛らしい三毛色の耳が、ちょこんとついている。



『……誰?』

 僕は目を細めて尋ねる。


 怪しい奴なら、僕が追い出さなくっちゃ!



 和尚さまも只者ではないとは思うけれど、あんなに優しい人が悪い人だなんて、とても思えない。だけど目の前のヤツは明らかに妖怪で、妖怪って言えば、おおかたそれは悪いヤツだ!


 それに和尚さまは目が見えないんだから、僕がしっかりお手伝いしないと……!



 僕に誰かと尋ねられて、その女の子は膝丈(ひざたけ)の赤い着物をパタパタとはたき、縁の下から出て来た。


 カラコロと下駄(げた)が鳴る。


「わたし、タマって言うニャん」

 答えながらタマは、にこりと笑う。悪いヤツには見えなかった。


 タマは笑うとほっぺに、小さなエクボが二つ出来る。それが可愛かった。



「そして、お前は誰ニャん?」


 くりくりとしたその緑色の目を、タマは僕へと向け、首を傾げる。髪飾りの鈴が可愛らしい音をたてる。お尻のしっぽが、クネクネと動いた。


『!』

 そこで僕は気づく。

 あ。しっぽの先が割れている。猫又(ねこまた)……って言うやつなのかも知れない。



『……僕は狐丸だよ』


 先程つけてもらったばかりの僕の名前を、そのまま口にする。初めて口にするその名前は、なんだかくすぐったい。


「ふーん。……そのまんまニャん」

 けれどタマは ぷぷぷと、両手で口を押さえて笑った。


 笑われて、僕はぷっと頬を膨らませる。せっかく付けてもらった名前が、台無しにされた気分だ。


『む。和尚さまに、つけてもらったんだぞ!』

 カッとなって、思わず大きな声を出した。

 自分でもその大きな声に驚いてしまって、僕はハッとして、慌てて口を手で押さえた。


『あ。……ごめ』

 和尚さまと話せたから、気が緩んでいたけれど、僕は出来るだけ友だちが欲しい。色んな人と仲良くなりたかった。

 それなのに、開けてみれば、僕ってば怒鳴ってばかり。


 こんなんじゃ、誰も友だちになってくれやしない。誰かと関わるって言うのは、難しい事なんだな……と改めて反省する。



『……』

 ちょっと嫌な事を言う相手ではあったけれど、目の前の猫又……タマは、会話をしてくれた二人目の人物だ。機嫌を損ねさせたくはなかった。



 けれど、タマは機嫌を損ねるようなことはなくて、むしろ面白がって僕に近寄って来る。


「和尚さま……? 弦月(げんげつ)和尚さま?」

 聞き返しながら、タマの目がキラリと光った。


『……う。そうだよ』

 僕は後ずさりしながら答える。



 するとタマはふーんと言うと、つまらなそうに話を変えた。

「……あの木についている鬼火は、瑠璃(るり)姫さまのものニャん」

 木の枝についている、青白い炎の正体を教えてくれた。


『瑠璃姫?』

 知らない名前だ。

 僕は聞き返す。


 するとタマは驚いて、三毛の可愛らしい耳をピンッと立て、小さく唸る。

「瑠璃姫!? 違うニャん! 瑠璃姫『さま』ニャっ!!」

 ムッとして、タマは訂正した。そんなに怒らなくてもいいじゃないか。


 怒られて、僕は逆にムッとした。

 僕は瑠璃姫なんて奴は知らない。だからただ聞いただけだ! それなのに、なんでそんな言い方するんだろう?



  もっと優しく教えてくれるとか、出来ないの!?



『……っ』

 僕の頭の中で、そんな思いがグルグル廻る。

 でも僕はそれをぐっと堪えるて、口を開く。



『……で? その《瑠璃姫さま》って誰なの?』


 バシッ! バシッ! と僕は自分の白くてふわふわのしっぽを揺らしながら、唸った。

 正直、少しイライラした。だって言い方ってものがあるだろう? 僕とタマは今 出会ったばかりで、僕はここの事について、なんにも知らない。

 知らないのが当たり前なんだ! それなのにタマったら!


 ……でもそれは言えない。僕はタマと仲良くなりたかったから。

 少し嫌な感じだけど、でも、友だちが欲しかった。だからそのイライラを、しっぽの動きで見せつけたつもりだったんだ。


 だけど、タマは そのしっぽを横目で見ると悦んだ。

『……』

 タマは僕が怒っていることには全く気づかなくって、ただ単に、動く僕のしっぽが気になって、ウキウキと目を輝かせた。


 ……う。ダメだ、これは。

 何しても無駄だ。もしかしたら、ハッキリ言った方がいいのかも知れない。僕は諦めの溜め息を吐く。



    挿絵(By みてみん)


          × × × つづく× × ×


   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

     気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


        更新は不定期となっております。



      今日は数年ぶりの花火大会のようです(*^^*)

        花火、嬉しくなりますね。なんだか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ